出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
処女膜閉鎖
しょじょまくへいさ
もしかして... 不妊症
処女膜閉鎖とは?
どんな病気か
処女膜に開口部がなく閉鎖している場合をいいます。
腟は、胎児発生の過程で将来子宮・卵管に発育するミュラー管の末端部の細胞と、それに接する部分の尿生殖洞の細胞が同時に増殖して充実性の腟板を形成し、胎生5カ月までに腟板内部が空洞化して管状となります。
この時点では腟腔と尿生殖洞は処女膜により分離されており、その後、処女膜が破裂します。この過程に障害があると処女膜閉鎖となります。
症状の現れ方
通常、卵巣や子宮には異常を認めないため、思春期に月経が発来すると、月経血が腟内にたまって処女膜は青紫色に膨隆し、また貯留量が多くなると膀胱・尿道を圧迫して尿閉に至ることもあります。さらに進行すれば、子宮や卵管にも月経血がたまり、月経血をみないまま周期的に腹痛を来します(月経モリミナ)。
診断と治療の方法
新生児期の診察で処女膜閉鎖を疑われることもありますが、腟管の状態まで診断することは不可能であり、また、その後自然に開口することもあるので、とくに処置は行いません。大部分は思春期に前述の症状を来して診断されます。
治療としては、処女膜を十字あるいは輪状に切開して、切開創は再閉鎖しないように辺縁を縫合処置します。
長期に子宮留血症や卵管留血症を放置すると不妊症の原因となりますので、診断されれば早期に治療することが望まれます。
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