出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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習慣流産
しゅうかんりゅうざん

習慣流産とは?

どんな病気か

 ほとんどの流産は受精卵の染色体異常など胎児側の原因で起こるため、予防や治療ができません。しかし、まれに母体の異常など、特別な原因があって流産を繰り返す場合があります。3回以上自然流産を繰り返した場合を習慣流産といい、特別な原因がないか調べるため、検査がすすめられます。

原因は何か

甲状腺機能低下症糖尿病などの内分泌機能異常

抗リン脂質抗体症候群、膠原病などの自己免疫異常

③カップルのどちらかの染色体に転座などの異常がある(この場合、転座があっても体のどこにも異常はみられない)

④子宮の形の異常、子宮筋腫

⑤子宮の感染症(クラミジアなど)

⑥カップル間の移植免疫的な相性(臓器移植時の拒絶反応に似た免疫的な相性の悪さ)

などによる問題が知られています。

症状の現れ方

 習慣流産では、妊娠はしても胎児が育たない不育症となります。妊娠12週以前は通常の自然流産と同じ経過ですが、12週以降は多くが胎児死亡として見つかります。

検査と診断

 原因をさがすためには、前項の原因ごとに①は甲状腺ホルモン検査、血糖検査など、②は自己抗体検査、③は染色体検査、④は超音波検査、X線造影検査、⑤は細菌の検査を行い、⑥は、①~⑤の検査が正常な場合、移植免疫的な相性によるものではないかと疑います。

治療の方法

 原因が見つかれば、その治療を試みます。甲状腺機能低下症なら甲状腺ホルモン補充、糖尿病は血糖の正常化、抗リン脂質抗体症候群では抗凝固療法、自己免疫疾患の場合は抗凝固療法やステロイドホルモン治療、子宮の形態異常や子宮筋腫では手術療法、免疫反応としての習慣流産が疑われる場合は、一部に免疫療法が有効なことがあります。

病気に気づいたらどうする

 2回までの自然流産(反復流産)は数10人に1人の割合で起こる現象であり、めずらしいことではありませんが、3回以上自然流産を繰り返した場合は、病院で相談してください。

(執筆者:東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科長・准教授 坂井 昌人)

習慣流産に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、習慣流産に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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