卵巣がん執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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 かなり進行するまで自覚症状がなく、早期発見の難しいがんのひとつです。以前は罹患者数が少なかったのですが、検査機器の進歩で最近は多くみつかるようになりました。近い将来、死亡数で子宮がんを逆転する可能性もあると推測されています。

おもな症状

 早期ではほとんど無症状。進行した場合、腹部膨満(ぼうまん)感、下腹部の痛み、排尿障害、便秘など。腹膜に転移すると腹水がたまります。その他、貧血、体重減少などがあります。

手順

①超音波/腫瘍マーカー

②CT/MR/PET-CT

 検査項目はおもなものを示してあります。また手順は、症状やがんの状態などによっては順序がかわることがあります。

画像診断と腫瘍マーカーが中心

 婦人科の内診や直腸診によって、卵巣のはれやしこりに触れる場合もあり、これから発見されることもあります。たいていは画像診断と腫瘍マーカーが中心になります。卵巣は体の奥のほうにあるため、検査器具を挿入することができず、判定を難しくしています。それでも、腹部超音波や腹部CT、MR、PET-CTなどを組み合わせて絞り込んでいくことで、がんの有無、大きさ、腹水の有無などがわかります。良性・悪性の区別もおおむね見当がつきます。とくに経腟超音波は、小さな腫瘍の鑑別に有効です。

 腫瘍マーカーとしては、CA125 が高い陽性率(全卵巣がんで80%)を示し、そのほかCEAなども腫瘍の種類によっては使われています。腹水がたまっている場合では、穿刺(せんし)吸引細胞診(細い針を刺して細胞を採取し、病理検査する)を行い、診断に役立てます。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版