チョコレート嚢胞
ちょこれーとのうほう
チョコレート嚢胞とは?
どんな病気か
子宮内膜症性卵巣嚢胞ともいいます。子宮内膜症は、本来子宮の内面をおおっている子宮内膜と同様の組織が、子宮の内面以外の部位にできる病気です。子宮内膜症は骨盤内にできることが多く、腹膜、卵巣に病巣を形成することがよくあります。ほかに、膀胱、直腸などの腸管、肺、皮膚にもできることがあります。
卵巣に病巣を形成した子宮内膜症が進むと、卵巣内に嚢胞を形成します。この嚢胞内に主として月経の時に出血を繰り返すことにより、内腔に古い血液がたまったものが子宮内膜症性卵巣嚢胞、すなわち、チョコレート嚢胞です。エストロゲンに依存する疾患であるため、初経から閉経までの生殖可能年齢の女性に発症します。
原因は何か
卵管を通って腹腔内に逆流した月経血のなかの子宮内膜が腹膜に生着する、もしくは、腹膜が何らかの原因により子宮内膜に似た組織に変化することなどが考えられていますが、確定したものはありません。
検査と診断
診断のために直腸診、婦人科的内診を行います。経腟超音波断層法、MRIなどの画像診断が有用です。嚢胞の内壁は平滑で、さまざまな古さの血液がたまっています。内腔に突出した腫瘤性の病変が認められた場合は、悪性腫瘍の合併も考慮します。血液中の腫瘍マーカーであるCA125、CA19-9の測定も補助的診断として行うことがあります。
画像診断では、下腹部に内腔に血液状の内容物を含む嚢胞が認められます。嚢胞は右または左の片側にできた単房性(嚢胞がひとつ)のものから、両側にできるもの、多房性のものまでさまざまです。CA125、CA19-9の値は軽度に上昇していることが多いようです。
治療の方法
手術療法または薬物療法を行います。小さなものに対しては、低用量ピル、ダナゾール(ボンゾール)、GnRHアナログ、ジエノゲスト(ディナゲスト)といったホルモン療法だけで有効なこともありますが、一定の大きさ(直径5cm程度)以上のものでは手術療法が必要です。薬物療法は薬によって特有の副作用を伴うことが多いので、使用前に十分に副作用の説明を受けておくことが大切です。
手術療法には、開腹手術と腹腔鏡手術(おなかに小さな孔をあけて内視鏡を使って行う)があります。いずれの手術においても卵巣ごと摘出する全摘術と、嚢胞だけを摘出して卵巣実質を残す核出術があります。核出術の場合は、一般に2~3割の再発の可能性があります。ただし、小さなもので症状がまったくない場合は経過観察だけでもよいでしょう。
病気に気づいたらどうする
本疾患にあてはまる症状がある場合には、産婦人科を受診することが望まれます。
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