出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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トリコモナス腟炎
とりこもなすちつえん

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トリコモナス腟炎とは?

どんな病気か

 腟トリコモナス原虫の寄生によって起こる腟炎です。腟だけでなく、尿道、膀胱などにも感染し、尿道炎膀胱炎外陰炎などを合併することもあります。この腟炎は、性行為のある成熟期女性に多く、お年寄りにはあまりみられません。また、細菌性腟炎との合併も多いといわれています。

 感染経路は主に性行為によります。それ以外に、衣類、タオル、浴槽縁などを介しての感染もあります。また、分娩時に母体からの産道感染もみられますが、新生児感染症はごくまれです。

症状の現れ方

 感染後、約3週間で症状が現れますが、約50%は症状のない無症候性です。症状としては、悪臭の強い、時に膿性の、泡沫状の帯下(おりもの)の増加、外陰部瘙痒感(かゆみ)、刺激感などがあります。腟壁の発赤、子宮頸部の点状出血斑が認められることもあります。

検査と診断

 腟分泌物や尿沈査を直接顕微鏡で調べて(鏡検)、運動するトリコモナス原虫を認めれば、確定診断となります。直接鏡検で陰性の場合は、トリコモナス培地を用いた培養を行うこともあります。

治療の方法

 治療は、腟洗浄のあと、メトロニダゾール(フラジール)あるいはチニダゾール(ハイシジン)の内服または腟錠、もしくは双方の併用を連日、10日間行います。

 メトロニダゾール、チニダゾールの内服薬は、妊娠12週以内は禁忌とされています。また、薬剤が母乳中へ移行するため、授乳も中止します。

 トリコモナスは性感染症であるため、治療は必ずセックスパートナーも同時期に同期間行います。男性の場合は、内服薬のみとなります。治療期間中は、ピンポン感染防止のために、性行為にあたってはコンドームを使用します。

病気に気づいたらどうする

 症状が現れたら、産婦人科を受診してください。また、セックスパートナーも検査、治療が必要になることをよく理解してください。

(執筆者:医療法人財団順和会山王病院リプロダクションセンター長 藤原 敏博)

腟炎に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、腟炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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