専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

金沢大学附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

呼吸器疾患全般を対象に診療している。とくに、気管支喘息、慢性咳嗽、肺癌、間質性肺炎およびアレルギー性肺炎の診断と治療に力を入れている。呼吸器外科、放射線科などの他科との連携だけではなく、関連病院との連携もスムーズに行われ、それぞれの地域性と専門性を考慮した質の高い医療が提供されている。

症例数

診療対象は呼吸器疾患症例が原則であり、合併疾患に関しては各専門科と連携して診療に当たる

★外来患者数は月平均約700人。スタッフ全員が呼吸器疾患の診療を行うが、とくに専門的医療が必要な場合には、気管支喘息と慢性咳嗽は藤村准教授と西辻雅助教が、肺癌は笠原講師が、間質性肺炎とアレルギー性肺炎は片山伸行助教が担当する

★入院患者数は、呼吸器グループの利用可能病床数が22床と少ないため、高度医療を必要とする患者を中心に年間約250人程度。入院が必要な一般的呼吸器疾患は、当グループの関連病院呼吸器内科と密に連携して診療する。入院患者の症例検討会では、関連病院呼吸器内科の症例も持ち寄って検討し、当地区全体の高い医療レベルを維持している。

医療設備

X線検査(単純、断層、CT、血管造影など)、MRI、内視鏡(気管支鏡、レーザー治療など)、心臓カテーテル検査、各種肺機能検査、咳感受性検査、気道過敏性検査、超音波検査、核医学検査、放射線治療、無菌室など。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

循環器科

分野

循環器科

特色

循環器内科全般(冠動脈疾患、不整脈、心不全、弁膜症、心筋症)を担当している。重度冠動脈疾患に対する最先端のインターベンション治療(ステント、レーザーなど)を積極的に行い、また遺伝子学的な解析を用いて冠動脈疾患の発症に関与する遺伝子の同定に励んでいる。最先端の不整脈解析装置を用いて、心房細動、心房頻拍、心室頻拍などの難治性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療を行っている。心室頻拍や心室細動などの致死的不整脈に対する植え込み型除細動器を積極的に行っている。重症心不全に対する心臓再同期療法や心臓リハビリ療法に取り組んでいる。また急性期には大動脈内バルーンポンプや経皮的心肺補助装置などの機械的補助装置を積極的に使用している。僧房弁狭窄症など弁膜症に対するカテーテル治療も行っている。また病院内に併設された北陸ハートセンターとの連携により、心臓血管外科とも診療科横断的な集学的治療を積極的に進めている。

症例数

月平均約500人の外来患者および年平均約200人の入院患者の診療にあたっている

不整脈疾患=30年以上にわたる臨床不整脈検査や治療実績を有し、近年では薬物療法のみならずカテーテルを用いた不整脈の根治療法(カテーテル・アブレーション)を積極的に行っている。主に北陸3県からの紹介患者を中心に年間約50例のカテーテルアブレーション(約20例が発作性心房細動症例)、約15例の植え込み型除細動器の植え込みを行っている

冠動脈疾患=約300例の冠動脈造影検査を行い、そのうち約120例に冠動脈形成術を施行している。高度石灰化病変や慢性完全閉塞病変に対する冠動脈形成術も積極的に行い、ローターブレーターを用いた治療を年間約10例、また高度先進医療としてエキシマレーザーを用いた治療も年間約10例に対して行っている。また心臓血管外科と連携して患者への侵襲軽減を目的としたハイブリッド治療も年間約5例に対し行っている

心不全=年間約50例程度の心不全入院患者がある。重症症例に対しては、年間約5例の両心室ペースメーカーの植え込みを行っている。

医療設備

超音波診断装置(心臓・血管)、64列冠動脈CT、血管内超音波診断装置(IVUS)、エキシマレーザー、ロータブレーター、不整脈解析装置、不整脈診断用3次元マッピング装置(CARTOシステム、EnSiteシステム)、心腔内超音波診断装置(ICE)、大動脈内バルーンポンプ(IABP)、経皮的体外心肺補助装置(PCPS)。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

循環器科

分野

循環器科

特色

冠動脈疾患、脂質異常症、不整脈、心筋症などの循環器疾患を中心に専門的な診療を行っている。いずれも遺伝子レベルでの診断・病態把握ならびに治療を基本とした診療体系をとり、患者のカウンセリングから治療まで、各々の患者の立場にたった診療に努めている。

症例数

年間の外来患者数延べ約30,000人、入院患者数約1,100人

★心臓疾患の診断に必要な検査はほぼすべて病院に設備されており、北陸地方の循環器診療の中核的地位にある。診断上最も有用で患者負担の少ない心臓超音波検査は、体表面心エコーおよび経食道心エコーともに診断技術が高く、年間1,500例実施している

