専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

秋田大学医学部附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

医学部開学以来、秋田県の消化器疾患診療の真の中核病院として「すべては患者さんのために」をモットーに、広く消化器疾患全般の診療を行っている。特に、消化器がん治療に力を入れており、消化管がん、胆管・膵臓がん等の内視鏡的治療、肝臓がんの超音波下経皮的治療を積極的に行っている。また09年に「内視鏡・超音波センター」を、10年には「肝疾患相談センター」を新たに設立し、その診療機能の充実・向上に常に努めている。また、消化器外科、放射線科、腫瘍内科と合同のキャンサーボード・カンファレンスを毎週行い、各科の緊密な連携のもと、患者さん個々に応じた診療を行っているのも大きな特徴である。

症例数

08年度の入院延べ患者数は17,936人、1日平均患者数は49人、外来延べ患者数は25,782人、1日平均患者数は106人であった。検査件数は、上部内視鏡検査3,069件、下部内視鏡検査1,308件、腹部超音波検査2,460件に上る

食道疾患=食道がんに関してはすべての症例で放射線科、食道外科との合同カンファレンスを行っており、内視鏡的治療、放射線治療、化学療法、外科的治療などの治療方針を決定している。粘膜下層剥離術(ESD)症例が多く、年間40例ほど施行している。最近では広い病変であっても粘膜にとどまっているがんであれば、食道粘膜を全周性に円筒状に切除することによって良好な治療成績を得ている。食道がんに重複しやすい咽頭がんの内視鏡的治療も、耳鼻咽喉科と連携のうえ積極的に行っている。食道内pH測定器、食道内圧測定器を保有し、多様な食道運動機能異常の診断も可能である

胃・十二指腸疾患=早期胃がんに対するESDを年間140例ほど施行している。適応拡大病変とよばれる病変の他、症例によっては適応外病変に対してもESDを行っている。超音波内視鏡装置が各種備わっており、がんの深達度診断の他、粘膜下腫瘍に対するエコーガイド下針生検も行っている。食道静脈瘤や消化性潰瘍からの出血例も多く、内視鏡的止血術で良好な成績をあげている

小腸・大腸疾患=多数の潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患症例の診療を行っている。カプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡の両方を有しており、上部・下部消化管内視鏡では出血源不明であった消化管出血の診断治療に、何時でも対応可能である。大腸ポリープの内視鏡的切除の他、大腸腫瘍に対するESDも積極的に行っている

肝胆膵疾患=近年増加傾向にある。対象疾患としては、肝炎、肝硬変、肝がん、胆管結石、胆嚢がん、胆管がん、膵炎、膵がんなど多岐にわたる。当院は秋田県肝疾患診療連携拠点病院に選定されており、B型慢性肝炎に対する核酸アナログの投与、C型慢性肝炎の標準的な治療であるペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を積極的に行っている。肝硬変の合併症の一つである食道・胃静脈瘤に対しては、内視鏡的な予防治療(硬化療法、結紮療法)や、放射線科と協力してバルーン閉塞下逆行性静脈塞栓術(BRT-O)治療を進めている。肝がんに対しては内科、外科、放射線科と連携をとって治療法の選択を行い、症例によっては治療のコンビネーション(肝動脈塞栓療法+経皮的ラジオ波焼灼療法または経皮的エタノール注入療法)を行っている。また、造影超音波を用いて、肝がんの描出を良好にしたうえでの経皮的ラジオ波焼灼療法に力を入れている。胆・膵系の疾患では、超音波内視鏡やERCPによる診断の他、積極的に内視鏡的な治療(乳頭切開術、切石術、ステント挿入等)を行っている。

医療設備

電子ファイバースコープ(上部消化管、小腸、下部消化管)、超音波内視鏡、カプセル内視鏡、腹部超音波装置、CT、MRI、PET他。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

消化器外科

分野

消化器・一般外科

特色

キャンサー・ボード(Cancer Board:複数の診療科の専門家によるがんの検討会)を組織し、消化器外科、消化器内科、腫瘍内科、放射線科医師、病理医、看護師、薬剤師などが参加し、それぞれ専門の立場から意見を交換して症例検討を行い、治療方針を決定している。早期がんでは、外科に紹介された患者さんであっても、適応があれば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を消化器内科で施行している。また低侵襲である腹腔鏡下手術を積極的に行っている。一方では、進行がんに対し切除率の向上のため積極的に拡大手術を行い、必要に応じて手術前また手術後に化学療法を併用した集学的治療を施行している。

症例数

09年の年間手術例数は250例で、このうち胃・十二指腸疾患が43例、下部消化管疾患(虫垂炎、腸閉塞、腹膜炎手術を除く)が49例、肝胆膵疾患(胆石を除く)が56例であった。また、悪性疾患は140例であった

