AFP執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

つぶやく いいね! はてなブックマーク
医師が使う呼び方:「エーエフピー」=α-fetprotein(アルファ-フェト蛋白)の略AFPから

AFPの基準値

10ng/ml以下(EIA法)

肝臓がんで高値に

 AFPは、肝細胞ががん化したとき、その細胞が異常にたくさんつくり出す糖蛋白のひとつで、肝臓がんを調べるとき測定します。AFPは肝臓がんのかなりの人の血液中で上昇し、基準値の数10倍から数100倍の高値を示します。

 AFPの値は肝臓がんの進行とともに上昇を続け、基準値の数千倍になることもあります。治療によって一時低下したAFPの値が、その後の経過でがんが再発したり進行したり、また、ほかへ転移したりすると再び上昇するため、治療後の経過観察にも有用になります。

肝臓がん以外でも陽性に

 肝硬変や肝炎(劇症肝炎や慢性肝炎増悪期)で、肝細胞の再生が強いときにAFPは陽性になることがあります。しかし、上昇度は数倍以内であり、経時的に上昇を続けることは稀です。肝臓がん以外のがん(胃がん、膵(すい)臓がん、胆道がん、大腸がんなど)でも、ときに陽性となりますが、肝臓がんほど高値ではありません。

検査値からの対策

 AFPが基準値以上を示したら、第一に肝細胞がんを疑い、肝細胞がんで陽性を示すほかの腫瘍マーカー(PIVKA-II)を測定したり、腹部超音波や腹部CTを行って腫瘍の存在を確認します。肝細胞がんの多くは肝硬変から移行することが多く、とくにC型肝炎ウイルス陽性者は肝細胞がんを発症するハイリスク群であるため、肝硬変の経過観察において定期的(6カ月ごと)にAFPをチェックし、基準値を少しでも上回るようなら精密検査を行います。

 一方、肝硬変がなく肝細胞がんも認められないときは、ほかの臓器の悪性腫瘍の精密検査も必要です。

おすすめの記事

疑われるおもな病気などは

  • 高値

    肝細胞がん、その他のがん、肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎、妊娠、先天性胆道閉鎖症など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版