出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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ターナー症候群
たーなーしょうこうぐん

ターナー症候群とは?

どんな病気か

 低身長および性ホルモン低下を主な徴候とする、女性の病気です。いろいろな体表奇形を伴うことがあります。空間識別能力や注意力など、高次脳機能の問題を合併することもあります。症状の程度や、症状が表面化する時期はさまざまです。

原因は何か

 染色体の数の異常による先天的な病気です。正常の女性は22対(44本)の常染色体に加え、性染色体であるX染色体を2本もっています(46,XX)。これに対しターナー症候群の患者さんではX染色体が1本不足しています(45,X)。女児1000人の出生に1~2人みられる、頻度の高い疾患です。

症状の現れ方

 重症の患者さんでは、新生児期からリンパ浮腫(手足がむくむ)、耳介の異常(変形、低位付着など)、翼状頸(首の両側の皮膚が広く余る)、外反肘(肘以下が橈骨側にそり返る)などがみられます。心血管奇形(大動脈縮窄症など)の合併もみられます。より軽症の場合では、幼小児期に発育発達不良から、この病気に気づかれることがあります。思春期年齢には乳房の発達や陰毛の発生がない、月経(生理)が来ない、といった問題から判明します。月経が発来する場合もありますが、まもなく止まることが多いとされます。成人期では骨粗鬆症が問題となります。糖尿病の合併も多いです。

検査と診断

 思春期以降では、血液検査で「女性ホルモンが低く、性腺刺激ホルモンが高い状態」が手がかりになります。これが判明したら染色体検査を行い、「45,X」であることが証明されれば確定です(他に変化型もあります)。思春期以前では、疑わしい症状があれば直接染色体検査を行います。

治療の方法

 ターナー症候群の低身長に対して、成長ホルモン補充療法が1999年に国内承認されています。週6~7回の自己皮下注射を行います。女性ホルモンの不足に対しては、内服薬による補充が行われます。骨粗鬆症の内服治療も行われます。

病気に気づいたらどうする

 年齢により、小児科、婦人科あるいは内分泌内科での検査がすすめられます。

(執筆者:弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学助教 二川原 健)

ターナー症候群に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、ターナー症候群に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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