胃がん=年間手術例数41例。このうち腹腔鏡手術は31例であった。腹腔鏡下手術の割合が高いが、小切開をおく腹腔鏡補助下ではなく、デルタ吻合により腹腔内で吻合を行う完全腹腔鏡下手術を行い、リンパ節郭清も開腹手術と同様にD2郭清を標準としている。Stage別5年生存率は、StageIA:93.4%、IB:92.3%、II:79.0%、IIIA:77.8%、IIIB:54.7%、IV:4.7%であった

大腸がん=年間手術例数42例。このうち腹腔鏡手術は25例であった。腹腔鏡下手術の割合が高く、下部直腸がんに対しても直腸切断術を含め腹腔鏡下手術を行っている。やむなく人工肛門を造設した患者さんには、ストーマ外来で専門的知識に基づく技術と方法により、継続的にストーマケアを支持する体制を整えている。Stage別5年生存率は、Stage 0:100%、I:87.2%、II:80.7%、IIIa:77.3%、IIIb:71.0%、IV:27.5%であった

肝胆膵がん=年間手術例数52例。原発性肝がん、転移性肝がん、胆道がん、膵がんの手術を施行。7例は血行再建を伴う手術であった。肝がんでは、肝静脈根部に腫瘍が存在して通常の肝切除では切除不可能な症例に対しては、生体肝移植の技術を応用した体内冷却肝灌流法を用いたAnte-situm法により、また下大静脈が腫瘍の浸潤を受けている場合には、人工血管による置換を行い切除率の向上に努めている。肝門部胆管がんに対しては、可能な限り肝葉切除により胆管切除断端ががん陰性になるところまで切除する努力をしている。それでも切除断端ががん陽性にならざるを得なかった症例に対しては、術後に腔内照射(RALS)を追加し、全身化学療法を行うことで予後の改善を図っている。胆道がん、膵がんで、門脈や肝動脈などの主要血管に浸潤のある症例に対しても、積極的に合併切除、再建を行い、根治性の向上に努めている。肝細胞がんのStage別5年生存率は、StageI:100%、II:61.0%、III:59.8%、IVA:0%、胆管がんのStage別5年生存率は、StageI:100%、II:53.9%、III:25.0%、IVa:26.7%、IVb:0%であった。94~05年の大腸がん肝転移に対する肝切除手術総数は58例で、5年生存率は47.9%であった

外来化学療法=補助化学療法を含め、再発・切除不能がんに対しても、可能な限り外来ベースの化学療法を行うことで、患者さんのQOL(生活の質)向上に努めている。最適な治療を提供するため、毎月外来化学療法を行っている全患者の検討を、腫瘍内科医を含めたスタッフ全員で行い、各患者に適した治療の選択・変更や緩和医療導入時期を判定している。

医療設備

MRI、MDCT、PET-CT、血管造影装置、DSA、超音波内視鏡、造影超音波、腹腔鏡下手術装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

呼吸器疾患全般の診療を行っている。特に、肺がんなどの悪性疾患、間質性肺炎、びまん性肺疾患の診断・治療に力を入れている。慢性咳嗽、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)が多いのも特徴である。循環器内科と同じ講座である利点から、心疾患合併例、重症例の全身管理が行える体制を備えている。

症例数

年間入院数は300例程度で肺がん35%、間質性肺炎・びまん性肺疾患20%、肺炎15%、COPD(慢性閉塞性肺疾患)10%、気管支喘息5%

★肺がんは、難治例、進行例を積極的に受け入れ、呼吸器外科、放射線科との連携による集学的治療を行い、他大学とも遜色ない成績を得ている。治療は分子標的治療も含め、腫瘍のタイプ、遺伝子検査などから個々の症例にあったものが選択できる。外来化学療法が中心で、遠方の方には地元の拠点病院との連携のもと治療をしている。疼痛管理は緩和ケアセンターのサポートも得ている

★間質性肺炎は気管支鏡、胸腔鏡下肺生検などにより、診断と治療方針を決めている

★外来は気管支喘息、慢性咳嗽が多いが、アレルギー、咳嗽の専門医師が中心となり、呼吸機能検査、喀痰検査、薬剤負荷試験から原因に応じた薬物治療を行っている

★慢性閉塞性肺疾患では薬物療法のみならず、呼吸リハビリも行っている。禁煙治療も可能である

★ARDS(成人呼吸促迫症候群)は人工呼吸による全身管理の他、エンドトキシン除去療法を併用した治療も可能

★オスラー病は肺だけでなく全身の検索も行い、放射線科との連携で血管内治療も行う。遺伝相談も行っている。

医療設備

高分解能CT、MRI、PET、気管支鏡、気管支超音波検査(EBUS)、バーチャル気管支鏡、呼吸機能検査、気道過敏性検査、ポリソムノグラフィー、リニアックなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

