尋常性毛瘡(かみそり負け)
じんじょうせいもうそう(かみそりまけ)
尋常性毛瘡(かみそり負け)とは?
どんな病気か
あごや鼻の下のような硬いひげの生える部分にできやすい、細菌による毛包炎および毛包周囲炎です。
原因は何か
主として黄色ブドウ球菌、次いで表皮ブドウ球菌によります。ひげそりによる非常に小さな傷に菌が侵入して起こります。鼻腔のブドウ球菌が感染するともいわれています。糖尿病などの基礎疾患がある場合に起こりやすくなります。
症状の現れ方
青壮年男性の口ひげ、あごひげ、頬ひげなど、硬いひげの毛包に一致して赤い丘疹や膿疱が多発して(図42)、痂皮(かさぶた)がつきやすくなり、触れると軽い痛みがあります。これらが次々に生じて一進一退を繰り返します。
検査と診断
膿疱から黄色ブドウ球菌あるいは表皮ブドウ球菌が検出されます。細菌ではなく、カビ(白癬菌やカンジダ)がついて起こっている場合は、白癬性毛瘡・カンジダ性毛瘡と呼ばれ、症状は似ていますが、それぞれ白癬菌・カンジダが検出されます。
治療の方法
カミソリによるひげそりをやめ、ハサミで短く切るようにします。電気カミソリを使う場合でも間隔をあけます。毛包炎に準じて抗菌薬を内服します。また、抗生剤の軟膏を塗布します。
病気に気づいたらどうする
ひげそり後に毛包炎が出るようであれば、早めに適切な治療を受けましょう。
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コラム細菌で起こる皮膚病の特徴と対処
皮膚は体をくまなくおおって、細菌感染・真菌感染など外部からのいろいろなものの攻撃・侵入を防ぐ防御壁になっています。皮膚には人に病気を起こさない常在菌がいて、人に害を及ぼす菌の侵入を防いでいます。
細菌の感染を恐れるあまり、消毒薬や薬用石鹸をいつも使っていると、かえって皮膚に有益な常在菌をも殺してしまうことになります。
皮膚への病原菌侵入を防ぐには、皮膚をいたずらに傷つけないことと、病原細菌が侵入しやすくなる他の皮膚の病気を起こさないような日常生活の注意が最も大切です。糖尿病や肝臓病の人、免疫力が落ちている時などでは、皮膚に細菌感染が起きやすくなります。おできなどが次々にできたり、繰り返し起こったりする時は、全身の検査を受けましょう。
細菌で起こる皮膚病の特徴は、その部位が①赤くなって、②はれて、③痛みがあり(押さえればもちろん、時には触らなくても痛い)、④触ると熱く感じ、病気が進めば⑤うみや汁が出るような状態になります。病気によって症状の程度に差がありますし、また、必ずしもすべての症状がそろうわけではありません。
まず正確な診断をつけることが重要で、原因となっている細菌がわかれば、それに合った抗菌薬ですぐに治ります。
いくらよい抗菌薬がある現代でも、素人判断で治療が遅れれば、皮膚だけの病気にとどまらず、全身的問題を起こすことになります。また、抗菌薬を不適切に内服したり塗ったりすると、抗菌薬の効かない、いわゆる耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌など)が出てきますから注意が必要です。