出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
橈骨神経麻痺
とうこつしんけいまひ
橈骨神経麻痺とは?
どんな病気か
橈骨神経は正中・尺骨神経と並び、腕を走る大きな神経のひとつです。橈骨神経のはたらきは、①肘関節を伸ばすこと(上腕三頭筋の収縮による)、②上腕二頭筋と協力して肘関節を収縮すること(腕橈骨筋の収縮による)、③手首と手指を伸ばすことです。感覚領域は手の背部で親指、人差し指とそれらの間の水かき部を支配しています。
原因は何か
橈骨神経麻痺は、上腕中央部で上腕骨のすぐ上を走っている神経が、骨と体の外の硬い異物との間で圧迫されることで起こります。
症状の現れ方
症状は、手指や手首が伸ばしにくく(垂れ手)なり、しびれ感と感覚の鈍さが親指と人差し指の間にある水かき部に起こります。橈骨神経麻痺は圧迫性末梢神経障害のなかで頻度の多いもののひとつです。
典型的には、深酒をしたあとに腕枕をしたり、ベンチに腕を投げ出すような無理な姿勢をすることや、腕枕をすることで上腕で神経が圧迫されることにより発症します。
治療の方法
発症早期にメチルコバラミンや副腎皮質ステロイド薬などを服用することが有用です。予後はおおむね良好で、多くの場合1~3カ月で完治しますが、麻痺を容易に繰り返す場合は髄鞘という神経のまわりを包む構造の異常がありえるので、医師に相談されたほうがよいでしょう。
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