循環器内科

分野

循環器科

特色

急性心筋梗塞、狭心症、急性心不全、致死性不整脈、弁膜症、心筋症、心筋炎、肺血栓塞栓症、肺高血圧、閉塞性動脈硬化症などの循環器疾患全般に対し、県内の各医療機関と連携して24時間体制で受け入れている。心臓カテーテルの血管撮影装置も2台設置され2症例の同時治療も可能である。64列マルチスライスCTによる心臓CTの画像から、非侵襲的に冠動脈の構造的および質的評価も行っている。さらに、心臓超音波検査などによる種々の画像診断にて、手術適応などについても詳細な診断を行っており、心臓血管外科との緊密な連携の下、心臓手術も的確に適用している。

症例数

年間入院数は550例程度であり、虚血性心疾患32%、不整脈22%、心不全15%、末梢動脈疾患6%、弁膜症4%、大動脈疾患3%、心筋症3%、先天性心疾患3%

★虚血性心疾患の分野では急性冠症候群を急性期から受け入れ、積極的にカテーテルインターべンションを施行し、冠動脈病変に対して、バルーン拡張術やステント留置術を行い血行再建を図っている。年間の冠動脈造影検査600例、カテーテルインターベンション治療140例(緊急カテーテル治療46例、バルーン拡張のみ25例、ステント留置術115例)。冠動脈形成術においては血管内超音波や、光干渉断層法、冠内血流・血圧測定を積極的に用いて血管内腔を評価し、再狭窄の減少、動脈硬化の病態把握に取り組んでおり、良好な成績が得られている。ほとんどの心臓カテーテル検査、冠動脈形成術は患者の負担の少ない橈骨動脈(手首の動脈)から行っており、検査、治療直後より歩行可能となっている

心不全=心不全の病態(心臓弁膜症、先天性心疾患、虚血性心疾患など)の把握と、治療法の選択を、心エコー、心筋シンチグラフィー、血清マーカーなどを用いて診断するとともに、集約的な薬剤治療による心機能改善を行い、良好な成績を得ている。よりよい長期予後が得られるよう、エビデンス(科学的根拠)を評価して行っている。心臓超音波検査装置は5台がフル稼働して、経時的に詳細な検討を行っている。また、心臓超音波検査などによる種々の画像診断にて、手術適応などについても詳細な診断を行っている

不整脈=失神の原因となる徐脈性不整脈に対しては、当科でペースメーカー植え込みを行っている。最近では早期の安静解除を行い、早期退院可能となっている。頻脈性不整脈に対しては発作性上室性頻拍や心房粗動、一部の心室性頻拍症や心房細動の症例で、カテーテルにより不整脈の原因となる心臓内の部位に高周波通電し、不整脈の発生を根治させるカテーテル・アブレーション治療を行っている(年間約70例)。CARTOシステム、エンサイトシステムの導入により、従来難治性であった不整脈も、カテーテル・アブレーションによって根治することができるようになってきている。また、薬剤抵抗性の心房細動に対してのカテーテル・アブレーシヨンも積極的に行われ、良好な成績を得ている

致死性心室性不整脈(心室細動、持続性心室頻拍)=抗不整脈薬でも、重症心室性不整脈を予防できない症例では、当科で植え込み型除細動器の植え込みを行っている。外来患者数は年間約16,000人。初診患者数年間約300人の来院数である。当院の外来および入院で診療を行った循環器疾患の定期的フォローを中心に行っている。特殊外来として、毎週木曜曰にペースメーカー/ICDクリニック外来を行い、一括してこれらの患者の管理を行っている

地域医療への貢献=3次救急病院として県内の関連病院と連携し、緊急性のある症例や複雑な病態の症例を県内各施設から紹介を受け、様々な循環器疾患に対しての検査、治療も行っている。また、地域住民への市民講座、各報道機関の医療情報などにも関わり、積極的に地域における循環器疾患の啓蒙に努めている。

医療設備

心臓カテーテル装置2台、CARTOシステム、心臓超音波装置5台、心筋シンチグラフィー、マルチスライスCT、トレッドミル運動負荷、ホルター心電計、CT、MRIなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

腎臓内科・リウマチ内科(第3内科)

分野

腎臓内科

特色

講座名は第3内科で、血液内科と腎臓・リウマチ・膠原病内科に分かれている。秋田県内全域から当該領域患者の紹介を受け診療している。腎臓では蛋白尿血尿(慢性糸球体腎炎)、ネフローゼ症候群、保存期慢性腎不全を中心に診療している。リウマチ内科では、関節リウマチ、膠原病にテーラーメイド治療を行っている。リウマチ・膠原病の患者さんは貧血や蛋白尿、腎機能異常などの合併症を起こしやすいが、もともと血液、腎臓を診療しているため、当科内ですべて解決可能である。

