骨粗鬆症
こつそしょうしょう
骨粗鬆症とは?
どんな病気か
骨量の減少と骨組織の微細構造の異常の結果、骨に脆弱性(もろくて弱くなること)が生じ、骨折が生じやすくなる疾患です。骨軟化症では全骨量(類骨と石灰化した骨の合計)は減少しませんが、骨粗鬆症では全骨量が減少するのが特徴です。正常な骨では、骨吸収と骨形成のバランスが保たれ、骨量は維持されていますが、骨粗鬆症では、骨吸収が骨形成を上回るため骨量が減少します。
高齢社会を迎え、骨粗鬆症の患者さんは年々増加の一途をたどり、約1000万人を突破しているといわれています。以前は単なる加齢現象ととらえられていましたが、骨粗鬆症は骨の病的な状態と考えるべきです。
合併症として、椎体圧迫骨折や大腿骨頸部骨折を生じると、患者の日常生活動作を著しく低下させ、さらには生命予後にも関わってきますので、早期の診断、治療が望まれます。
原因は何か
基礎疾患の有無により、①原発性骨粗鬆症と②続発性骨粗鬆症に分類されます。
原発性骨粗鬆症のうち、主として閉経後の女性にみられる閉経後骨粗鬆症と、65歳以上の高齢者にみられる老人性骨粗鬆症があり、これらが全体の約90%を占めています。
一方、続発性骨粗鬆症の原因としては、内分泌疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、先天性疾患、薬物性などがありますが、ステロイド投与による骨粗鬆症に注意すべきです。
症状の現れ方
通常、骨量の低下のみでは症状が出現することはありません。骨折に伴って疼痛や変形が出現します。
原発性骨粗鬆症では、股関節の骨折(大腿骨頸部骨折)、手首の骨折(撓骨遠位端骨折)、脊椎圧迫骨折が多く発症します。一方、ステロイドによる二次性骨粗鬆症では脊椎椎体骨折が多く、関節リウマチによる二次性骨粗鬆症では、脊椎、四肢に限らずあらゆる部位に骨折がみられます。
脊椎椎体圧迫骨折では、後弯の進行や潰れた椎体により脊髄が圧迫され、後になってから下肢の運動・知覚麻痺や排尿・排便障害が現れることがあるので注意が必要です。また、骨折した脊椎が癒合しないため(偽関節)、頑固な腰背部痛が残ることもあります。
検査と診断
問診では、痛みの部位、程度、外傷の既往などのほか、危険因子として骨折歴、閉経の状況、運動習慣、および続発性骨粗鬆症の原因となる疾患、薬剤投与の有無を聞きます。
血液・尿検査では、骨粗鬆症に特異的な検査所見はありませんが、二次性骨粗鬆症や他の疾患との鑑別のために必要です。また、尿中の骨吸収マーカーの検査は、骨粗鬆症の診断や治療の効果判定に有効です。
骨密度を測定し、日本骨代謝学会の原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度版)に基づいて診断します。これによると若年成人(20~44歳)平均値(YAM)の70%未満が骨粗鬆症、70~80%を骨量減少、80%以上を正常としています。
脆弱性骨折(外傷歴のない骨粗鬆症に関連した骨折)の有無の確認のため、疼痛のある部分の単純X線写真も撮影します(図65)。
治療の方法
食事、運動や日光浴を含めた①日常生活指導、②薬物療法が主な治療法です。
生活指導としては、乳製品を中心としたバランスのよい食事を摂取すること、日光曝露と歩行能力維持のため屋外歩行をすすめます。日常の運動習慣は骨量維持に加え、歩行バランス感覚の維持にもつながります。
薬物療法としては、ビスホスフォネート製剤、塩酸ラロキシフェン(SERM)、カルシトニン製剤、ビタミンK製剤、ビタミンD製剤などがあります。日本骨粗鬆症学会の骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(2006年版)では、総合評価で強くすすめられている薬剤は、ビスホスフォネート系ではアレンドロン酸(商品名フォサマック、ボナロン)、リセドロン酸(ベネット、アクトネル)、およびSERM(エビスタ)です。
その他、腸管からのカルシウム吸収の低下がある場合にはビタミンDも併用されます。また、脊椎圧迫骨折などによる腰背部痛がある場合には、カルシトニン製剤(エルシトニン)の注射も有効とされています。
骨折を生じた場合、大腿骨頸部骨折では、原則として手術療法が選択されます。また、胸・腰椎圧迫骨折による下肢麻痺などの脊髄症状が生じた場合や骨折が癒合せず、偽関節になり、激しい疼痛が残存し、日常生活に支障のある場合には手術療法も考慮されます。
病気に気づいたらどうする
近年では、健康診断に骨密度測定が行われている場合もありますが、閉経後の女性は骨密度測定、あるいは血液や尿の骨吸収マーカーの測定を受けることがすすめられます。
また、日本骨粗鬆症学会から「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(2006年版)」が出ていますので、参照するとよいでしょう。
骨粗鬆症に関連する検査を調べる
骨粗鬆症に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、骨粗鬆症に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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アルファカルシドールカプセル0.25μg「BMD」 ジェネリック
ビタミンA及びD剤
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カルシトリオールカプセル0.25μg「BMD」 ジェネリック
ビタミンA及びD剤
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ビビアント錠20mg
他に分類されない代謝性医薬品
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エストラーナテープ0.09mg
卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤
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ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」 ジェネリック
他に分類されない代謝性医薬品
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プリモボラン錠5mg
たん白同化ステロイド剤
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ミノドロン酸錠1mg「サワイ」 ジェネリック
他に分類されない代謝性医薬品
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エディロールカプセル0.5μg
ビタミンA及びD剤
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リカルボン錠1mg
他に分類されない代謝性医薬品
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L-アスパラギン酸Ca錠200mg「サワイ」 ジェネリック
カルシウム剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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骨粗鬆症の薬を10年近く他医院で処方されて飲み続けましたが
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安心して受診できるクリニック
みかんさん 50代以上女性 2018年02月18日投稿
市の検診を利用して骨粗鬆症の検査を受けました。 結果は、骨粗鬆症との診断でした。 先生の対応はとても親切で、安心して質問でき信頼して治療を受けています。 スタッフの方々も明るく和やかな雰囲気で、気軽… 続きをみる
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お世話になっております。
Qさん 2018年01月31日投稿
40代にはいり骨粗鬆症が気になりはじめ、倉田医院で検査をしてもらいました。 検査方法は、機械に手をいれるだけでした。 すぐに検査結果が出て、その結果もとても細かく出ていました。 先生が丁寧に説明してく… 続きをみる
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説明が丁寧で外科、整形も診てくれる
薬剤師アンケート調査回答者さん 30代女性 2016年01月15日投稿
大柄な先生ですが、非常に丁寧にムンテラ(病状などの説明)してくれます。 一般内科標榜ですが、外科、整形外科もみることができ、骨粗鬆症も診ています。 医師会との関係値も高く、地域の病院と連携されており、… 続きをみる
61歳男性です。 骨粗鬆症(平均的な成人男性の67%)と診断されましたが、薬はもう少し様子見で食事や運動に…