白血球表面マーカー執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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医師が使う呼び方:「ひょうめんマーカー」もしくは「シーディー」

白血球表面マーカーの基準値

諸条件により変動する

白血球数の増減や免疫異常などを調べる検査

 白血球の表面には、さまざまな抗原(糖蛋白)が存在し、これを表面マーカー(指標)と総称しています。このマーカーを、モノクローナル抗体を使って分類したものをCDといいます。例えば、CD3はTリンパ球の表面にあるマーカーで、その数を調べるのが白血球表面マーカー検査です。おもなマーカーは、表のようにCD番号で分類されています。

 この検査は、白血球数の増減が認められるときや、免疫異常が示唆される場合に行います。

エイズではCD4とCD8の比が減少

 免疫異常の代表的な病態のエイズでは、感染するとエイズウイルスがヘルパーT細胞(免疫反応を促進するリンパ球)を障害し、一方、サプレッサーT細胞(免疫反応を抑制するリンパ球)は障害されません。そのため、ヘルパーT細胞は減少し、サプレッサーT細胞は減少しないため、CD4とCD8の比が減少し、感染していることが疑われます。その他、末梢血液中のリンパ球マーカー検査と血液腫瘍細胞のマーカー検査が臨床上、大切です。

 白血病、悪性リンパ腫では、その悪性細胞がどの細胞に由来するかを検索し、由来細胞を推定することで適切な治療・薬剤を選択できます。

 なお、この検査の基準値は、モノクローナル抗体の種類や測定する機種、方法などにより微妙に変動するため、それぞれの施設ごとに設定しています。

■おもな白血球表面マーカー
CD番号抗原分布、反応細胞
CD2Tリンパ球、NK細胞
CD3Tリンパ球
CD4ヘルパー/インデューサーTリンパ球
CD8サプレッサー/細胞傷害性Tリンパ球、NK細胞
CD19Bリンパ球
CD21成熟Bリンパ球
CD13骨髄球、単球、尿細管上皮
CD14骨髄球、単球
CD34造血幹細胞
CD56NK細胞、神経芽細胞腫

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版