症例数

腎臓内科では、講座設立以来7,000例を超える腎生検を施行している。すべての腎臓病において腎生検に基づく個別の診療方針を立てている。活動性のIgA腎症に対しては、当科が推奨する月3回のステロイド投与(マンスリーステロイドパルス療法)を中心とした治療で好成績を収めている。リウマチ内科では、旧来は全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎を中心とする膠原病患者さんが多かったが、生物学的製剤の登場を受けて関節リウマチの患者さんが圧倒的に増えている。関節リウマチ、膠原病ともに初期診断から合併症の対応まで行っている。外来患者数は1日30~50人、入院患者数は平均10人前後である。

医療設備

CT、MRI、PETほか。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

泌尿器科疾患全般に専門性をもった質の高い医療を提供している。特色としては、①泌尿器科腫瘍の治療で多くの根治手術を積極的に腹腔鏡下に行い、低侵襲化を進めている。東北では唯一、腹腔鏡下前立腺全摘除や腹腔鏡下膀胱全摘除を標準治療として行い、腎腫瘍や副腎腫瘍の手術もほとんどの例を腹腔鏡下に行っている。ただし疾患の進展度により、ベストの手術法を選択する。例えば、当科の前立腺全摘の70%は腹腔鏡下全摘であるが、局所進行例は開放手術で対応している。小児先天奇形も可能な限り内視鏡手術で対応している。②進行期泌尿器腫瘍に対しては、新規の抗腫瘍薬や分子標的薬を積極的に使用し、日本でも有数の治験数と症例数を誇っている。③腎移植も、日本では有数の症例数を安定して施行、ドナーの移植腎採取も早くから腹腔鏡手術で行い、100例を超える中で大きな合併症は1例も認めていない。また、ABO血液型不適合や2次移植などのハイリスク症例にも積極的に取り組んでいる。

症例数

入院実績08年(一部概数)=前立腺がん100人、膀胱がん95人、腎がん60人、腎盂尿管がん30人、精巣がん13人、副腎腫瘍10人、腎不全(生体腎移植術含む)60人。手術実績(08~09年の2年)=前立腺全摘除86例(うち48例は腹腔鏡)、膀胱全摘除34例、腹腔鏡下副腎摘除22例、生体腎移植40例、腎がんに対する根治的腎摘除51例(腹腔鏡35例)、腎腫瘍に対する部分切除10例。年間100例以上の泌尿器腹腔鏡手術を行っているが、少なくとも過去7年、重い合併症例はない

前立腺がん=治療方針はがんの病期(進行度)、組織学的分化度(悪性度)、患者さんの年齢、合併症の有無などによって選択される。最終的には医師と患者さんが話し合い、合意・納得の上で決定している。当科では、放射線療法にも対応し、病状や希望に応じて外照射や密封小線源療法を施行している。進行期の前立腺がんに対して化学療法、放射線療法や内分泌療法を用いた積極的な治療を行っている

腎臓がん=進行期腎がんに対して新規分子標的薬を導入、さらに新規薬剤の治験は日本でも有数の経験があり、最新の治療を個々の患者さんの状態に合わせて提供している。当科の腎細胞がんの5年疾患特異的生存率は、T1で94.6%、T2で82.6%、T3で72.1%と、世界的レベルの成績を収めている。腹腔鏡下腎摘を行った例も、5年疾患特異的生存率は92.5%で良好である

膀胱がん=表在性膀胱がんの治療は、内視鏡手術(TUR)が第一選択。また、膀胱全摘を余儀なくされても腸管を用いた自然排尿型の再建を行い、QOL(生活の質)を落とさない手術法を標準としている

★女性の尿失禁や性器脱に対して、最新の体に負担の少ない手術を施行

★小児の先天奇形に対して、標準的な治療を提供するとともに、家族の希望も最大限に取り入れた柔軟な医療を行っている

★男性不妊で精子の極端に少ない方にも顕微鏡による精子採取を試み、婦人科との補助生殖医療を施行

腎移植=慢性腎不全に対する最も有効な治療は腎移植であるが、当科では腎泌尿器科学講座と腎置換医療学講座の共同で、年間20例以上の移植件数を、この7年以上安定して施行している。この症例数は日本でも有数で、成績も世界レベルである

★治療成績やスタッフなどの紹介、疾患や手術法の説明については当教室のホームページ(http://www.med.akita-u.ac.jp/~hinyoki/default.html)を参照。

医療設備

MRI、MDCT、3次元CT、前立腺密封小線源療法、PET-CTなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

眼科

分野

眼科

特色

秋田県内唯一の大学病院のため、あらゆる眼疾患に対し診断・治療が行える診療体制を整えている。秋田県の眼科医療の中心として、県内各所からの紹介患者が多い。老人が多い秋田県では、全身疾患を合併する患者が多く、大学病院の役割としての他科との連携が十分行われている。特に、緑内障の手術治療に関しては秋田県内のほとんどの症例をカバーしている。

