全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡:SLE)
ぜんしんせいえりてまとーです(ぜんしんせいこうはんせいろうそう:SLE)
もしかして... 多形滲出性紅斑
全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡:SLE)とは?
どんな病気か
ループスエリテマトーデス(LE)とは、頬などの露出部に特徴的な赤い斑点(紅斑)が現れ、徐々に広がる膠原病の総称で、主なものに全身型と皮膚限局型があります。
LEの語源はループス=狼に咬まれた傷(狼瘡)、エリテマトーデス=炎症性の赤い斑(紅斑)です。皮膚の症状が狼の咬み傷に類似していたためにつけられた病名です。SLEはLEの全身型で、多くの内臓臓器に障害が起きます。
原因は何か
SLEの発症には遺伝因子と環境因子が関係します。遺伝因子が発症に関係することは一卵性双生児での高い発症頻度(24~69%)、家族内発症が多いこと(一般集団の約10倍)などが根拠ですが、発症に関わる遺伝子は特定されていません。一卵性双生児でももう一人が発症しない不一致率が31~76%であることは、後天的な環境因子の関わりが遺伝因子より大きいことを示しています。
病気の成り立ちには自己免疫という免疫異常が深く関わっています。自己免疫に関わる要因として、ウイルス感染、性ホルモン、環境因子などが想定されていますが、真の原因は不明です。
症状の現れ方
発熱、関節痛と皮膚症状で発症することが多い病気です。またSLEの特徴のひとつに日光過敏症があります。最も有名な皮膚症状は、日光に当たったあと、鼻を中心に蝶が羽を広げたように両頬に広がる蝶形紅斑です。ほかにもSLEの初発皮膚病変は、円板状エリテマトーデス、多形滲出性紅斑などいろいろな形で現れます。
このほか四肢先端の血のめぐりが悪くなった末梢循環障害が関係する皮膚症状が多くみられます。レイノー症状は寒冷やストレスにより指の動脈がれん縮して指が真っ白になる症状です。手足が赤紫にはれるアクロチアノーゼ、しもやけ様の凍瘡様紅斑などは手足の先や耳介に好発します。四肢では網目状の紅斑(リベド)がよくみられます。
検査と診断
多くの症状がある病気なので診断基準(表3)を参考にして判断します。
診断に重要な検査項目は、抗核抗体、抗DNA抗体、抗Sm抗体、血中免疫複合体の検出、補体の低下などです。蛋白尿の有無も腎障害を知るために重要です。
治療の方法
ステロイド薬の内服がスタンダードな治療法です。効果が不十分な場合には免疫抑制薬を併用します。ステロイド薬を中心とした治療の進歩により、SLEの予後は劇的に改善しました。今では90%以上の人が、通院だけで普通の暮らしができるようになりました。
日常生活で大切なことは直射日光を避けることです。光線過敏性がはっきりしない人でも、紫外線のUVA/UVB両領域をブロックするサンスクリーン(SPF30、PA+++以上)をしっかり用いてください。
病気に気づいたらどうする
すみやかに専門医のいる病院にかかってください。関節症状や全身のむくみや倦怠感が強い場合はリウマチ膠原病科、顔や手足の紅斑など皮膚症状が主体の場合は皮膚科がよいでしょう。
日光に加えて、寒冷、感染症、手術、外傷、薬剤、妊娠、分娩、ストレス、過労などがSLEの発症の引き金や増悪因子となるので注意してください。
全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡:SLE)に関連する検査を調べる
全身性エリテマトーデスに関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、全身性エリテマトーデスに関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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プラケニル錠200mg
他に分類されない代謝性医薬品
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アザニン錠50mg[クローン病・潰瘍性大腸炎・自己免疫性肝炎]
他に分類されない代謝性医薬品
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アルプロスタジル注10μg「サワイ」[経上腸間膜動脈性門脈造影] ジェネリック
その他の循環器官用薬
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ベンリスタ点滴静注用120mg
他に分類されない代謝性医薬品
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水溶性プレドニン10mg
副腎ホルモン剤
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ソル・コーテフ注射用100mg[注射剤]
副腎ホルモン剤
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メドロール錠2mg
副腎ホルモン剤
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コートリル錠10mg
副腎ホルモン剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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