出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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頭蓋咽頭腫
ずがいいんとうしゅ

もしかして... 脳腫瘍  尿崩症

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頭蓋咽頭腫とは?

どんな病気か

 胎生期より遺残した組織から発生する良性の腫瘍です。脳腫瘍全体の2~4%を占め、半数は小児に、半数は成人に発生します。両眼の奥で下垂体の上に多く発生します。

症状の現れ方

 頭痛などの頭蓋内圧亢進症状に、視力視野障害など視神経の機能障害が加わることもあります。また下垂体の機能が障害されて、全身倦怠感、月経不順、低身長、尿量が増加する尿崩症などのホルモンの異常が現れることがあります。小児や高齢者の場合は、ホルモンの異常に気づかれないことも多く、その発見が遅れる傾向にあります。

検査と診断

 MRIで腫瘍の場所を診断します(図37図37 頭蓋咽頭腫(MRI像))。その他、ホルモン異常に関する血液検査や、眼科での視力視野の検査が行われます。

図37 頭蓋咽頭腫(MRI像)

治療の方法

 手術で腫瘍を取り去ることが基本です。腫瘍のまわりには、生命を維持するために大切なホルモンの中枢があるため、慎重な手術操作が求められます。また手術後は、一時的にホルモンの機能異常を合併するので、内分泌内科や小児科と協力した治療が行われます。手術中に重要な機能を有する場所から腫瘍をはがせず残った場合には、手術後に放射線治療が加えられることがあります。

(執筆者:東海大学医学部脳神経外科学教授 松前 光紀)

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