MMP-3執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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医師が使う呼び方:「エムエムピースリー」

MMP-3の基準値

男性:36.9~121ng/ml

女性:17.3~59.7ng/ml

関節リウマチの診断、治療効果の指標

 MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)は、軟骨細胞や滑膜細胞から産生されるプロテアーゼ(蛋白分解酵素)です。軟骨の構成成分であるプロテオグリカン、コラーゲン、ゼラチンなどを分解し、軟骨の代謝回転に重要な役割を果たしています。

 関節リウマチがおこると、関節の滑膜細胞に炎症が起こって増殖し、MMP-3が大量に産生されて関節を破壊し、変形をもたらします。そのため、MMP-3は関節リウマチの活動性の補助指標として測定されるとともに、早期の診断で持続性のMMP-3の高度上昇は、関節破壊進行の予後予測指標として用いられています。

 また、近年登場した高い治療効果が期待できる生物学的製剤の治療反応性とも良好に相関するため、治療効果の判定にも使用されています。

MMP-3のみが高値なら経過観察

 関節リウマチを疑い、MMP-3、リウマトイド因子、抗CCP抗体の検査を行って、MMP-3のみが高値で他が陰性なら、関節リウマチと診断することはできず、通常は特に治療はしないで経過観察することになります。

 ただし、MMP-3は抗CCP抗体のように関節リウマチに特異性はなく、乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎などでも高値になることがあるため、MMP-3が高値の場合はさらに検査を行って、他の病気がないかを調べます。

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疑われるおもな病気などは

  • 陽性

    関節リウマチ、乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、全身性エリテマトーデス、強皮症、糸球体腎炎
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版