出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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病名
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含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)
がんしせいのうほう(ろほうせいしのうほう)

もしかして... 埋伏歯  過剰歯

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含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)とは?

どんな病気か

 含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)は、埋伏歯の歯冠を含む形で形成される嚢胞で、歯冠部を形成する歯胚の上皮から生じます。

症状の現れ方と検査

 症状は、顎骨の無痛性の膨隆や、増大して顎骨の皮質骨が吸収された結果、骨が薄い乾燥した皮のように感じられたり(羊皮紙様感)、該当する歯の萌出の遅延、歯並びの変化などです。永久歯が形成され萌出する時期の年齢(10~20代)に多くみられ、部位としては、上顎では前歯部、犬歯部、下顎では智歯部、小臼歯部によく起こります。

 X線所見では、歯冠を包み込むような類円形の透過像がみられます(図19図19 含歯性嚢胞(X線像))。

治療の方法

 嚢胞腔を開窓し、正常歯列にあるべき歯から起きている場合には、埋伏している歯を正常な位置へ萌出誘導し、埋伏歯を保存することを試みます。原因である埋伏歯過剰歯であったり、萌出方向が逆であったり、歯根の屈曲が強い場合や萌出誘導が不可能な場合は、嚢胞とともに歯を摘出します(図20図20 摘出した含歯性嚢胞)。

 なお、顎骨内腫瘍との区別が必要です。

含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)と関連する症状・病気

(執筆者:愛知学院大学歯学部顎顔面外科学主任教授 下郷 和雄)

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