出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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血を吐いた
ちをはいた

血を吐いたとは?

どのような状態か

 口、のど、食道、胃、十二指腸のいずれかの部位に何らかの原因で出血が起こると、血液を吐くことがあります。口、のど、食道からの出血では、血液は鮮紅色をしていることが多く、胃や十二指腸からの出血では茶褐色をしていることが多くなります。

 出血の原因は、胃や十二指腸の潰瘍食道静脈瘤食道がん(1742)や胃がんなど、多岐にわたります。また、血を吐く前に何回か嘔吐をし、そのあと血を吐いた場合は、嘔吐によって食道と胃の境界部の粘膜に裂け目ができるマロリー・ワイス症候群が多くなっています。

必要な検査と疑われる病気

 血を吐いた場合は、大量出血であるとショックを起こして血圧が低下し、命に関わることもあります。そのため、血を吐いた場合にはただちに病院の救急外来を受診する必要があります。

 病院では、血圧などが安定していればすぐに胃内視鏡検査を行い、出血している部位と病気がわかれば、内視鏡を通していろいろな道具を用いて止血します。最近はほとんどの出血が、内視鏡を用いて止血できるようになっています。

家庭での対処のしかた

 血を吐く病気で最も頻度が高いのは、胃や十二指腸の潰瘍と胃炎です。そこで、吐血した場合には、これらの病変部からの出血を少しでも減らすようにみぞおちを氷で冷やし、吐いた血が気管や肺に吸い込まれないように横向きに寝かせます。ただちに救急車を呼び、病院を受診します。なお、すぐに内視鏡検査を受けることが多いので、絶食して受診します。

 お年寄りでは胃潰瘍食道静脈瘤からの出血の頻度が高く、出血が大量となりやすいため、ためらうことなく病院を受診することが大切です。

(執筆者:島根大学医学部第二内科教授 木下 芳一)

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