抗CCP抗体執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
抗CCP抗体の基準値
陰性(-)
関節リウマチで高率に陽性
今までは、関節リウマチに対してはリウマトイド因子のみが臨床的に使用されていた唯一の自己抗体でしたが、そこに新しく登場したのが抗CCP抗体です。関節リウマチになると関節の滑膜に環状シトルリン化ペプチド(CCP)と呼ばれる抗原物質がたくさん出現します。抗CCP抗体は、この抗原に対してのみ特異的に反応します。
抗CCP抗体は、数年経過した関節リウマチでは70~85%が陽性となり、これはリウマトイド因子やMMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)の70%より高率です。
早期発見・診断に重要な検査
近年、関節リウマチの治療法が大きくかわってきました。例えば薬物療法では、抗リウマチ薬(DMARDs)、ステロイド、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)に加えて、高い治療効果が期待できる生物学的製剤も開発されて、予後の改善だけでなく治癒することも望めるようになってきました。
そのためには、早期発見・早期診断が重要です。さまざまな検査をしても、そのときは関節リウマチと確定診断ができない病態を「診断未確定関節炎」と呼びますが、抗CCP抗体はこういった時期から陽性となるため、早期発見・早期診断の検査として期待されています。
診断未確定関節炎の状態で抗CCP抗体が陽性の場合は、将来、関節リウマチになる可能性が高く、また陽性の場合は陰性の場合より重症になりやすいことがことがわかっています。そのため、この検査は、2007年4月から保険の適用となりました。
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疑われるおもな病気などは
陽性
関節リウマチ、関節リウマチを重複した膠原病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス)
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版