真菌性関節炎
しんきんせいかんせつえん
- 整形外科
- 診療に適した科
もしかして... 化膿性関節炎
真菌性関節炎とは?
どんな病気か
真菌とはカビの仲間の総称ですが、この真菌によって関節に炎症を引き起こす病気です。
原因は何か
原因には以下の2つのパターンがあります。
①土壌などから空気中に浮遊した真菌を肺から吸うことで全身性の感染症を引き起こし、血液やリンパ液を介して関節炎を発症する。
②体の抵抗性が落ちている状態(免疫抑制剤などの薬物治療中、悪性腫瘍、HIVなど)で、皮膚、口腔内、気道などに存在する真菌が、感染症を引き起こし(日和見感染)て関節炎を発症する。
原因となる真菌症には、①のパターンでは、コクシジオイド症、ヒストプラスマ症、ブラストミセス症などがあり、②では、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、カンジダ症などがあります。
症状の現れ方
関節の痛み、はれ、熱感が出現します。一般的には症状は比較的軽く、慢性の経過をとるものが多いようですが、一部で急性に発症するものがあります。関節炎が続くと、次第に関節の表面の軟骨が傷んできて、さらに骨まで破壊され、関節がくっついてしまう(強直)こともあります。
検査と診断
血液検査では、炎症性の変化とともに真菌の種類や量について調べます。また、X線検査やMRIで、関節炎の広がりや破壊された程度について検査します。
診断および使用する薬剤(抗真菌薬)の選択のため、原因となる真菌を特定する検査が必要です。関節を穿刺し採取した液の培養や染色などによって、真菌の種類や効果のある薬剤を調べます。
外科的に関節内の滑膜を採取して調べることもあります。また、全身感染症を起こしている場合は血液からの培養を行うこともあります。
治療の方法
診断がつき次第、局所の安静と抗真菌剤による治療を開始します。この治療で効果がみられなければ、手術を行います。手術は関節を切開して、うみを洗い流し、炎症のため傷んでしまった部分を切除します。手術後は、関節の中のうみを出すように管(ドレーン)を入れたままにしておきます。
また、化膿性関節炎と同様に閉鎖性持続灌流を行う場合もあります。
病気に気づいたらどうする
早期に診断し治療を行うことが最も重要で、治療が遅れた場合には、関節の痛みや変形、関節の動きなどに障害が残ることがあります。この病気を疑うような症状があれば、一刻も早く整形外科を受診する必要があります。
真菌性関節炎と関連する症状・病気
感染性関節炎に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、感染性関節炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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セフォチアム静注用1gバッグ「日医工」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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メロペネム点滴静注用バッグ0.5g「日医工」 ジェネリック
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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セフォチアム塩酸塩静注用0.25g「日医工」 ジェネリック
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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イトリゾール内用液1%
その他の化学療法剤
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セファゾリンナトリウム注射用0.25g「日医工」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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セファゾリンNa点滴静注用1gバッグ「NP」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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ヒルドイドゲル0.3%
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
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イトラコナゾールカプセル50mg「SW」 ジェネリック
その他の化学療法剤
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ファンガード点滴用25mg
主としてカビに作用するもの
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コタロー補中益気湯エキス細粒
その他
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。