症例数

09年の初診患者数は1,343人、再診の延べ患者数は14,219人、手術件数は745件である。現在、外来棟・病棟ともに改修工事中で13年頃、改修完了予定である

緑内障=最新の画像診断装置、超音波検査装置、自動視野計等、各種の診断機器を導入し早期発見、進行度の評価に努めている。緑内障は長期にわたる疾患であり、秋田県では遠方からの通院者も多いため、病診連携に力を入れている。緑内障の病型によって薬物治療、レーザー治療を中心に行っており、眼圧のコントロールが難しい症例に対しては手術治療も積極的に行っている。09年の緑内障手術は141件である

網膜硝子体疾患=その疾患の診断に、眼底3次元画像解析や蛍光造影剤眼底撮影等を実施し、適切な診断に努めている。外来治療では、糖尿病網膜症に対するレーザー治療に加えて、加齢黄斑変性症に対する抗VEGF剤の硝子体腔内注射、PDT(光線力学的療法)を実施している。また、最新の網膜硝子体手術装置および手術法を導入し、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑前膜などの網膜硝子体疾患の治療がより安全に行える環境を整えている。09年には網膜硝子体手術295件、抗VEGF剤硝子体腔内注射548件、PDTを104件に実施した

白内障=手術は230件で、ほぼ全例に眼内レンズ挿入術が実施された。レンズは、折畳み眼内レンズを導入しており、小さな切開での手術が可能である。常勤スタッフのほとんどがこの手術に習熟しており、安定した術後成績を得ている。全身麻酔が必要な特殊な白内障患者に対しては、秋田県の中核病院として積極的に受け入れている

ぶどう膜外来=3大ぶどう膜炎とされるサルコイドーシス、ベーチェット病、原田氏病をはじめとして、各種ぶどう膜炎に対する診断治療を行っている。ベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者に対しては最新の治療であるインフリキシマブの投与も行っている

角膜移植=合併症を軽減する目的で深層角膜移植を導入している。角膜穿孔等に対し、羊膜移植も実施している。ドライアイに関しては、涙点プラグなどの治療も行っている

神経眼科疾患=脳神経外科、神経内科とも連携の上、適切な診断治療を行っている。眼瞼けいれんに対してしては、ボトックス注入などの治療も行っている

その他(眼瞼・斜視・弱視)=先天性、加齢による眼瞼下垂と睫毛内反に対し行った手術は年間5例。弱視・斜視の治療では小児の場合、視力の向上、眼位矯正、両眼視機能の獲得を目指す。眼位矯正にあたり斜視手術を施行した症例は年間15例であった。その他、眼瞼、眼球に発生する腫瘍に対する治療にも取り組んでいる。

医療設備

外来診療用機器としてレーザー治療に用いる半導体レーザー、ヤグレーザー、アルコンレーザー、光線力学療法用レーザー機器を備えている。また検査機器では3次元画像解析装置を3台、超音波生体顕微鏡(UBM)、蛍光眼底造影用の検査機器一式も準備している。その他、ハンフリー自動視野計、ゴールドマン視野計、角膜厚測定装置、麻酔薬不要の手持眼圧計(icare)、研究段階の他覚的瞳孔視野計なども用意している。手術室には最新の超音波白内障手術装置、硝子体手術装置を準備し、あらゆる疾患に対応している。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

秋田県のターミナル病院として、耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の色々な疾患の診療に関する広いニーズに応えるための診療体制をとってきている。高齢者に多い平衡障害(めまい)に対しては、総合的平衡機能検査によるめまいの細別診断と治療(外科的治療も含む)を行っている。真珠腫を含む慢性中耳炎に対する聴力の維持・改善のための外科処置の他、補聴器では対応できない高度難聴症例に対しては人工内耳埋め込み術、さらに診断率の向上した聴神経腫瘍に対しては、機能保存を重視する観点からの手術も含めた治療を行っている。最近、増加傾向にある頭頸部がんに対しては、化学放射線療法とともに、外科処置の必要な例に対しては、各種有茎・遊離皮弁による即時再建術を行って患者のQOL向上に努めている。頭蓋底外科を必要とするような進展例に対しても、脳神経外科とのチームアプローチにより対応している。鼻・副鼻腔疾患に対する内視鏡手術はもとより、いびき症に対する外科処置を含む治療や、音声障害に対する外科的治療なども行っている。また、甲状腺の良性、悪性疾患と気管浸潤や縦隔進展例に対する拡大手術にも対応している。

