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多胎妊娠
たたいにんしん

多胎妊娠とは?

どんな状態か

 多胎妊娠とは2人以上の胎児が同時に子宮内に存在する状態をいいます。双胎妊娠(ふたご)には一卵性双胎と二卵性双胎とがあります。二卵性双胎は2個の受精卵から発生したもので、2個の胎盤があり、二絨毛膜二羊膜となります。一卵性双胎は1個の受精卵が分裂することにより発生し、分裂の時期により二絨毛膜二羊膜、一絨毛膜二羊膜、一絨毛膜一羊膜のいずれかとなります。

 周産期死亡率は単胎妊娠の4倍になります。なかでも一絨毛膜性双胎は、二絨毛膜性双胎に比べて周産期死亡率は5倍になります。一絨毛膜性双胎の予後が不良である理由は、主として双胎間に血管吻合(血管がつながっている)が認められることです。

症状の現れ方

 一般的な症状としては、つわりが強く、子宮の増大が速いことがあります。早産、妊娠高血圧症候群、貧血、子宮内発育遅延を併発しやすくなります。妊娠末期には子宮の著しい増大のため、下肢や外陰部に浮腫が起こりやすくなります。

検査と診断

 診断は超音波断層法により行われます。多胎妊娠の診断がついた場合には、胎嚢・羊膜の数、隔壁の形・厚さなどにより、膜性診断(絨毛膜および羊膜の数を調べる)を行います。妊娠早期のほうが膜性診断を行いやすくなります。

 一絨毛膜性双胎に特異的に起こる合併症として重要なのが、双胎間輸血症候群です。胎盤に血管吻合が存在し、一方の胎児から他の胎児に血液が移動します。供血側の胎児は貧血、心臓肥大、羊水過少となり、受血児では多血、心拡大、心不全、胎児水腫、羊水過多となります。この状態が長期化することにより両児の体重差が生じます。これは一絨毛膜性双胎の4~35%に起こり、周産期死亡率は60~100%とされています。

 双胎の1児が死亡した場合、二絨毛膜性双胎では胎盤循環が分離されているため健児には影響が及びません。しかし、一絨毛膜性双胎では他児の死亡もしくは脳障害が生じることが知られています。

治療の方法

 多胎妊娠の一般的な治療として重要なのは、早産と妊娠高血圧症候群の予防です。早産の発生は単胎妊娠の約9倍であり、妊娠中期からの入院安静、予防的な頸管縫縮術(子宮頸部を輪状に縫縮する)などさまざまな早産予防のための試みがなされていますが、すべてのケースに対して行うべきであるかについてはむしろ否定的です。早産・妊娠高血圧症候群の徴候をとらえるために妊娠早期より頻回にチェックし、必要に応じ各種処置が行われるのが一般的です。

 一絨毛膜性双胎は早期より双胎間輸血症候群の発生に注意し、その徴候がある場合には入院安静とします。発生した時には胎児の生存が期待できる場合には早期娩出、そうでない場合には反復羊水除去や吻合血管焼灼術などが行われることがあります。1児が死亡した場合には他児の状態も急変することがあるため、早期娩出が図られることがありますが、その取り扱いに関しては一定の見解は得られていません。

 経腟分娩の際には1児の娩出後に臍帯脱出や常位胎盤早期剥離などを起こす可能性があるので、1児娩出直後から厳重なモニタリングが必要です。

(執筆者:東京大学医学部附属病院女性診療科・産科教授 上妻 志郎)

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東京大学医学部附属病院女性診療科・産科教授 上妻志郎

 多胎妊娠の頻度についてはヘリンの法則が知られており、「80のnマイナス1乗」回の分娩(n=胎児数)に1件の頻度であるとされています。日本ではそれより頻度は低く、過去の統計では双胎妊娠(ふたご)は150分娩に1件でした。

 しかし、最近では排卵誘発薬の使用により、頻度は増加しています。双胎妊娠は1998年では100分娩に1例となり、品胎(みつご)は3600分娩に1例で50年前の5倍となっています。

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