[IBS(過敏性腸症候群)] 2015/09/01[火]

 通勤途中や大事な会議の前など、緊張したときにおなかが痛くなることはありませんか?
 それは、IBS(過敏性腸症候群)かもしれません。IBSは、近年、働く女性にも患者数が増えている腸の病気。アステラス製薬では、IBSの研究に取り組んでいます。ここでは、原因や治療法を詳しく紹介します。

ストレスで腸が過敏になる疾患 つらい腹部症状が特徴

 強いストレスを感じるとトイレに駆け込みたくなる、プレゼンなどの緊張する場面でおなかが痛くなる、便秘と下痢を繰り返すといった症状は、IBS(過敏性腸症候群)によく見られる症状です。
 内科医の鳥居明先生によると、IBSは、検査で腸に炎症や潰瘍(かいよう)が見あたらないのに、下痢や便秘を慢性的に繰り返す病気。主にストレスがきっかけで起こり、男性では下痢型、女性では便秘型や混合型(便秘と下痢を繰り返す)が多いようです。
 IBSが起こる原因には、腸がストレスの影響を受けやすい臓器であることが関係しています。
 「脳が不安やプレッシャーを感じると、その信号が腸に伝わり、腸の粘膜からセロトニンという物質が分泌されます。このセロトニンが腸の運動異常を引き起こすと考えられていて、下痢や便秘が起こるのです。IBSの患者さんは、この信号が伝わりやすいために、腸が過敏に反応してしまうというわけです」
 一度便通異常を起こすと、デリケートな人ほど排便への不安感が強くなり、ストレスがさらに増幅され、ますます腸が敏感になるという悪循環が生まれます。
 ストレスの多い現代社会では、日本人の10人に1~2人がIBSを発症しているという調査結果があり、だれもがなる可能性が。また、IBSは女性に多く、男性の約1.5倍。20~30代の若年層で有病率が高くなります。
 「女性のほうが、職場でトイレに行きにくい。働く女性はIBSで悩んでいる人が多いものの、症状を我慢している人が多いのではないでしょうか」と鳥居先生は指摘します。
 IBSが単純な下痢や便秘と違うのは、腹痛や腹部のハリ、おなかがゴロゴロ鳴るといった腹部の不快感が強い点。「特に下痢型は急にトイレに行きたくなるため、急行電車に乗れない、朝食が食べられない、会社に行けないなど生活の質の低下も問題になっています」(鳥居先生)。

薬物療法とセルフケアで症状とうまく付き合っていこう

 IBSは、治療できる病気です。「まずは、血液や便の潜血反応などを検査して、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの疾患の有無を確認することが先決。IBSと確定したら、主に薬物治療を始めます。薬物療法では、下痢や腹痛などの症状を抑える薬、腸内環境を整える薬、腸のセロトニンに作用する薬などを使います。」
 IBSの治療では、患者の不安感やストレスを取り除くことも大切だと鳥居先生は強調します。
 「IBSという病気を理解してうまくつきあっていくこと、納得して治療を受けることが患者さんの不安を取り除きます。IBSに理解のある医療機関でみてもらうといいですね。セルフケアも重要で、規則正しい食事や十分な睡眠はもちろん、自分なりのストレス解消法を取り入れることも大切です」
 専門医の治療で快方に向かっている例は数多くあるとのこと。便通異常で日常生活に支障があるような場合は、早めに医師に相談しましょう。

IBSをもっと知ろう Q&A

IBSになりやすい人はいますか?
IBSはストレスが引き金になるので、性格的な特徴として真面目で頑張ろうとする人や、幼少期から胃腸が弱く、よく下痢をしていた人などがなりやすいといえます。また、トイレに行きにくい環境(受付、コールセンター、工場のラインなど)で働く女性は、IBSで悩んでいる人が多いと考えられます。
IBSかどうかの目安は?
おなかの痛みや不快感が続いている(1カ月に2回以上)、便秘や下痢などの便通異常がある、ストレスを感じるとおなかが痛くなりトイレに行きたくなる、などに当てはまれば、IBSの可能性があります。
IBSはサプリメントや漢方、食事でも治せますか?
自己流で対処を続けるだけでは、治りにくい病気です。また、便通異常が続く場合は、ほかの病気が隠れている可能性もあるので、医療機関を受診することが大切です。
症状を緩和するために、自分自身でできることはありますか?
  • 何ごとも“100点”を狙わないで“75点”を目指すと気持ちが楽に
  • ウオーキングなどの軽い運動で、ストレス解消を
  • 食事は規則正しくとる。食べ過ぎ・アルコールは控えめに
  • 呼吸法などを取り入れ、リラックスできる時間を持つ
  • 通勤ルートにあるトイレの場所や、比較的すいているトイレなどをあらかじめ把握しておく

以上のことを試してみましょう。

どんな治療が行われるのですか?
一般には、食事療法、運動療法、薬物療法が行われます。IBSは、精神的な影響を受けやすいため、心理療法が有効な場合も。不安感を取り除くためにも、患者自身が、IBSはなぜ起こるのかをきちんと理解することが大切ですね。薬物療法では、下痢や腹痛などの症状を抑える薬、腸内環境を整える薬、腸のセロトニンに作用する薬などを使います。
「IBSかも」と思った場合は何科を受診すればよいですか?
まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。あるいは、消化器内科や胃腸科で、かつIBSを診療している医療機関を受診するとよいでしょう。

鳥居 明先生 鳥居内科クリニック院長 医学博士

東京慈恵会医科大学医学部卒業。25年間の大学病院勤務を経て、東京都・成城に鳥居内科クリニックを開院。専門は内科、消化器科。IBS治療において豊富な経験を持つドクター

「IBSのことをもっと知りたい」「自分もIBS(過敏性腸症候群)かも?」と思ったら、Webサイト「IBSネット」にアクセスしてみて。簡単セルフチェックをはじめ、90秒でわかるIBSや治療法について、診察を受ける際のアドバイスなど、IBSに関するお役立ちコンテンツが満載です。スマホ専用サイトもあります。

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アステラス製薬企画・制作 シティリビング7月31日号より転載

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