抗核抗体執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
抗核抗体の基準値
陰性(-)
全身性エリテマトーデス(SLE)の診断に有効
自己抗体のうち、自分の細胞核を攻撃する抗体が抗核抗体で、これは膠原病(こうげんびょう)のひとつ全身性エリテマトーデス(SLE)で血液中に出現します。
全身性エリテマトーデスで最も高頻度に出現しますが、このほかにも同じ膠原病の関節リウマチや強皮症、シェーグレン症候群、あるいは自己免疫機構が関与している慢性甲状腺炎、慢性肝炎などでも陽性になります。
抗核抗体は、健康な人でも陽性になることがあります。この場合、女性のほうが陽性率は高頻度です。
抗核抗体の一種に、「その他の自己抗体」で述べる抗DNA抗体などがあります。これらも、膠原病を疑うときに測定します。
膠原病で症状が落ち着いていれば1~3カ月に1回の検査
原因不明の発熱、発疹、関節痛や筋肉痛、疲労感や脱力感などが長引くときは、膠原病の存在が疑われます。
抗核抗体が陽性で、膠原病などの原因となる病気が明らかな場合は、症状が安定していれば1~3カ月に1回の検査を、症状の活動期や強力な治療を行っている場合には、2週間~1カ月に1回の検査を行っていきます。
抗核抗体が陽性の場合は全身性エリテマトーデスをまず想定しますが、ほかの検査所見も考慮して、全身性エリテマトーデス以外でも陽性になることを患者に説明し、生活指導を行います。
なお、蛍光抗体法での染色パターンより抗核抗体の種類を推測することが可能です。
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疑われるおもな病気などは
陽性
膠原病:全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群、混合性結合組織病
その他:慢性甲状腺炎、慢性肝炎など
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版