症例数

年間手術件数は400~450例。09年1~12月までの手術件数409例の主な内訳は、耳科手術は50例弱(内訳は、鼓室形成術38、人工内耳3、他)、中頭蓋窩法による聴神経腫瘍摘出術(累積手術件数は60例強であるが、最近はガンマナイフ照射、経過観察の患者も増えており、手術件数は減少傾向にある)。難治性メニエール病に対する内リンパ嚢開放術(これまで30例強)も適応を吟味して行っている。頭頸部悪性腫瘍手術は90例。内訳は、甲状腺がん14(良性腫瘍は10例)、下咽頭がん13、舌がん11、中咽頭がん9、喉頭がん11、上顎がん8、耳下腺がん3(良性腫瘍は10)、他である。遊離皮弁再建については、前腕皮弁17、腹直筋皮弁6、遊離空腸6(最近、新鮮例の空腸の採取は当科で行うようになった)、鼻内視鏡手術は46、その他の鼻腔手術18である

★当該領域の扁平上皮がんに対する治療方針では、化学放射線療法を基本とし、これで根治を目指すことが困難な症例については、原則として術前照射40グレイの後に、外科的切除とともに切除範囲に応じた即時再建手術で対応している。5年生存率は、上顎がん75%、舌がん80%、喉頭がん86%、中咽頭がん67%、下咽頭がん59%、悪性黒色腫65%である。下咽頭早期がんに対して最近は、NBIを駆使した内視鏡下手術(ELPS)も行っている

★顔面神経麻痺に対しては、重症例に対しては入院の上、ステロイド大量療法を行うが、改善傾向の乏しい患者には、障害部位検査成績に応じた顔面神経減圧術を行って回復の促進を図り、良好な成績を得ている

★アレルギー疾患に関しては、免疫療法としての減感作(症例によっては短期入院のうえ急速減感作)の他、薬物療法、必要に応じて外科処置を行って成績をあげてきている

★いびき症に対しては、ポリソムノグラフィーをはじめとした検査結果に基づいてCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の処方、UPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)等の外科的治療、カウンセリング、栄養指導などを行っている

★音声障害に対しては、喉頭枠組み手術を行って成果をあげて来ている。また、外科的処置の必要な嚥下困難症例に対しても対応し、成果をあげてきている。

医療設備

CT、MRI、リニアック、PET等の核医学検査、脳磁図、超音波、各種内視鏡(NBI含む)、ナビゲーションシステム、Xナイフ、レーザー、ABR、ECoG、OAE、ASSR、VEMP、鼻内視鏡手術セット、発声機能検査システム、各種平衡機能検査機器、人工内耳マッピング装置等。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

当科は秋田県の高次皮膚科診療を担う施設であり、県全域から患者が集まって来る。とりわけ、皮膚悪性腫瘍(日光角化症・ボーエン病・有棘細胞がん・基底細胞がん・乳房外パジェット病・悪性黒色腫など)や重症熱傷の治療に力を入れている。その一方で、湿疹・じんま疹などのアレルギー性疾患、白癬・帯状疱疹などの感染症といった一般的な皮膚疾患も多く、common disease(一般的な病気)から重篤な疾患まで、担当している診療領域は広範多岐にわたっている。また当科には、形成外科も併設されており、皮膚・軟部腫瘍の外科的治療を担っている。さらに、種々の皮弁形成術、マイクロサージャリーを用いた血管吻合術、複合組織移植術などにより、熱傷・外傷・手術後の組織欠損に対する再建術を施行している。

症例数

入院患者は年間252例である。その内訳は、皮膚悪性腫瘍169例、皮膚良性腫瘍19例、母斑・母斑症14例、感染症13例、熱傷7例、乾癬2例、薬疹・中毒疹3例、瘢痕3例、皮膚潰瘍3例、血管炎2例、湿疹・皮膚炎5例、紅斑症2例、水疱症3例、その他7例

★手術件数は年間450件である。その内訳は、皮膚悪性腫瘍およびそれに伴う再建209例、母斑・血管腫・皮膚良性腫瘍201例、瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド15例、褥瘡・難治性潰瘍1例、熱傷4例、美容外科2例、その他の先天異常1例、その他の疾患17例

★皮膚悪性腫瘍(悪性黒色腫、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外パジェット病)の治療は、原則として「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」に則り、科学的根拠に基づいた標準治療を行っている

★悪性黒色腫は年間約20例である。開学以来154例の治療成績(5年生存率)は、Stage 0で100%、Iで96.4%、IIで66.1%、IIIで51.9%、IVで14.0%である。悪性黒色腫の検査は、母斑との鑑別に有用なダーモスコープを外来に5台常備し、各診療室において精密な臨床診断を実施している。転移巣の検索には、センチネルリンパ節生検や、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影法)-CTを用いて行っている。治療は、手術と術後補助化学療法を組み合わせて施行している。転移性病変に対しては放射線療法も行っている