★不安定狭心症や急性心筋梗塞などの急性冠症候群に対し、迅速なカテーテル治療を行っていることに加え、ICU・CCUでの集中管理も可能なため救命率が高く、近隣医療機関からの救急搬送症も積極的に受け入れている。安定狭心症を主とする冠動脈カテーテル治療(約200症例/年)ではほぼ全例に血管内超音波を併用し、正確な診断・治療を行っている。冠動脈ステント留置、ロータブレーターの使用が可能であり、カテーテル治療の初期成功率は98%、遠隔期の再狭窄率は10%と治療成績も優れている。また心臓血管外科との連携も緊密であり、多枝病変に対するカテーテル治療とバイパス手術のハイブリッド治療の実績も多くなっている(担当内山:井野改変)

★動脈硬化の最も重要な脂質異常症に関する診療実績は豊富で、世界的にも稀な遺伝性脂質代謝異常症のほとんど全てを経験している。特に家族性高コレステロール血症患者数は約1,900例と本邦で最多であり、遺伝子解析に基づいた正確な診断、複数の薬剤を併用した積極的治療により冠動脈疾患の予防に努めている。LDLアフェレーシスの経験も開発当初から豊富で、適応患者には積極的に導入している(川尻:井野改変)

★頻脈性不整脈に対するカテーテル治療についてはWPW症候群、心房粗動など従来からの疾患のみでなく心房細動、心室頻拍も治療の対象としている。これら複雑な治療を要するものに対しては三次元マッピングシステムを積極的に使用し成功率の向上に努めている。心室細動など致死性不整脈で他院から紹介される患者も増加している。本院は埋込型除細動器治療の認定施設であり、これらの患者に対し埋込型除細動器の植え込みを行っている。さらには心臓再同期療法の認定施設でもあり、薬剤抵抗性重症心不全患者に対する両室ペーシング植え込みも積極的に行っている(坂元)

★肥大型心筋症は、若年における突然死と中年以降の心不全死が問題となる遺伝性疾患であり、早期診断が重要。遺伝子診断をもとに家族調査を積極的に行って早期診断・発見に努め、小児期からの患者管理(運動の可否、治療の必要性の有無、定期的心機能評価など)を行っている。また、心肺停止状態の患者を救命して、社会復帰し得た実績を数多く有している。北陸地方を中心とした肥大型心筋症における遺伝子変異同定率は、心筋βミオシン重鎖遺伝子変異、ミオシン結合蛋白C遺伝子変異、心筋トロポニンT遺伝子変異、心筋トロポニンI遺伝子変異の4種類で、全体の約25%を占めるが、これらの原因遺伝子の種類によって予後が異なるため、その原因遺伝子にもとづいた管理・治療を目指している(藤野)

★QT延長症候群は心電図上QT間隔延長、失神発作、突然死を来たしうる疾患であり、ブルガダ症候群は特徴的な心電図所見を呈する若年から中年男性が夜間就寝中などに心室細動による突然死を来たす疾患。いずれの疾患も心筋細胞イオンチャネルの遺伝子異常によって生じると考えられており、QT延長症候群ではその50-70%に、ブルガダ症候群ではその20-30%に遺伝子変異が同定されている。遺伝子型により疾患の予後や治療方針が異なるため、我々の施設では積極的に遺伝子検索を行い、臨床所見とあわせて患者のリスク層別化を行い、それぞれの症例に応じた適切な生活指導・治療を行っている。(担当林)

★三次救急施設として24時間対応し、狭心症、急性心筋梗塞、急性心不全、急性大動脈解離および不整脈などの循環器救急治療に積極的に取り組んでいる。集中治療部(ICU/CCU)では常時PCPS(経皮的心肺補助装置)、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、透析設備が待機しており、重症患者にも対応している。また心臓血管外科・小児循環器科と連携し北陸ハートセンターを併設し幅広く治療にあたっている(舟田)

医療設備

CCU(冠動脈疾患集中治療室)、IABP、PCPS(経皮的人工心肺装置)、心臓カテーテル装置、血管内超音波、DSA、CT、MRI、人工透析。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

腎臓内科や透析の専門医が診断治療にあたる他、総合内科医療を重視し各分野(循環器、消化器、代謝内分泌、膠原病)のスタッフが毎週クリニカルカンファレンスを行っている。また、泌尿器科や地域の透析施設、海外の移植専門病院と連携して腎移植医療に積極的に取り組んでいる。診断と治療に際しては、腎生検診断を重視し、日本各地の腎病理医と密な連携をして最新かつ迅速な診断を心がけている。多発性嚢胞腎、ファブリー病などの遺伝的腎疾患では、遺伝子レベルでの病態把握を行い、それに基づく治療に努めている。特に、内シャントの作成と管理では北陸3県にまたがるネットワークを管理しており済生会金沢病院腎臓内科にセンターをおき発症早期の血管内治療、能登地区等の遠隔地でのシャントトラブルにも早急に対応出来るようなシステムの構築に力を入れている。また、カウンセリングから治療法の選択まで、それぞれの患者さんの立場を尊重した医療を行っている。

