[低ホスファターゼ症] 2018/09/13[木]

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お子さんの成長や歯に、気になることはありませんか?

 ほかの子どもと比べて、うちの子は発育が遅いような気がする――。親にとって、我が子の発育の程度は心配のタネのひとつ。「成長には個人差があるものだ」といわれても、ついつい、周りの子どもと比べてしまうこともあるでしょう。しかし、子どもの成長や発達の遅れの陰に、病気が隠れていることも。低ホスファターゼ症は、遺伝性で進行性の慢性疾患で、非常に稀な病気ではありますが、発症すると子どものうちは発育や発達が遅れることがあります。同じ年齢の子どもと比べて身長が低い、体重が少ない、ハイハイや立ち上がり、歩けるようになるのが遅い、という場合、低ホスファターゼ症の可能性もあります。

 低ホスファターゼ症とは、「アルカリホスファターゼ(以下ALP)」という、骨の強さや成長に関わる働きをする酵素の働きが弱いために起こる病気です。この酵素を作る遺伝子に変異が起こり、ALPの働きが低下、またはなくなってしまうことで発症します。低ホスファターゼ症は進行性の病気ですから、長い年月をかけて症状が悪化したり、新たな症状が出たりすることもあります。

診断確定は血液検査で。まずは自宅でできる簡易チェックを

 ALPが不足すると、骨が弱くなったり歯が抜けたりと、骨や歯に症状が出ます。さらに、筋力が低下する、けいれん発作を起こすなど、骨や歯のほかにも、脳や筋肉、関節、肺、腎臓に症状が出ることがあります。特にわかりやすい症状が、「4歳未満に乳歯が抜ける」こと。抜けた歯の根元が長く、とがった形をしていたら、低ホスファターゼ症が疑われます。このような場合には、歯医者さんで相談しましょう。

 低ホスファターゼ症は非常に珍しい病気であるうえ、ほかの病気に似ている点も多く、正確な診断が難しいこともあります。診断の決め手となるのが血液検査です。血液中のALPの活性が低下していないかどうかを確認します。検査の結果から低ホスファターゼ症とわかっても、直ちに治療が必要になるとも限りません。成長するにつれて、新たな症状が出てくることもありますが、低ホスファターゼ症とわかっていれば適切な対処ができます。気になる症状があれば、まずは小児歯科や小児科で相談してみましょう。

監修:大阪大学大学院医学系研究科 小児科学 教授 大薗 恵一 先生
提供:アレクシオンファーマ合同会社

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