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心室中隔欠損症
しんしつちゅうかくけっそんしょう

もしかして... 先天性心疾患  気管支炎  肺炎

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心室中隔欠損症とは?

どんな病気か

 心臓には右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋がありますが、そのうち右心室と左心室の間を隔てる壁つまり心室中隔に孔があいた病気を心室中隔欠損症と呼びます(図15図15 心室中隔欠損)。

図15 心室中隔欠損

原因は何か

 遺伝性や家族性が認められるものではなく、ある一定の頻度で現れる疾患です。先天性心疾患のなかで最も多い疾患で、全体の約15~30%が本症です(コラム先天性心疾患の頻度 )。

症状の現れ方

 孔の大きさによって、大まかに3つの種類に分けることができます。

 1つ目は、小さい孔の場合ですが、これは無症状であるため手術をしなくても生活の不自由はまったくありません。孔の大きさは一生を通じて小さくなる傾向にあり、とくに2歳までに自然閉鎖することも比較的高率に期待できます。ただし、無症状とはいっても、細菌性心内膜炎の有力な危険因子です。細菌性心内膜炎を起こした場合には高熱、倦怠感という症状が現れます。抜歯の際にはその危険性が高まるので、抜歯の1時間前と6時間後に抗生物質を服用して細菌性心内膜炎を予防するようにしなければなりません。

 2つ目は、中等度以上の大きさの孔がある心室中隔欠損症の場合で、生後1カ月ころからミルクの飲み方が悪くなったり、体重が増えなくなったり、呼吸が速く寝汗をかいたり、しばしば気管支炎肺炎を繰り返すといった症状が現れます。そのため手術で孔を閉鎖する必要があります。

 3つ目は、心室中隔欠損症だけではなく他の種類の心疾患と合併して現れている場合です。この場合にも一般に他の心疾患と一緒に手術で閉鎖することが必要です。

検査と診断

 通常は心臓の雑音(心雑音)で発見されます。時には、母親が赤ちゃんの胸でザーザーという振動を感じるということから健診で発見されることもあります。胸部X線、心電図や心エコー検査を用いて診断を確定することができます。

治療の方法

 人工心肺装置を用いて心内修復術を行います。つまり、心臓をあけて、孔を直接見ながら外科的にパッチで閉鎖する手術が行われます。

病気に気づいたらどうする

 信頼できる循環器の専門医に相談してください。

 また、手術は必要ないが経過をみましょうといわれている場合や、本症で手術を行った人は、前に述べた細菌性心内膜炎の予防を励行してください。

(執筆者:さとみクリニック院長 里見 元義)

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コラム先天性心疾患の頻度

さとみクリニック院長 里見元義

 先天性心疾患の発生する頻度は、どの時代でも世界的にほぼ一定していて、人種的および時代的に大きな差は認められないといわれてきました。

 発生の頻度は新生児1000人に対して7~8人、軽い疾患まで加えても1000人に10人(1%)前後となっています。例外的に人種的な偏りがある疾患もあり、心室中隔欠損のなかのあるタイプは東洋人での発生頻度が高いことがわかっています。

 疾患別にいちばん多いのは心室中隔欠損症(約15%)で、以下心房中隔欠損症(約7%)、ファロー四徴症(約7%)、肺動脈狭窄(約7%)、大動脈狭窄(約6%)、動脈管開存(約5%)、大血管転位症(約5%)、心内膜床欠損(約5%)、大動脈縮窄(約5%)、僧帽弁疾患(約5%)、原発性心筋疾患(約3%)、その他(約30%)と続いています。その他のなかには、左心低形成症候群、大動脈や肺動脈などの大血管の起始異常、三尖弁閉鎖などの疾患が含まれています。

 心室中隔欠損のなかには自然に閉じる例もありますし、心房中隔欠損でも小さい欠損孔は2歳までに自然に閉じるものもあります。また、極めて重症の先天性心疾患の患者さんは、生後数日で死亡してしまうこともありますし、生後1年未満で死亡することもあります。以前は生まれて数日で死亡する疾患であったのが、外科治療の進歩に伴い、生存できるようになった疾患もあります。

 したがって、病気別に頻度を調べる時期が、出生時に調べたのか、生後1カ月で調べたのか、あるいは生後1年で調べたのかによって当然異なってきます。その意味ですべての頻度は、おおよそ何%という表現をしましたが、おおむねは変わらないと思ってよいでしょう。

 心室中隔欠損についてはもっと頻度が高く、約30%とする統計も多くみられ、1986年に日本で新生児期に限って行われた調査では、心室中隔欠損の頻度は全部の先天性心疾患の56%を占めていました。その後、自然に閉じる例があって頻度が減少するものと考えられています。

コラム先天性心臓病の子どもの予防接種

さとみクリニック院長 里見元義

 一般に、先天性心疾患であるから予防接種をすることができないと考えるのが正しくありません。むしろ心臓と肺に負担がかかっていて、原疾患にかかる負担に加えて感染症に罹患した場合の負担が重症化することを考慮すれば、先天性心疾患のない子どもにも増して、感染症に罹患することを予防したり、症状を軽くしてあげる必要性があるといえるでしょう。

 とくに先天性心疾患と関係して、免疫力(感染に対する体の抵抗力)にいくらか影響がある疾患が知られています。

 まず無脾症候群ですが、この症候群では脾臓がないことと関係して、免疫力が低いことが指摘されており、とくに肺炎球菌感染症で死亡する子どもがいることが報告されています。最近では、無脾症候群の子どももフォンタン手術を受けて、チアノーゼが消失し、一見ほとんど普通の子どもと同じような生活ができるようになっている例も増えていますが、それだけに予防接種の重要性が注目されてきています。

 肺炎球菌に対する予防接種は、現在日本で可能なものとしてはニューモバックスがありますが、これは2歳未満の子どもに対しては禁忌とされています。では2歳未満の子どもの予防はどうすればいいかというと、現在のところ日本で許可されている予防接種はないのが実状です。小児循環器の医師が中心になって、2歳未満の子どもにも使える予防接種の認可を厚生労働省にはたらきかけているところです。

 もうひとつの疾患は「22q 11欠失症候群」です。「CATCH22症候群」と呼んだ時期もありましたが、現在では「22q 11欠失症候群」と呼びます。ファロー四徴症や大動脈弓離断症候群、総動脈幹症などの一部が本症候群に含まれることから、心臓病と関係の深い症候群といえます。

 22q 11欠失症候群の一部には、生まれつき胸腺のないディジョージ症候群が含まれています。ディジョージ症候群では、胸腺で形成されるT細胞が受けもつ細胞性免疫が低下しています。ディジョージ症候群の子どもで、細胞性免疫が完全欠損している場合には、原則として生ワクチンの接種は禁忌です。完全欠損している場合、生ワクチンを接種すると、実際に発症してしまうことがあるからです。しかし、実際には細胞性免疫の完全欠損の場合は少なく、いくらかを有していることが普通です。主治医に相談して、どの程度の細胞性免疫を有しているかを検査してもらい、それによって生ワクチン接種の可否を判断してもらってください。

 22q 11欠失症候群のすべての患者さんに発症するわけではないので過剰に心配する必要はありませんが、頻繁に滲出性中耳炎や膀胱炎などを繰り返している患者さんの場合には、ディジョージ症候群と22q 11欠失症候群がオーバーラップしている疑いがあるので、主治医に相談のうえ、血液検査で細胞性免疫を調べてもらうことをすすめます。

心室中隔欠損症に関する医師Q&A