出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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食道損傷
しょくどうそんしょう

もしかして... 吐血

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食道損傷とは?

どんな病気か

 食道内や体外からの刃物などによる機械的損傷(食道壁に傷ができること)や、薬などによる化学的損傷、食道内圧の上昇などにより、食道壁の一部または全体に傷ができることをいいます。

 大部分の食道は後縦隔(脊椎の前)にあるため、外部からの機械的損傷は少なく、飲み込んだ異物や薬物により損傷する場合が多くみられます。病院で胃のカテーテルや内視鏡治療の際に損傷が起こる医原性のものもあります。また、嘔吐などで急に食道内圧が上昇すると、食道壁に傷または孔があく場合があります(食道破裂、図9図9 食道損傷)。

症状の現れ方

 食事時の痛み、胸痛、吐血、頸部のはれ、発熱などが現れます、ひどい時には、呼吸困難、ショック状態となります。

検査と診断

 一般の血液検査(白血球、赤沈、CRP)により全身への炎症の程度をみます。胸部X線検査では、炎症が後縦隔、胸部へ波及しているかどうかをみます。水溶性造影剤(ガストログラフィン)による食道造影、内視鏡検査により食道の損傷部位、程度を観察します。また、CT検査で後縦隔内の炎症の波及領域を調べます。

治療の方法

 食道の損傷の程度や炎症が、どのくらい食道壁を越えて波及したかにより、内服治療や絶食などの内科的治療で治るか、手術などの外科的治療が必要かを決めます。

 食道損傷は、状態によっては生命の危険性もあるため、損傷の疑いがある場合は、もよりの救急病院へ受診してください。

(執筆者:ムラタクリニック院長 村田 洋子)

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