平衡機能検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
めまいの原因や程度を調べる検査です。めまいを誘発する検査も含まれているので、検査中に症状が出た場合は我慢せずに申し出てください。
めまいの原因解明に重要な検査
めまいの訴えがあるとき、その原因、程度などを調べる検査です。
めまいは、体の平衡バランスをとる部位(内耳の前庭(ぜんてい)や小脳)の障害により感じられるもので、原因により中枢性と末梢性に分けられます。
末梢性めまいは、回転性(ぐるぐる回る)、発作性、反復性で、メニエール病や突発性難聴、内耳炎、頭位変換性めまいなど、内耳の変化でおこります。
中枢性めまいは、非回転性(ふらふらする)、持続性で、小脳の変化、頭部外傷、脳出血、脳梗塞(こうそく)、脳腫瘍などでおこります。
4つの検査を続けて行う
平衡機能検査は、眼振(がんしん)検査、体平衡機能検査、視刺激検査、迷路刺激検査に分かれますが、これらすべてを続けて行います。
眼振検査
眼振とは、眼球のふるえのことです。
まず、50㎝離れた医師の指が、正面、上下、左右に動くのを注視します。次に、水中メガネのような眼鏡をかけ、座位およびあお向けに寝て頭を左右・前後に動かしたとき、さらに座位から臥(が)位、臥位から座位になったとき、眼振が出るか否かを調べます。
体平衡機能検査
靴を脱ぎ、前足のかかとと後ろ足のつま先をあわせ、開眼時と閉眼時の体の動揺を30秒間、観察します。次に、足踏み検査と書字検査を行います。
視刺激検査
顔の5カ所(額、左右の目尻、左目の上下)に電極をつけ、眼振をグラフに描きます。次に、眼振計のひとつの光を追う視標追跡検査、3点の光の流れを追う視運動性眼振検査を行います。
迷路刺激検査
0℃の冷水20mlを外耳道に注入する温度眼振検査(カロリック検査)を行います。
すべての検査は、40~50分くらいで終了します。眼振検査では眼振を認めるのが正常ですが、末梢性めまいでは眼振は認めません。書字検査では、末梢性前庭機能が障害されている側に、書いた字が片寄ります。
かかとの低い靴、ズボンで検査を
検査当日の食事は、軽くしておいてください。常用薬は、服用してかまいません。
ハイヒールは禁止、かかとの低い靴にして、スカートでなくズボンにします。化粧も落としてください。
また、めまいを誘発する検査も含まれているため、検査中、症状が強く出たときは、我慢せずに申し出てください。
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疑われるおもな病気の追加検査は
脳腫瘍、小脳腫瘍
頭部CT 、MR 、PET-CT、血管造影など
突発性難聴
聴力検査、聴器CT、MRなど
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版