類宦官症
るいかんがんしょう
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もしかして... 性腺機能低下症 クラインフェルター症候群 思春期遅発症
類宦官症とは?
どんな病気か
精巣からの男性ホルモンの分泌が少ないために、声変わりしない、陰毛やひげが生えてこない、陰茎や精巣が小さいなど、男性化徴候(二次性徴)が発現しない病気です。
宦官とは、昔、中国などで去勢され宮廷に仕えていた男子のことで、身体的特徴が類似しているため以前はこの病名が使われていましたが、最近ではあまり使われず、性腺機能低下症のなかに分類されます。
原因は何か
脳の下垂体からは性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)が分泌され、このホルモンにより精巣が刺激されて男性ホルモンがつくられます。この病気の原因としては、男性ホルモン自体がつくられない場合(原発性)と、下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されないことが原因になっている場合(続発性)とがあります。
原発性ではX染色体の過剰によるクラインフェルター症候群があり、続発性も大部分は先天的な遺伝子の異常と考えられていますが、まだ原因遺伝子が特定されていません。そのなかで、とくに嗅覚の異常を伴うカルマン症候群は、X染色体上のKAL1遺伝子に異常があることがわかっています。
検査と診断
声変わりしない、陰毛やひげが生えてこない、陰茎や精巣が小さいなどの二次性徴発現の異常のほか、骨端線が閉鎖しないので手足が長いなどの特徴的な身体所見を認めます。
血液中のゴナドトロピン(LH、FSH)、男性ホルモン(テストステロン)を測定し、ゴナドトロピン値が低くテストステロン値も低い場合は続発性が、ゴナドトロピン値が高くテストステロン値が低い場合は原発性が疑われます。クラインフェルター症候群では、血液中の白血球を用いた染色体検査でX染色体の過剰が認められます。
二次性徴の発現時期は個人差が著しく、続発性の場合はいわゆる思春期遅発症との区別が必要です。下垂体や精巣からのホルモン分泌能力を調べるLH-RH試験、hCG試験などを行って診断しますが、両者の区別が難しいこともあります。
腫瘍性の病変も考えられる場合には、脳のMRIなどの検査を行うこともあります。
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コラムインターセックスと性分化
インターセックスという言葉を目にするようになりました。日本語では半陰陽という用語に当たり、男性と女性のどちらとも判別できないことを指します。
発生における性分化は、その謎深さゆえに古くから発生生物学者の興味の対象でした。近年になり、分子生物学の発展に伴って性分化に関わる重要な遺伝子やそのはたらきが明らかになってきましたが、性分化はその複雑さのため全貌を理解することはなかなか困難です。
性分化の大筋は、①染色体(遺伝子)の性、②生殖腺の性、③内・外性器の性、という3つの段階に分けて考えることができます。
まず、染色体の性ですが、男性の性染色体はXY、女性はXXです。そのため昔から、Y染色体上に男性になることを決める遺伝子があると考えられていました。実際にY染色体にはSRYという遺伝子があり、この遺伝子が精巣を作るはたらきをします。
しかしSRYがY染色体以外の場所にある例もあり、その場合は性染色体がXXでも男性へと分化していきます。一方、SRYのない場合には生殖腺は卵巣になります。生殖腺が精巣もしくは卵巣に決まった後は、内・外性器が発達します。
精巣からは男性ホルモン(テストステロン)が産生され、その作用により男性としての外性器(陰茎・陰嚢)が発達します。一方、テストステロンがない場合、外性器は女性型になります。テストステロンがあってもその作用が不十分であれば、女性型に近づきます。たとえば、テストステロンの受容体に異常がある場合は、テストステロンが作用せず、XY染色体をもち精巣があるにもかかわらず、外見は女性になります。
広い意味で、性分化の過程は出生後の第二次性徴にまで及びます。このように、性分化には長い期間にわたって多様な因子が関与しており、男性と女性という2つの性だけではない結果もあるのです。
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