出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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常染色体劣性遺伝病
じょうせんしょくたいれっせいいでんびょう

常染色体劣性遺伝病とは?

 変異のある対立遺伝子がホモ接合して初めて発病します(図10図10 常染色体劣性遺伝病の家系図)。ヘテロ接合の状態では発病せず、保因者になります。これは、ヘテロ接合で発病する常染色体優性遺伝病とまったく違うところです。

図10 常染色体劣性遺伝病の家系図

 両親がヘテロ接合の保因者の時、その子どもがホモ接合になって発病する確率は25%です。逆にいえば、患者さんの両親は保因者と考えることができます。したがって、患者さんの兄弟姉妹は同じ病気になる可能性が25%であることを念頭におく必要があります。とくに、両親がいとこ婚、ふたいとこ(またいとこ)婚などの近親婚の場合、発症率が高くなることが知られています。

 常染色体劣性遺伝病はフェニルケトン尿症アルカプトン尿症など代謝性疾患に多いことが知られています。

 同じ家系内の患者間では、症状の程度はほぼ同じでばらつきが少ないことは、常染色体優性遺伝病と違う点です。男女で発症率が同じであることは、常染色体に由来する疾患では共通しています。

常染色体劣性遺伝病と関連する症状・病気

(執筆者:近畿大学理工学部生命科学科教授 田村 和朗)

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