出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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糖尿病性ニューロパチー
とうにょうびょうせいにゅーろぱちー

糖尿病性ニューロパチーとは?

どんな病気か

 糖尿病により末梢神経が侵される頻度は極めて高く、治療を怠ると、時に下肢を切断することにもなります。

原因は何か

 糖尿病性ニューロパチーの原因には2つあり、病型は3つの型に分類できます。

 ひとつは、糖尿病による代謝障害により、手足の先(遠位部)から感覚障害(しびれ、ぴりぴり感など)が現れ、次第に体の中心に向かって左右対称に進んでいきます。これを多発性ニューロパチーといいます。

 糖尿病ではまた、小血管の動脈硬化が現れ、神経に栄養を送っている栄養血管に血液が行かなくなり(虚血)、手足に行っている神経がばらばらに侵されてきます。これを虚血性ニューロパチーといい、その結果、多発性単ニューロパチーと単ニューロパチーが起こってきます。前者は、ばらばら(多発性)に1本1本の神経(単神経)が非対称性に侵されるもの、後者は、動眼神経、外転神経や手にある正中神経(手根管症候群)など1本の神経だけが侵されるものです。

治療の方法

 治療法の選択は、代謝性によるものなのか、虚血性によるものなのかにより異なります。

 虚血性のものならば、末梢の循環をよくして血行を改善することが重要になります。痛みの強い、有痛性感覚性ニューロパチーが起こったり、四肢の末端が赤く、異常な感覚を伴う肢端紅皮症がしばしばみられ、治療が難しいことがあります。痛みに対しては、メキシレチン、カルバマゼピン(抗けいれん薬)などでコントロールしていきます。

 代謝性障害によって起こる多発性ニューロパチーの治療は①血糖のコントロール、②代謝障害改善薬として、アルドース還元薬(キネダック)が使用されます。

(執筆者:興生会相模台病院副院長/北里大学名誉教授 齋藤 豊和)

神経炎に関連する可能性がある薬

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 診察時に、たとえば膝などを小さいハンマーでたたかれた経験をした人がいると思います。正常なら反射で下腿がピョンと上がります。この反射を腱反射といいます。これは膝をたたいているのではなくて、筋肉が骨に付着する腱(アキレス腱など)の近くにある筋紡錘をたたいて刺激しているのです。

 腱をたたく(刺激する)と、筋紡錘から脊髄に向かってIa線維(感覚系)が刺激されて興奮し、インパルス(衝撃波)が上行していきます。インパルスが脊髄に入ると、脊髄内の前方にある体幹や四肢の筋を支配しているα運動ニューロンが興奮して、α運動ニューロンから出る運動神経(筋肉を支配している)に支配された筋群が収縮します。同時に収縮した筋群と拮抗する筋群では反対に抑制が起こり、筋は弛緩します。この回路を反射弓といいます。反射弓はどこで侵されても、はたらかなくなり、反射は低下、消失します。

 一方、反射が亢進するのは、異常に反応が高いことを指し、これは反射をコントロールしている大脳、脳幹、脊髄を通る皮質脊髄路の障害の存在を示しています。

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