出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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血友病性関節症
けつゆうびょうせいかんせつしょう

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血友病性関節症とは?

どんな病気か

 血友病は、血液凝固能の低下により、身体各部に出血を生じやすい遺伝病です。血友病A血友病Bとがあり、両者を併せ、日本では出生男子10万人あたり12人の頻度でみられます。女子には極めてまれな病気です。

 血友病では、関節内に出血を繰り返しやすい特徴があり、とくに幼児期、学童期に多くみられます。最も多いのは足、膝、肘関節、次に多いのは股、肩関節です。出血を繰り返すうちに、しばしば関節の変形と機能障害が進行します。

原因は何か

 血友病Aは血液凝固第VIII因子、血友病Bは第IX因子の欠乏に起因します。X連鎖劣性遺伝のため、患者の大多数は男性です。

症状の現れ方

 初期には、関節の疼痛、腫脹、熱感などがあっても、凝固因子を静脈注射すると、出血はすぐに止まります。しかし出血を繰り返すうちに関節滑膜が肥厚・増殖し、軽微な外傷でも出血を生じやすくなります。さらに進行すると関節軟骨が破壊され、関節の変形・拘縮から、時には強直にまで至ります。

検査と診断

 関節症の診断は、診察(関節の可動域など)とX線検査が基本ですが、MRIや超音波検査を行うこともあります。

治療の方法

 治療の基本は、関節内出血の早期に凝固因子を静脈注射により補充することです。出血の頻度を減らすため、予防的に凝固因子を補充したり、装具を装用する方法もあります。滑膜の増殖期に滑膜切除術、末期の関節症に対し人工関節置換術などの手術が行われることもあります。ヒアルロン酸の関節内注入も有効とされています。

病気に気づいたらどうする

 関節内出血の際、患部を安静に保つ、冷やす、圧迫する(弾性包帯などで)、挙上する(心臓より高く)処置が大切です。

血友病性関節症と関連する症状・病気

(執筆者:東京大学大学院医学系研究科発達医科学教授 水口 雅)

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