★有棘細胞がん・基底細胞がん・乳房外パジェット病の第一選択は手術である。進行例では、放射線療法・化学療法を行っている

★日光角化症・ボーエン病の第一選択も手術であるが、高齢などで手術適応のない症例では、ショートパルス炭酸ガスレーザーを用いた負担の少ない治療を施行している

★これらの皮膚腫瘍、あるいは炎症性皮膚疾患の病理組織検査は年間721例施行している。病理診断にあたっては、病理医と連携したキャンサーボード(診療科の垣根を取り払い、様々な関連各科の専門家が一同に集まり、がん症例について検討する会議)を定期的に開催している

★接触皮膚炎・薬疹に対しては、パッチテストやリンパ球刺激試験により原因を検索している

★アトピー性皮膚炎の治療は、原則として日本皮膚科学会の診療ガイドラインに則り、ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬を第一選択とした治療を行っている。重症例には免疫抑制剤の内服も行う

★乾癬に対しては、ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬が第一選択であるが、第二選択としてレチノイド内服、免疫抑制剤内服、紫外線療法、さらに第三選択としてTNF-α阻害薬による治療を導入している

★天疱瘡・水疱性類天疱瘡などの自己免疫性水疱症に対しては、ステロイドの内服が第一選択であるが、第二選択としてガンマグロブリン療法、血漿交換療法を行っている。以上の炎症性皮膚疾患ではほぼ全例、寛解に到っている

★重症熱傷は、救急部と連携した全身管理を行い、植皮が広範囲に及ぶ場合は同種皮膚移植を行っている。これらにより、重症熱傷の救命率は高い

★皮膚欠損に対する植皮術において、陰圧を持続的にかけることによって植皮片を固定する方法(ネガティブプレッシャーボルスター法)を行い、生着率を高めている。

医療設備

MRI、CT、PET、ダーモスコープ、ショートパルス炭酸ガスレーザーなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

血液・腎臓・膠原病内科(第3内科)

分野

血液内科

特色

東北地方において初めて幹細胞移植を行った国際骨髄移植認定施設である。近年は積極的に臍帯血移植や骨髄非破壊的移植も行っている。難治性自己免疫疾患に対して自己末梢血純化造血幹細胞移植を行っている。柴田昭元教授、三浦亮前教授の臨床血液学の伝統と経験から多くの同門医師が学び、澤田教授の指導の下、造血幹細胞に関する基礎医学から移植医療に応用するトランスレーショナルリサーチを実践している。患者が求める世界最高の治療、そして患者中心の医療を病院スタッフとともに東北・秋田で提供することを理念とする。また、秋田県のほぼすべての基幹病院に同門の血液内科医が複数常勤しているため、大学病院と基幹病院との病診連携は緊密である。日本血液学会認定施設。骨髄移植認定施設。

症例数

秋田県全県あるいは周辺より紹介血液疾患患者を受け入れている。白血病を含む難治性血液疾患の入院患者は常に40人前後であり、移植患者のため無菌室10床が使われている

急性白血病=日本成人白血病研究グループ(JALSG)に参加し、このグループのプロトコールに基づいた治療を行っている。難治性白血病に対しては、臍帯血移植を含む造血幹細胞移植にて治療効果をあげている

悪性リンパ腫=血液病理専門医との緊密な連携をとり、遺伝子診断を含めWHO分類に基づいた診断を行っている。日本臨床腫瘍グループ(JCOG)に参加し、主にこのグループのプロトコールに基づいた治療を行っている。染色体異常や遺伝子異常を加味した予後の評価により、適切な治療を提供できるように努めている。特に、難治性リンパ腫に対しては、積極的に自己末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法にて治療効果をあげている

★難治性血液疾患(再生不良性貧血、赤芽球癆)に関しては、厚生労働省の特発性造血障害研究班に属し、治療研究を行っている。特に赤芽球癆に対しては、澤田教授を中心に免疫抑制療法による治療成績の向上を目指している。輸血依存性の場合は鉄過剰症の治療を積極的に行い、鉄過剰による臓器障害が将来発生しないように最大限の努力を行うことを実践している

慢性骨髄性白血病=分子標的療法により、高い治療成績をあげている。また、国内外の臨床治験に参加し、新規分子標的療法の開発に参加している。特に、分子標的薬について大学病院薬剤部と連携し、therapeutic drug monitoring(TDM:治療効果や副作用などに関する様々な因子をモニタリングし、それぞれの患者さんに個別化した薬物を投与すること)として、個人差に基づくオーダーメイド治療を実践している

★多発性骨髄腫に対しては新規分子標的剤、自己末梢血幹細胞移植、放射線療法を組み合わせ、生存期間の延長を図ると同時に、Quality of Life(QOL:生活の質)を第一に考えたbest supportive careを行うように努めている

★骨髄異形成症候群は、染色体分析を含む国際予後スコアに基づくリスク診断で、新規薬剤を含めた治療方法の提案を行っている。低リスクの場合はQOLを第一に考え外来診療を進めている

