出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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腎実質性高血圧
じんじっしつせいこうけつあつ

腎実質性高血圧とは?

原因は何か

 二次性高血圧のなかでは最も頻度の高いもので、全高血圧の2~5%を占めます。腎臓病、糖尿病、膠原病などの基礎疾患をもとに腎障害を示している病態で、腎臓実質(腎血管以外の腎臓)の障害による糖尿病性腎症慢性糸球体腎炎腎硬化症多発性嚢胞腎により、高血圧になります。腎臓実質の障害から高血圧に至る正確な機序(仕組み)は不明です。

症状の現れ方

 高血圧による特徴的な症状はなく、原疾患による症状が前面に現れます。

検査と診断

 血液検査に加え、糸球体濾過値測定やシンチグラフィ、レノグラム、腹部CT、MRIなどの画像検査による腎機能の評価は重要です。鑑別診断のために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる腎生検も行われます。

治療の方法

 現在のところ、慢性腎疾患の発症を予測し、予防することは難しい状況です。したがって、透析が必要になる末期腎不全への移行を防ぐうえで、血圧のコントロールは非常に重要です。これら原疾患としての腎臓病の治療に関しては、それぞれの項目の治療欄を参考にしてください。

 降圧目標は130/85mmHg未満とし、1日の尿蛋白排泄量が1g以上の高度な尿蛋白があるものでは、腎機能に注意しながら125/75mmHg未満にコントロールすることが推奨されています。

病気に気づいたらどうする

 原疾患の治療に加え、降圧薬の減量・増量、変更や追加、食事(食塩量、水分摂取量、蛋白摂取量)をはじめとした生活習慣改善など、きめ細かな対処が必要になります。

腎実質性高血圧と関連する症状・病気

(執筆者:広島大学大学院医歯薬学総合研究科発達科学部准教授 東 幸仁)

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