症例数

腎臓病外来の年間患延べ患者数約3,000人。年間延べ入院患者数約100人。腎炎の確定診断のために行う腎生検検査は年間約200件(他病院からの標本診断を含む)。腎生検診断に基づいて最適な薬物療法を選択している(ステロイド療法、免疫抑制療法、抗凝固療法、抗血小板療法、降圧療法ならびに食事療法)。年間透析導入患者数10-20人。血液透析の定期通院患者さん5-10人。合併症などで手術、その他の専門的な処置が必要な患者さんの他病院からの紹介が年間約30人。腎移植症例は年間数例。週1回のカンファレンスを開き、腎炎から透析、腎移植まで綿密で一貫した腎臓病の治療が出来るよう努めている。

医療設備

血液透析装置および血液透析濾過装置20台、血漿交換装置、吸着療法装置、CAPD室、ICU、RI施設、エコー、CT、MRI。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

北陸の基幹病院として、常に最新最善の医療が行えるよう、設備面の充実・専門スタッフの育成が行われている。具体的には、腹腔鏡下手術や神経温存前立腺全摘などQOL(生活の質)に配慮した手術を導入する一方、抗癌剤などを併用した集学的治療で癌の根治を目指している。また、生殖医療、排尿管理や腎移植などについても、海外で研鑽をつんだ専門スタッフにより充実した医療を提供している。

症例数

年間の手術数は、体外衝撃波結石破砕術を除き、約300例。腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍などを中心に泌尿器科癌の手術数は年間約200例である

★膀胱癌の約80%は内視鏡手術で治療されるが、膀胱全摘が必要な症例もQOLを重視して、小腸利用膀胱による自排型尿路変更を行っている。また、神経温存手術により術後の勃起能の温存も行ってる。膀胱全摘前には抗癌剤を使用し、根治性を高めている

★前立腺癌全摘は年間約20例であるが、前立腺癌検診などで早期発見される症例が増加しており、近年全摘症例が増加している。手術症例の5年生存率は95%以上である。また術前自己血貯血を行うことにより、輸血症例は10%以下である。神経温存手術により、術後の勃起能を温存している。さらに最近は、健康保険未適用ながらロボット手術にも取り組んでいる。局所進行性前立腺癌に対しては、高密度小線源を用いた最新の放射線治療を施行している

★腎癌に対する根治的腎摘は年間約20例であり、検診等で早期発見された腎癌に対して行っている腎部分切除も年間約10例である。根治的腎摘の約80%は腹腔鏡を用いて安全に行われ、輸血症例は10%以下である。T2stage以下の手術症例の5年生存率は90%以上である。進行腎癌に対してはインターフェロンやインターロイキンを用いた免疫治療を行っているが、最近は、分子標的治療薬を用いた治療に取り組んでいる

★精巣腫瘍は年間約10例で、他院からの治療難渋例などの紹介も多い。stageIの5年生存率は100%であり、転位を伴うstageII、IIIでも末梢血幹細胞移植を用いた抗癌剤大量治療を組み合わせた集学的治療で、5年生存率はそれぞれ90%、60%と向上している

★転移を伴う進行癌に対しては、手術療法・抗癌化学療法・放射線治療・温熱治療・免疫治療・ホルモン治療を駆使した集学的治療による癌の根治を目指している

★副腎腫瘍の腹腔鏡下手術数は北陸最多で、良好な手術成績をあげている

★前立腺肥大症に対する治療は、膀胱機能も考慮して手術適応を決めており、手術症例の90%は内視鏡下の電気切除で治療されている

★女性の尿失禁の治療は我が国有数で、ビデオウロダイナミクス等で膀胱尿道機能および形態を検討し、手術適応を決めている。経腟的手術は年間約20例行われており、良好な治療成績をあげている

★尿路結石の手術は体外衝撃波破砕術が第一選択となるが、破砕不良の症例には内視鏡下で砕石が行われ、開腹手術はほとんど行わない。また、結石再発予防についても留意している

★男性不妊症治療は我が国有数であり、不妊原因の検索を十分行い適切な治療を施行している。また、顕微鏡下手術も行っている

★腎移植は大阪大学で研鑽を積んだ専門スタッフが、腎臓内科をはじめ病院内各科の協力を得て、万全の治療体制で行っている。超音波ドプラや核医学的検査等で拒絶反応の早期診断を行い、生着率の向上を目指している。

医療設備

腹腔鏡手術機具、密封小線源放射線治療装置、レーザー手術機具、マイクロ波凝固切開装置、温熱治療装置、ビデオウロダイナミクス装置、体外衝撃波結石破砕装置、超音波ドプラ診断装置、核医学診断装置。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

