[「花粉症の目のかゆみ」は病院で治療しよう!] 2012/12/07[金]

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 春や秋だけでなく、最近では1年中辛い思いをしている方も見かける花粉症。日本気象協会が2012年10月に発表した花粉飛散予測(第1報)によると、2013年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)の飛散数は、2012年夏の猛暑の影響で、中国地方から北海道にかけては例年並みか例年より多く、関東・東北地方は例年のおよそ1.5倍になると言われています。そんな“国民病”といっても過言ではない花粉症の症状で、鼻水や鼻づまりと並んで、多くの方が悩んでいるのが「目のかゆみ」です。
 花粉症の目のかゆみに対して、みなさんはどんな対策をしているのでしょうか? QLifeでは、東京女子医大眼科学教室教授 高村悦子先生の監修のもと、花粉症の目のかゆみに関するリサーチを行い、5851人から回答を得ました。その結果概要をお伝えします。

もはや日常!?平均3.5ヶ月も花粉症の症状に悩んでいる

 今回、アンケートに協力いただいた5851人に「この3年間のうちに花粉症で悩んだ経験はありますか?」と聞いたところ、約半数の2859人が「はい」と回答しました。続いて、その2859人の皆さんに花粉症で悩む時期を月ごとに聞いたところ、やはり多かったのが「3月」(84.8%)「4月」(78.0%)という回答。平均でなんと3.5ヶ月もの間、花粉症に悩んでいることが分かりました。最も症状が辛い月は?という質問に対しては約半数の方が「4月」と回答。花粉症に悩む方にとって、春は「長くつらい季節」だといえそうです。

「目のかゆみ」「鼻水」の2大症状に加え、平均5つの症状に悩んでいる

 花粉症でどんな症状に悩んでいるかを聞いたところ、実に平均5つの症状に悩んでいることが判明。最も多かったのが「目のかゆみ」で86.7%がその症状を訴えていました。次いで、「鼻水」(83.0%)、「くしゃみ」(68.9%)、「鼻づまり」(55.8%)の順となっています。その中で最も辛い症状については、「鼻水」(31.6%)と「目のかゆみ」(30.3%)に回答が多く集まりました。

そんなにつらいのになぜ? 多くが「病院受診せず」「症状出てから対策開始」

 平均して3.5ヶ月、5つの症状と、長くつらい花粉症。ところが、花粉症治療のために病院・クリニックを受診したのは半数以下の42.6%という結果に。さらに、花粉症対策をスタートするタイミングを聞いたところ、65.4%が「症状が出た後」と回答しました。

「病院での治療」「市販薬やマスク」の満足度をくらべてみると

 花粉症の目のかゆみ対策に「病院での治療」は効果があるのかを、病院に行った方と行かずに市販薬やマスクなどで対処した方の双方に「治療満足度」という形で調べてみました。すると、病院で治療した方は「大変満足」「やや満足」が68.3%だったのに対し、行かなかった方は40.5%と大きな差が出ました。花粉症の目のかゆみ対策として話題になっている、抗アレルギー点眼薬を使用する「初期療法」経験者では、90%以上が「非常に効果があった」「やや効果があった」と回答。「病院を受診」し、かつ「初期療法に取り組んだ」方が治療満足度が高いことが分かりました。

キーワードは「早め」の「眼科」。悩む人は眼科にも「かかりつけ」を

 今回の結果について高村先生は「夜眠れなくなってしまうケースもある鼻づまりと比べて、目のかゆみは市販の点眼薬など自己判断で対処しがちですが、使い過ぎで瞼がかぶれたり、角膜を傷つけたりする可能性などもあります。我慢しないですぐに眼科医を受診することをおすすめします」と語ります。
 また、先生は「花粉症の治療の考え方」についても、「症状が出てからその症状を治す対症療法的な考え方よりも、花粉飛散がピークになる前に眼科を受診し、しっかりと“準備”をして花粉を迎え撃つ、という考え方の方がより効果的です。その“準備”の1つとして、抗アレルギー点眼薬による初期療法があります」とアドバイス。3ヶ月という長い期間悩ます花粉症の目のかゆみ。これを機会に自分の目の状態を良く知る「眼科のかかりつけ」を作ってみてはいかがでしょうか。

東京女子医科大学 眼科臨床教授  高村悦子先生

1979年 東京女子医科大学卒業、同年東京女子医科大学眼科に入局。
2010年より東京女子医科大学 眼科臨床教授。
日本眼科学会専門医・指導医、日本角膜学会 評議員、日本眼炎症学会 理事、日本眼感染症学会 評議員、日本アレルギー学会 代議員、日本眼科アレルギー研究会 副理事長 などに従事。
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