出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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汗孔角化症
かんこうかくかしょう

汗孔角化症とは?

どんな病気か

 病変部中心の皮膚が萎縮して、角質が辺縁で堤防状に隆起した不規則な環状局面を示す角化異常症で、さまざまな型があります(図24図24 汗孔角化症)。悪性腫瘍が発生することがあります。

原因は何か

 ミベリ型汗孔角化症は常染色体優性遺伝の病気ですが、詳しい原因についてはわかっていません(原因遺伝子が特定されていない)。播種状表在性(光線性)汗孔角化症も原因遺伝子はわかっていませんが、紫外線が皮疹を誘発していると考えられています。

症状の現れ方

 皮疹は、円形ないしは楕円形の不規則な環状の隆起局面で、中心部の皮膚は萎縮しています。ミベリ型汗孔角化症では病変は散発性に現れますが、ほかの型では病変は多発します。

検査と診断

 特徴的な臨床症状から診断は容易です。病変部皮膚の辺縁部には、表皮の肥厚と角質の増生がみられます。その間に錯角化性円柱(コルノイドラメラ)が、クサビ状に表皮に陥入しています。陥入部位では顆粒層は欠如しています。真皮には、まばらなリンパ球の浸潤があります。

 臨床的には尋常性疣贅胼胝腫(たこ)、扁平苔癬尋常性乾癬日光角化症との区別が問題になります。区別が困難な場合は、組織の一部を採取して調べる生検を行います。

治療の方法

①ザーネ軟膏を1日2回患部に塗ります。

②ケラチナミン軟膏(20%尿素含有)またはウレパール軟膏(10%尿素含有)を1日2回患部に塗ります。

③5%サリチル酸ワセリンを1日2~3回患部に塗ります。

④ボンアルファ軟膏(ビタミンD軟膏)を1日2回患部に塗ります。

⑤液体窒素による凍結療法、CO2レーザー、電気焼灼、皮膚剥削術を行うこともあります。

 悪性腫瘍の発生に注意することが肝要です。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科専門医を受診して正しい診断をつけてもらい、適切な治療を受けるようにします。悪性腫瘍が発生することがあるので、皮膚科専門医による診察が必須です。

汗孔角化症と関連する症状・病気

(執筆者:香川大学医学部皮膚科准教授 米田 耕造)

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