出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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中葉症候群
ちゅうようしょうこうぐん

もしかして... 肺結核  じん肺  非結核性抗酸菌症

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中葉症候群とは?

どんな病気か

 右中葉気管支あるいは左舌区気管支がふさがって、中葉、舌区が拡張不全を起こした状態をいいます。

原因は何か

 右中葉気管支あるいは左舌区気管支は走行が長く、周囲にリンパ節があるため、解剖学的にふさがりやすいと考えられます。このためリンパ節が腫大する病気では、閉塞を引き起こします。

 また非結核性抗酸菌(非定型抗酸菌)は本来毒性の弱い菌であり、肺局所の感染防御能が低下する肺結核後遺症や、じん肺などの基礎疾患がある場合に二次的に感染することが多いと考えられてきました。

 しかし近年、基礎疾患をもたない非結核性抗酸菌症が少なからず存在することが明らかになりました。この初発の病変は中葉や舌区に好発し、小結節影や、進行すると気管支拡張を生じることが明らかになっています(図39図39 中葉症候群(胸部CT像))。

図39 中葉症候群(胸部CT像)

症状の現れ方

 血痰、咳、喀痰、微熱、胸痛などがみられます。

検査と診断

 胸部X線像で、中葉あるいは舌区に浸潤影や吸気の低下が認められます。

治療の方法

 感染症に対しては抗菌薬、血痰には止血薬、喀痰が持続する場合には去痰薬が使われます。非結核性抗酸菌症では、これに対する抗菌薬が使われます。

(執筆者:浜松医科大学内科学第二講座准教授 千田 金吾)

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