糖尿病の骨障害
とうにょうびょうのこつしょうがい
糖尿病の骨障害とは?
どんな病気か
糖尿病が骨や筋肉の異常と関係することはあまりよく知られていませんが、表7
に示すような筋骨格系の疾患が、糖尿病の患者さんでは非糖尿病者よりも多くみられるといわれています。
肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)は一般には2・5%の人にみられるとされていますが、糖尿病では11%の人に発症し、逆に肩関節周囲炎の患者さんの約4分の1に耐糖能異常がみられるというデータもあります。
骨関節炎(変形性関節症)は加齢に伴う膝の関節痛の原因として最も多いものですが、糖尿病では早く始まり、かつ重症になるといわれています。
骨粗鬆症も糖尿病の患者さんでは発症数が多いとの研究報告が多数みられます。デュピュイトラン拘縮といわれる手掌筋膜の帯状の肥厚を伴う手指の屈曲拘縮も、糖尿病で多くみられるとされています。
骨粗鬆症と反対に骨化過剰症という病気もあり、播種性特発性骨格骨化過剰症は非糖尿病では40歳以上で2~4%にみられますが、糖尿病では13%に発症するとされ、60代の糖尿病の患者さんでは20%がこの病気を合併しているというデータもあります。この病気は典型的な場合は軽い背部痛と強直の症状が出ますが、身体の動きが制限されることはありません。
また、糖尿病性手症候群と呼ばれる病気があり、糖尿病の患者さんの約3分の1にみられるとの報告もあります。1型糖尿病(インスリンの分泌がほとんどない型)に多く、糖尿病になってからの期間と関連があるといわれています。手のこわばり、繊細な運動の障害、握力低下などの症状に始まり、ひどくなると、手指が拘縮して両手の指と手のひらを合わせることができない状態になります。
皮膚が硬化してレイノー現象が起きたり、皮膚潰瘍ができることもあるといわれていますが、血液検査では膠原病のような異常はありません。
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