出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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横川吸虫症
よこがわきゅうちゅうしょう

  • 内科
  • 診療に適した科
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横川吸虫症とは?

どんな感染症か

 横川吸虫症は、小腸に寄生する吸虫によって起こる病気です。前項の肝吸虫と同じように、幼虫は淡水魚のうろこや筋肉に寄生していて、幼虫をもつ淡水魚を生で食べると感染します。最も重要な感染源はアユで、シラウオやウグイなどにも寄生しています。

 幼虫は直径約0・1mmの球形で、肉眼では見えません。成虫は体長が約1mmで、小判型をしています。成虫は、自然界では魚を食べるほ乳類や、サギなどの鳥に寄生しています。

症状の現れ方

 ほとんど自覚症状がありません。しかし、成虫が多数寄生した場合、下痢や腹痛を起こします。

検査と診断

 便のなかから虫卵を検出します。横川吸虫が感染していても、成虫が自然に排出されて虫卵が検出されなくなることもあります。血清検査は行いません。

治療の方法

 特効薬は、抗寄生虫薬のプラジカンテル(ビルトリシド)です。

病気に気づいたらどうする

 自覚症状がないので、検便で偶然に虫卵が見つかるのがほとんどです。横川吸虫はアユやシラウオに高率に寄生していますが、ほかにも多くの種類の淡水魚に寄生していることが知られています。予防のためには、肝吸虫と同じく、淡水にすむ魚を生で食べないことが大切です。

(執筆者:順天堂大学大学院医学研究科生体防御寄生虫学准教授  奈良 武司)

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