★病棟診療では、グループチーフと常勤医師に加え、レジデントとローテート医師およそ5~7人のチームが3つあり、各チームが10~15人の入院患者を担当している。毎週月曜日は血液疾患カンファレンスを行い、最善の治療法を決定していく方針を貫いている。

医療設備

09年に新築された第二病棟8階に無菌室10床、血液疾患に約30床。CT、MRI、PET-CTをはじめ大学病院として高度な医療設備を備えている。末梢血幹細胞採取のために、最新型のフレゼニウス社血液成分分離装置と専門技師が病院輸血部に配属されている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

当科では脳血管障害や脳腫瘍の治療を中心に、脊椎脊髄疾患、先天性奇形など脳神経外科全般にわたり、最先端の治療を行っている。具体例としては、脳磁図(MEG)による術前の神経機能マッピング、手術ナビゲーションシステムや術中血管撮影を用いた手術があげられる。また、脳神経外科の分野でも近年、低侵襲性の治療の必要性が高まり、神経内視鏡を用いた手術やマイクロマルチリーフコリメーターを用いた定位的放射線治療(リニアックナイフ)にも取り組んでいる。リニアックナイフの分野では日本有数の症例数を誇っている。マイクロサージャリーによる脊椎・脊髄の低侵襲手術件数は急速に増加している。

症例数

年間手術件数は約450例

脳血管性障害(年間約60例)=手術難易度の高い脳動脈瘤症例の紹介が多い。手術の安全性と確実性を確保するために、電気生理学的術中モニタリングを駆使し、術中DSAや術中蛍光血管撮影など形態的モニタリングも多用している。最も手術の困難な巨大脳動脈瘤に対しては、動脈瘤の母血管内にカテーテルを留置して、血流遮断と血液の逆行性吸引を同時に行うことにより、脳動脈瘤を虚脱化させながら安全に処置する方法を開拓した。この方法は、特に内頸動脈領域の動脈瘤に対して有効であり、これまで約40例にこの方法を用い、良好な手術成績を得ている。また、手術顕微鏡で観察することが困難な術野の裏側を、神経内視鏡により同時に観察する方法を開発し、脳動脈瘤の手術に応用している。手術顕微鏡と神経内視鏡の同時観察は、脳動脈瘤手術の合併症である穿通枝障害を回避するために有用である

脳腫瘍(年間約80例)=悪性腫瘍が約半数を占める。術前にファンクショナルMRI(fMRI)、MEG、ポジトロンCT(PET)、硬膜下電極などを用いた脳機能マッピングを行い、病巣と機能的に重要な部位の位置関係を明らかにした上で手術計画を立てている。脳腫瘍(特に神経膠腫)の手術においては、CT・MRIなどの形態学的画像情報とPETによる脳代謝情報、脳機能マッピング情報を統合して手術ナビゲーションシステムに取り込む技術を確立し、これらを手術支援システムとして用いることにより、脳実質内腫瘍への適切な到達ルートや摘出範囲を設定し、術後の機能障害を最小限にとどめつつ、腫瘍を最大限に摘出するよう努めている。悪性脳腫瘍に対する放射線・化学療法の併用については、放射線科、内科、小児科等の協力を得て集学的な医療を行っている

脊髄脊椎疾患(年間約100例)=脊椎変性疾患(頸椎症、腰椎症、頸部・腰部脊柱管狭窄症、頸椎・腰椎椎間板ヘルニア)に対しては、まず保存的治療を行い、保存的治療で改善しない症例にのみ外科的治療を行っている。手術には手術顕微鏡を用い、皮膚切開を最小限として筋層を温存する低侵襲手術を心がけている。一般的に手術翌日に離床、1週間で退院となる。脊髄腫瘍、靭帯骨化症、脊髄動静脈奇形など、脊髄症状が強い症例に対しては各種モニタリング(SEP、MEP、術中DSA、誘発筋電図など)を使用して安全、確実な手術を行っている

定位的放射線治療(年間約150例)=リニアックナイフを行うのに必要な入院期間は1回照射の場合は通常3日間、分割照射の場合は1~2週間である。原則的に病変の最大径が25mm以下の場合は1回照射、25mm以上の場合は分割照射となる。症例の内訳は転移性脳腫瘍が約60%を占め、その他、悪性脳腫瘍、良性脳腫瘍、脳動静脈奇形を中心に治療を行っている。

医療設備

MRI(3.0テスラ、1.5テスラ)、MDCT、PET-CT、SPECT、脳磁計(MEG)、DSA、定位的放射線装置(リニアックナイフ)、手術ナビゲーション装置、手術用超音波吸引装置、定位脳手術装置、術中DSA装置、神経内視鏡、誘発電位測定装置、脳神経モニタリング装置、経頭蓋超音波ドプラ装置、経頭蓋電気刺激装置、24時間ビデオ脳波モニタリング装置、脳局所酸素飽和度測定装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

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