出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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近親婚
きんしんこん

もしかして... 常染色体劣性遺伝病

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近親婚とは?

 血のつながりのある親類を「近親者(血縁者)」といい、共通する遺伝子をもっている可能性が高い集団です。共通する遺伝子をもつ確率によって第一度近親者、第二度近親者というように分類します(表5表5 近親度と近縁係数)。

表5 近親度と近縁係数

 家系調査により共通の祖先をもつ関係は、すべて近親ということになります。そのような血縁者同士が婚姻関係を結ぶことを「近親婚」といいます。法律により日本では「いとこ婚」までは認められています。ここでは、いとこ婚を例にあげて説明します。

 図14図14 いとこ婚とホモ結合のように、結婚関係にあるIII-1とIII-2は親が兄弟姉妹の関係にあり、祖父母であるI-1(祖父)とI-2(祖母)は共通の人物です。ある遺伝子座の祖父のもつ対立遺伝子をaとb、祖母のもつ対立遺伝子をcとdと仮定すると、曽孫IV-1のところでa、b、c、dそれぞれの遺伝子がホモ接合する確率は64分の1です。

図14 いとこ婚とホモ結合

 4種類あるので、いとこ婚において共通祖先I-1とI-2から伝えられた遺伝子がホモ接合する確率は16分の1(64分の1×4)になります。

 劣性遺伝病の時、近親婚が大きな意味合いをもちます。たとえば、I-1とI-2のどちらかが保因者(ヘテロ接合)であるとすると、曽孫が発病する確率が高まることになります。代謝性疾患で多く認められる常染色体劣性遺伝病の場合、他人婚に比較し、発病の確率が数倍~数十倍高まることがあります。

(執筆者:近畿大学理工学部生命科学科教授 田村 和朗)

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