出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
すべて
病名
 × 

良性外耳腫瘍
りょうせいがいじしゅよう

もしかして... 粉瘤  アテローム  ほくろ  悪性黒色腫  血管腫

つぶやく いいね! はてなブックマーク

良性外耳腫瘍とは?

どんな病気か

 外耳道や耳介の皮膚には皮膚上皮のほか、毛嚢、耳垢腺、皮脂腺などの皮膚付属器が豊富にあるので、皮膚の基底膜以外からもさまざまな腫瘍が発生します。

 外耳道・耳介に多い良性腫瘍は、①粉瘤、②類皮様嚢腫、③色素性母斑、④血管腫、⑤脂漏性角化症、⑥腺腫、⑦肉芽腫などです。

症状・検査と診断・治療

粉瘤アテローム

 皮脂腺の貯留嚢胞で、耳垂や耳介後面に好発します。通常は無症状ですが、感染を伴うとつぶれて、オカラ状の内容が出てきます(図15図15 良性外耳腫瘍:耳介アテローム)。

②類皮様嚢腫

 全身の皮膚に生じる嚢腫で、顔面や頭部に好発します。耳介では耳垂後面に多く、角化して生じた角質が貯留分解し、酪酸様の悪臭を放つ粥状の内容物が充満しています。

③色素性母斑

 出生時からみられる、褐色ないしは黒色の色素斑で、扁平なものから隆起性のものがあり、時に剛毛を伴うこともあります。大きなほくろなので美容上の観点から切除することが多いです。悪性黒色腫との区別が重要です。

血管腫

 先天性ですが、生後数カ月間は拡大する傾向があります。単純性・イチゴ状・海綿状の3種類に分類されます。イチゴ状血管腫では自然消退もありえるので、10歳前後まで経過を観察します。あまり縮小しないものや、美容上問題となる場合はレーザー手術や冷凍手術を行います。

脂漏性角化症

 外耳道入口部に生じることの多い腫瘍です(図16図16 良性外耳腫瘍:外耳道の脂漏性角化症)。

⑥腺腫

 耳垢腺、皮脂腺から発生する良性の腫瘍です(図17図17 良性外耳腫瘍:外耳道の腺腫)。

⑦肉芽腫

 ピアスなどの刺激により反応性の肉芽増殖が起こり、腫瘤となります(図18図18 良性外耳腫瘍:ピアスによる肉芽腫)。

良性外耳腫瘍と関連する症状・病気

(執筆者:たてもと耳鼻咽喉科クリニック院長 立本 圭吾)

おすすめの記事