[なかなか治らない乾癬] 2019/02/22[金]

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皮膚が赤くなったり、盛り上がる。その表面が銀白色の細かいかさぶたに覆われていて、フケのようにボロボロと剥がれ落ちる…。このような皮疹(ひしん)を伴う皮膚の病気「乾癬(かんせん)」をご存じですか?

なかなか治らない皮膚の病気「乾癬」について、NTT東日本関東病院皮膚科部長の五十嵐敦之先生にお話を伺いました。

なかなか治らない乾癬について
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うつらない皮膚の病気「乾癬」、原因は免疫の異常

――「乾癬」とはどんな病気ですか?原因はなんですか?

五十嵐先生:乾癬は、免疫機能の異常によって起こる病気です。なぜ発症するのかについて、詳しい仕組みはまだわかっていませんが、もともと乾癬になりやすい体質の人に、環境ストレスなどの刺激が加わることで発症すると考えられています。

――周りの人に感染することはありますか?発症した場合、治りますか?

五十嵐先生:乾癬というと、響きが「感染」と同じなので誤解を招きがちですが、病原菌が原因で起こる病気ではありませんので、ほかの人にうつる心配はありません。また、乾癬を根本的に治療する方法は、残念ながらまだ見つかっていませんが、治療によって、症状がほとんどない状態を保つことはできるようになってきました。日本の乾癬患者さんの数は推計50~60万人程度といわれており、生活習慣の変化などさまざまな要因を背景に、患者数は増えています。

乾癬の症状から、生活上さまざまな不便や苦痛を感じることも

――具体的には、どんな症状が出るのでしょうか?

五十嵐先生:乾癬の症状は、皮膚に生じる赤い皮疹「紅斑(こうはん)」やそれが少し盛り上がった「浸潤(しんじゅん)」、銀白色の細かいカサブタに覆われた「鱗屑(りんせつ)」、それがフケのように剥がれ落ちる「落屑(らくせつ)」といった症状がみられます。皮疹がよくみられるのは頭皮や生え際で、ちゃんと洗髪をしているのにフケがでるなと思っていたら、それが乾癬の初発症状だったというケースもあります。肘や膝など、物理的な刺激をうけやすいところも、乾癬の皮疹が出やすい部分です。さらに皮膚だけでなく、2~4割の患者さんでは爪にも病変がみられます。


腹部に出た症状の例


生え際に出た症状の例


爪に出た症状の例

――皮膚の症状なので、見た目も気になりますね。

五十嵐先生:乾癬のつらいところは、皮膚に出る症状などの身体的なものだけでなく、「肌を見られることにストレスを感じる」「夏場に半袖が着られない」「フケが多くて髪を切りに行けない」など、日常生活のさまざまな場面で不便を強いられることがあります。

――重症になればなるほど、生活上でも不便が増えるのでしょうか?

五十嵐先生:いいえ、乾癬という病気の重症度と、症状の影響で起こる生活上の不便さは、必ずしも一致するわけではないんですよ。そのため、乾癬の治療を行ううえでは、乾癬自体の症状を改善するだけでなく、生活上でどんな不便や苦痛がどのくらいあるのか、どのくらいそれらをよくしたいのか、患者さんの希望や、目指すライフスタイルも考える必要があります。

4つの治療法から、「治療に何を求めるか」も考慮して選択

――根治的な治療法はないとのことでしたが、治療はどんなことをするのですか?

五十嵐先生:乾癬の治療法には、皮疹に直接塗り薬を塗って治療効果を発揮する方法(外用療法)、紫外線を皮疹に照射して症状の改善を促す方法(光線療法)、比較的症状の重い患者さんに対して、飲み薬で角質細胞の異常な増殖や免疫の過剰な働きや炎症を抑える方法(内服療法)、注射薬を使って免疫細胞の情報伝達に用いられる「サイトカイン」の働きを弱めることで炎症を抑える治療(注射療法)があります。注射療法で使われる注射薬は「生物学的製剤」と呼ばれ、乾癬で過剰になっている皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を調整する新しい治療法なんですよ。

――いくつか治療法があるのですね。どうやって治療法を決めるのですか?

五十嵐先生:どの治療法を選ぶかは、乾癬の症状や重症度、症状によって日常生活にどれくらい不便が生じているかを考慮します。これらに加えて、年齢や仕事、通院状況などの患者さんの状況もふまえて、治療法を選びます。日常生活でどんなことに困っているのか、疑問に思うこと、治療にどんなことを求めているのか(治療をすることでどうなりたいか)についても、主治医にしっかり伝えることが大切です。

治療は信頼できる医療機関で。大病院を受診する際は「紹介状」を

――お医者さんなら「乾癬」だとすぐにわかるのでしょうか?

五十嵐先生:実は、乾癬は発症して間もない時期や症状が軽いケースでは、ほかの皮膚病と区別がつきにくいこともあるのです。皮膚科医であれば、問診や患部を診る視診、患部を触る触診などの診断技術を駆使して、乾癬を診断できます。受診してみて、信頼できると感じた皮膚科で治療を続けましょう。

――通院先の先生と、なかなかうまくコミュニケーションがとれない場合はどうしたらよいでしょう?

五十嵐先生:そういう場合も、あきらめなくていいんですよ。ほかの医療機関の皮膚科医に意見を聞く「セカンドオピニオン」というものがあります。セカンドオピニオンは、患者さんがより自分にあった治療を選択するチャンスでもあるのです。

――やはり、大きな病院にかかるべきでしょうか?

五十嵐先生:紫外線を照射するための機器が必要な光線療法や、新しい治療法である注射療法は、受けられる病院が限られているのは事実です。ただし、大きな病院を受診するには、ほかの医療機関からの紹介状が必要になりますから、注意してください。なお、新しい治療法である注射療法は、治療を始めるためには日本皮膚科学会の定める病院を受診する必要がありますが、落ち着いてきたら近所のクリニックでも治療を受けられます。

(QLife編集部)

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NTT東日本関東病院 皮膚科 部長
五十嵐 敦之 先生

専門分野はアトピー性皮膚炎、乾癬、膠原病(特に強皮症)など。
日本皮膚科学会専門医

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