出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
汗孔角化症
かんこうかくかしょう
汗孔角化症とは?
原因は何か
ミベリ型汗孔角化症は常染色体優性遺伝の病気ですが、詳しい原因についてはわかっていません(原因遺伝子が特定されていない)。播種状表在性(光線性)汗孔角化症も原因遺伝子はわかっていませんが、紫外線が皮疹を誘発していると考えられています。
症状の現れ方
皮疹は、円形ないしは楕円形の不規則な環状の隆起局面で、中心部の皮膚は萎縮しています。ミベリ型汗孔角化症では病変は散発性に現れますが、ほかの型では病変は多発します。
検査と診断
特徴的な臨床症状から診断は容易です。病変部皮膚の辺縁部には、表皮の肥厚と角質の増生がみられます。その間に錯角化性円柱(コルノイドラメラ)が、クサビ状に表皮に陥入しています。陥入部位では顆粒層は欠如しています。真皮には、まばらなリンパ球の浸潤があります。
臨床的には尋常性疣贅、胼胝腫(たこ)、扁平苔癬、尋常性乾癬、日光角化症との区別が問題になります。区別が困難な場合は、組織の一部を採取して調べる生検を行います。
治療の方法
①ザーネ軟膏を1日2回患部に塗ります。
②ケラチナミン軟膏(20%尿素含有)またはウレパール軟膏(10%尿素含有)を1日2回患部に塗ります。
③5%サリチル酸ワセリンを1日2~3回患部に塗ります。
④ボンアルファ軟膏(ビタミンD軟膏)を1日2回患部に塗ります。
⑤液体窒素による凍結療法、CO2レーザー、電気焼灼、皮膚剥削術を行うこともあります。
悪性腫瘍の発生に注意することが肝要です。
病気に気づいたらどうする
皮膚科専門医を受診して正しい診断をつけてもらい、適切な治療を受けるようにします。悪性腫瘍が発生することがあるので、皮膚科専門医による診察が必須です。
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