出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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慢性リンパ性白血病と類縁疾患
まんせいりんぱせいはっけつびょうとるいえんしっかん

  • 内科
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もしかして... 溶血性貧血

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慢性リンパ性白血病と類縁疾患とは?

どんな病気か

 比較的成熟した小型リンパ球が増加し、末梢血白血球数の増加とリンパ節の腫脹を来す病気です。欧米では全白血病の約30%を占めますが、日本では約2~3%で比較的まれです。高齢者、また男性に多いとされています。B細胞性の場合とT細胞性の場合がありますが、多くはB細胞性です。

原因は何か

 原因は不明です。環境因子の影響、遺伝的要因、免疫学的異常などが一部関与していると考えられます。

検査と診断

 リンパ節腫脹や脾腫(脾臓のはれ)などがみられることで診断され、この時には末梢血白血球も著しく増えています。ただし25%の人は無症状であり、検診などで偶然見つかることがあります。病期分類としてRAI分類がしばしば用いられ、次のように分けられます。

0期:リンパ球増加のみ

1期:0期にリンパ節腫脹を伴う時期

2期:さらに脾腫、肝腫を伴う時期

3期:それらに貧血を伴う時期

4期:これらに血小板減少を伴う時期

 これらの分類は、予後(生存期間はそれぞれ約150カ月、100カ月、70カ月、20カ月、20カ月)とよく相関しています。経過上、問題となるのは免疫不全による感染症、貧血、出血、自己免疫性疾患としての溶血性貧血、あるいは他の悪性腫瘍の合併です。

治療の方法

 この病気を完全に治すことは難しいと考えられます。治療の目標は、単に白血球数のコントロールだけではなく、リンパ節腫脹や脾腫の改善、合併症や免疫不全の改善など、総合的に個体としての生活力を維持することを目標とします。

 したがって無症状の場合(0期)は治療を行わず経過をみますが、症状がある場合はシクロホスファミド(エンドキサン)などのアルキル化剤を投与します。これらの効果が少ない場合には、フルダラビンなどのプリン誘導体の投与を検討します。もし溶血性貧血を合併した場合には、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモンを投与します。

 また、国内では保険適応外なのですが、CD20陽性の場合(B細胞性の場合)にはリツキシマブの投与が有効と考えられています。

病気に気づいたらどうする

 血液内科専門医の診察を受け、指示を受けてください。経過中、正常リンパ球やガンマグロブリンが減少するために感染症がしばしば認められるので、うがいなどで感染の予防に気をつける必要があります。

(執筆者:栃木県立がんセンター臨床試験管理部副部長 和泉 透)

白血病に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、白血病に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラムリンパ節腫脹を来す疾患

栃木県立がんセンター臨床試験管理部副部長 和泉透

 リンパ節腫脹(はれ)は腫瘍性のほか、いろいろの原因で起こりますが、多くの場合は腫瘍性以外が原因です。腫瘍性以外にリンパ節腫脹を来す原因として、ウイルス感染、細菌感染、結核、トキソプラズマ感染、膠原病(全身性エリテマトーデスなど)、薬剤性(抗けいれん薬など)、皮膚疾患、壊死性リンパ節炎(後述)などがあります。

 腫瘍性のリンパ節腫脹は、多くの場合無痛性で、かつ進行性です。一般的に腫瘍性以外のリンパ節腫脹では、2cm以上のリンパ節を認めることは極めてまれなので、はれが大きい場合や2週間以上リンパ節腫脹が続く場合には、早めに医師の診察を受けることが大切です。

壊死性リンパ節炎

 この疾患は比較的長期にリンパ節腫脹が続き、しばしば悪性リンパ腫との区別が問題となります。症状には頸部リンパ節腫脹や発熱があり、40歳以下の女性に好発します。血算(血球数など)は正常のことが多いのですが、時に白血球減少を認めます。LDHはしばしば増加し、この点は悪性リンパ腫に似ています。

 診断は生検が唯一の方法で、とくに悪性リンパ腫と区別が困難な場合に、絶対的適応があります。一般的に経過は良好ですが、重症例や難治例では副腎皮質ホルモン薬を使用することがあります。

コラムリンパ節生検

栃木県立がんセンター臨床試験管理部副部長 和泉透

 リンパ節生検は、病的と思われるはれたリンパ節を直接採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査法のことです。リンパ節がはれる原因が不明である場合、その確定診断のために行われます。悪性リンパ腫には別項のとおりいろいろな組織型があり、生検によって適切な治療法の選択や予後の推測を行うことに役に立ちます。

 リンパ節生検を行う場合は、切除生検(手術的にとる方法)が原則です。実際には、多くの場合、局所麻酔下でリンパ節生検を行いますが、体表にはれたリンパ節が存在しない場合には全身麻酔を行って、体の深いところから組織を採取することがあります。

 採取したリンパ節は顕微鏡下での形態学的診断に用いられるほか、フローサイトメトリー(FCM)法を用いた表面抗原解析、また染色体分析やFISH法による解析、必要に応じて遺伝子検索が行われます。

 なお、縦隔や腹部大動脈周囲の深部リンパ節腫脹のみ認める症例については、CTガイド下針生検が有用であることがあります。この場合、採取可能な検体量は針生検であるため必然的に少なく、悪性リンパ腫の診断は得られても組織型の決定が困難なことがあります。

 リンパ節生検による合併症は、局所の出血や疼痛などがありますが、多くは一時的なものです。なお、悪性リンパ腫のリンパ節腫脹は、頸部に好発するため頸部リンパ節が生検される場合が多いのですが、この場合には副神経損傷に注意が必要です。

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