出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
かぞくせいだいちょうせんしゅしょう(かぞくせいだいちょうぽりぽーしす)

もしかして... 遺伝子診断  大腸がん

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家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)とは?

どんな病気か

 大腸に多数の腺腫(ポリープ)ができ、それががん化する病気です。日本人では、1万5000~1万7000人に1人発症します。発症年齢はポリープが15歳で60%、大腸がんは40歳で50%程度です。他の主要病変としてデスモイド腫瘍、十二指腸乳頭部がん、甲状腺がんなどがあります。

原因は何か

 APC遺伝子の変異です。遺伝形式は常染色体優性遺伝です。

検査と診断

 大腸内視鏡検査でポリープが多数(100個以上)あれば、家族歴がなくても家族性大腸腺腫症と診断されます。臨床診断の確定した方にAPC遺伝子の変異が見つかる可能性は60~80%程度です。遺伝子変異とポリープのでき方などの症状にある程度関連があるため、手術法・治療法の選択、他の関連腫瘍のサーベイランスプランの検討に有用です。

 発症者の遺伝子変異が見つかると、家族も同じ変異を受け継いでいるかどうか調べる発症前検査などが可能になります。発症前遺伝子診断の適切な年齢は、16歳以上です。

治療と管理方針

 この遺伝子に変異が見つかれば、ほぼ100%の確率で一生のうちに大腸がんを発症します。すべての症例において、大腸がんを発症する前に予防的大腸全摘手術の適応になると考えられます。

 遺伝子変異の見つかった人、あるいは家系内でリスクが高い人については、年に一度の大腸内視鏡検査が早期診断に役立ちます。

家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)と関連する症状・病気

(執筆者:京都大学大学院医学研究科医療倫理学教授 小杉 眞司)

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