出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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ビオプテリン異常症
びおぷてりんいじょうしょう

もしかして... フェニルケトン尿症

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ビオプテリン異常症とは?

原因は何か

 フェニルケトン尿症の原因はフェニルアラニン水酸化酵素の異常ですが、フェニルアラニン水酸化酵素が正常にはたらくためにはテトラヒドロビオプテリン(BH4)という物質が必要であることがわかってきました(図42図42 フェニトルケトン尿症における代謝異常)。このような酵素のはたらきを助ける物質のことを補酵素と呼んでいます。

図42 フェニトルケトン尿症における代謝異常

 ビオプテリン異常症とはビオプテリンの代謝経路の異常によりテトラヒドロビオプテリンが欠乏し、フェニルアラニン水酸化酵素活性が低下する病気です。そのため、フェニルケトン尿症と同様にフェニルアラニンが体内に蓄積します。

 新生児マススクリーニングでフェニルアラニンが高いために病院を受診し、フェニルケトン尿症が疑われた新生児10人に1人くらいの割合でビオプテリン異常症が発見されています。

症状の現れ方

 フェニルケトン尿症と診断され、低フェニルアラニン食事療法を行っているにもかかわらず、知能障害やけいれんが改善しないのが特徴です。かつては原因がわからなかったので悪性高フェニルアラニン血症と呼ばれていました。

治療の方法

 本症はフェニルアラニンが体内に蓄積するだけでなく、脳内で信号や情報を伝える役割をもつ物質(神経伝達物質)が欠乏することがわかっています。そのため、治療にはテトラヒドロビオプテリンを投与するだけでなく、体内で神経伝達物質に変化する薬物を投与することが必要です。

(執筆者:仙台市立病院小児科医長 大浦 敏博)

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