HDRA法又はCD-DST法による抗悪性腫瘍感受性試験とは

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2009年05月01日現在

適応される症状 消化器がん(根治度Cの胃がんを除く。)、頭頸部がん、乳がん、肺がん、がん性胸・腹膜炎、子宮頸がん、子宮体がん又は卵巣がん
技術概要 進行がん患者から手術等によって摘出した腫瘍組織を、コラーゲンゲルマトリックス上で各種抗悪性腫瘍剤とともに培養する。培養終了時にコラゲナーゼ処理し、MTTアッセイにより抗悪性腫瘍剤に対する感受性を判定する。この方法をHistoculture Drug Response Assey (HDRA法)と称する。  また、腫瘍組織を酵素処理して単離浮遊細胞を得、これを細胞培養基質であるコラーゲンゲルをコートした培養器に入れ一晩培養する。この工程により、試験に不必要な血球細胞や死細胞が除かれ、生きた腫瘍細胞のみを回収することができる。この回収された腫瘍細胞とコラーゲン溶液とを混ぜ、培養器に30μlずつ滴下しゲル化させることによりコラーゲン・ゲル・ドロップに培養液を重層、抗悪性腫瘍剤を添加し、腫瘍細胞に抗悪性腫瘍剤を曝露させる。本試験はgrowth assayであることから、抗悪性腫瘍剤曝露後増殖培養として無血清培養を7日間行う。この無血清培養で、混入する線維芽細胞の過度の増殖を抑え、がん細胞の良好な増殖を再現できる。増殖培養終了後、ニュートラルレッド染色によりコラーゲン・ゲル・ドロップ内に残存する腫瘍生細胞を染色し、そのコラーゲン・ゲル・ドロップ内の映像をビデオマイクロスコープにより撮影入力し、画像解析装置により、コラーゲン・ゲル・ドロップ内に混入した繊維芽細胞を画像上消去し、残存したがん細胞のみの細胞数を測定する。抗悪性腫瘍剤添加群と非添加群の相対増殖比をみることで各抗悪性腫瘍剤の抗腫瘍効果が評価できる(CD-DST法)。また、がん性胸膜炎、腹膜炎より得られるがん性胸水、腹水に対しても評価が可能で、酵素処理を省いて同様の工程で抗悪性腫瘍剤感受性を評価することができる。この方法を本方法の特徴の一つとして抗悪性腫瘍剤接触濃度が臨床血中薬剤濃度を再現した生理的濃度で評価できることが挙げられ、in vitroにおいて多剤併用や弗化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の異なる投与法の抗腫瘍効果も評価することができる。  本技術においては、個々の患者の癌の薬剤感受性をin vitro試験で検査し、最も適切な治療薬を選択することができる。

「新しい医療」とは、近年に先進医療と認定されたことがあるものの、一定の期間が過ぎて効果や危険性が充分確認された後、現在は削除(承認取消等)されている高度な治療法です。QLife独自の呼称です。
保険適用の治療法になる場合と、保険診療には適さないとされる場合があり、前者の場合は、一般の医療機関でも治療を受けることができます。後者は、比較的に先端的な医療であり一部の患者さんにとっては選択肢として検討に値する場合があります。

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