出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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気管支喘息
きかんしぜんそく

気管支喘息とは?

どんな病気か

 息を吐く時に、「ゼイゼイ」「ゼロゼロ」「ヒューヒュー」といった音がする病気です。これは気管支という、のどと肺をつなぐ通路が狭くなることによる音です。このような呼吸を、たとえばかぜをひいた時、夜寝てから、とくに朝方、季節の変わりめ、たばこや花火の煙・ほこりを吸い込んだ時、雨や台風などの時に繰り返すようならば、喘息である可能性が高いのです。

原因は何か

 原因の多くはアレルギーと考えられています。アレルギー体質(喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎花粉症じんま疹)は遺伝しやすく、そのような体質をもった子どもが、イエダニやカビなどを毎日吸い続けると気管支が過敏になります。過敏になれば、ちょっとした刺激(ウイルスや気圧の変化など)で気管支が縮まって狭くなり、苦しくなります。それを発作といいます。

 発作が起きると炎症という「ただれ」が生じ、これが過敏性をさらに悪化させます。その結果、ささいな刺激でも発作が起き、気管が狭くなっていきます。さらに怖いことに「ただれ」が慢性化してしまうと、どんなに強い薬を使っても正常の気管支にもどらなくなる可能性もあるとされています。

症状の現れ方

 前述したような刺激があった場合、突然「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」した呼吸が始まり、呼吸が苦しくなり、激しい場合は窒息することもあります。

検査と診断

 アレルギー検査は血液検査などで行いますが、アレルギーのない人も感染症の繰り返しや、汚れた空気を長年にわたって吸い続けることによって喘息になりえます。小学生以上は呼吸機能検査によって診断が可能です。小学生未満は、診察所見や気管支拡張薬の効果などを参考に診断します。

治療の方法

 喘息の治療は、発作時の治療と、発作が治まった後の治療の、2段構えで行います。発作時の治療では、気管支拡張薬を吸入したり、内服します。それで治まらない場合はステロイド点滴を行います。重篤で、自分で呼吸ができなくなってしまった場合は、機械を用いた人工呼吸を行います。

 発作が治まったあとの治療では、数カ月に1回程度の軽い喘息の場合は、症状のある時にのみ気管支拡張薬をのんだり吸入したりするだけでもよいと考えられています。

 しかし、毎月喘息発作が起きる場合や、数カ月ごとに病院を受診しないと治らないような喘息発作が起きる場合は、ロイコトリエン拮抗薬であるプランルカスト水和物(オノン)、モンテルカストナトリウム(シングレア、キプレス)の内服やクロモグリク酸ナトリウム(インタール)の吸入、ステロイド薬のプロピオン酸フルチカゾン(フルタイド)、プロピオン酸ベクロメタゾン(キュバール)の吸入などを、年齢と重症度に応じて選択します。

 これらは、前述した「ただれ」の修復が目的です。「ただれ」の修復に要する期間は、個人個人で異なりますが、慢性化してから治療を開始する場合は、数年間、予防治療の継続を必要とします。

 発作が数カ月ないと、つい医師の指示に反して予防治療を中止してしまうこともあるでしょうが、予防治療が必要と判断される基準(毎月、喘息発作が起きる場合や、数カ月ごとに病院を受診しないと治らない喘息発作が起きる場合)に至った場合は、医師が治療を中止するまで、継続するようにしてください。大人になるまで持ち越した喘息は難治とされているため、子どものうちに治しておくことをすすめます。

 以前、日本における喘息治療の核となっていたテオフィリン(テオドールなど)は、けいれんを誘発しやすいことが判明しました。とくに乳児、発熱時、熱性けいれんてんかんの既往や家族歴がある場合、脳にもともと病気を抱えている場合には、処方は差しひかえるべきと考えられるようになってきました。

 もちろん、喘息は薬だけで治すものではありません。体力づくりを行い、喘息を治りにくくさせるもの(ほこり、ペット、たばこなど)を避けるなど、生活環境の改善も必要です。

(執筆者:大分大学医学部地域医療・小児科分野教授 是松 聖悟)

気管支喘息に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、気管支喘息に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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