整形外科

分野

整形外科

特色

大学病院という性格上、難治性疾患の紹介患者が多いが、個々の症例についてきめ細かく対応しており、「この患者さんが自分の身内だったらどのように治療して欲しいか」という患者の立場に立った治療を行うように常に心掛けている。各専門分野にそれぞれ経験豊富なスタッフを擁しており、整形外科のあらゆる疾患に対して、高度の治療が行える体制が整っている。また、手術を行った症例を中心にして、特に各専門外来において十分なアフターケアを行っており、術後の治療についても重点をおいた診療を行っている。2002年に新病棟が完成して、がん研究附属病院と統合し、ベッド数843の北陸随一の大規模な大学病院となった。また現在、当整形外科では厚生労働省から認められた先進医療として『脊椎腫瘍に対する腫瘍脊椎骨全摘術』『骨軟部腫瘍切除後骨欠損に対する自家液体窒素処理骨移植』『超音波骨折治療法』『骨移動術による関節温存型再建』『カフェイン併用化学療法』を施行している。

症例数

入院ベッド数は60床、外来患者は1日平均150人で、手術数は年間約850例である

脊椎・脊髄外科=椎間板ヘルニア、頚髄症、脊椎分離・すべり症、後縦靱帯骨化症、脊柱管狭窄症、側彎症、骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折などをはじめとして、あらゆる種類の脊椎・脊髄疾患を治療対象としているが、その中でも脊椎癌の手術に主力を注いでいる。これまでは癌が脊椎に転移した場合、根治的切除が不可能と考えられていた。しかし、当科で開発した画期的手術方法である「腫瘍脊椎骨全摘術」は、その根治性が高く生命予後をも改善することから、極めて高い評価を受け、厚生労働省から先進医療の1つに認められており、全国の大学病院からも患者さんが紹介されている。ただし極めて高度な熟練した技術を要することもあり、全国各地や海外への手術デモンストレーションの依頼や、国内外からの手術見学医師も多い。現在、金沢大学附属病院はこの先進医療を行うことができる日本で唯一の施設であり、末期の脊椎転移癌の手術を受けて10年以上生存している患者さんもおり、「腫瘍脊椎骨全摘術」成功例は世界で最も多い。また、各種の脊椎手術においては、術後の早期離床にも心掛けており、内視鏡や顕微鏡による手術を行っている。一般に脊椎・脊髄の手術については「麻痺になるのでは?」など安全性に不安を持つ患者さんが多いが、当科では、特に安全性と確実性を重視して手術を行うように心を砕いてきた。富田教授が考案した手術機械であるThreadwire saw(通称T-saw、骨切り用の極細の糸状鋸)は、脊髄に対する安全性と手術侵襲の軽減という点で極めて優れている。日本はもとより全世界で使用されるようになっているこのT-sawを我々は各種脊椎・脊髄手術に応用し、手術の安全性と低侵襲性を高めている

骨・軟部腫瘍=骨肉腫など四肢の悪性腫瘍についても、当科で行っている独特の治療方法を求めて、全国から数多くの患者さんが受診している。抗癌剤の治療において、カフェインを併用することで抗癌剤の効果が増強されることを土屋臨床教授が発見した。これに基づいた独自の治療を行っており、従来の治療法より高い治療成績が得られるようになっている。腫瘍切除術後の機能温存・再建については、骨延長術や液体窒素処理骨などの新しい技術も併用し、より高い機能が得られるようにしている。液体窒素処理骨とは、骨を腫瘍ごと切除した後に液体窒素を用い、低温で腫瘍を死滅させ、その骨を再利用し体内に戻すものである。この方法は、骨の再建に有用のみならず、腫瘍免疫を活性化させることも確認されており、癌の骨転移の患者さんなどにもよい適応である

関節外科=全ての関節疾患を対象としている。高齢者に多い膝関節や股関節の変形性関節症に対しては、人工関節置換術を中心とした関節機能再建術を積極的に行っており、歩行能力の著明な改善が得られることから患者の満足度も高い。最新のコンピューターシミュレーションシステムやナビゲーションシステムをほぼ全例に使用し、精度の高い手術を行っている。術中の出血を回収し再利用する回収式自己血輸血を行うことによって、術前に自己血をあらかじめ採取する貯血式自己血輸血や同種血(他人の血液)の輸血は必要としていない。またリハビリは、術後早期から歩行訓練を開始するプログラムによって、早期の家庭・社会復帰を目指しており、通常の人工関節手術であれば、術後数日以内で歩行訓練を開始している。若年者の関節障害に対しては、将来を見据えた綿密な検討を行い、個々の症例に応じた各種の骨切り術などを行っている。また、関節リウマチに対しては、主に専門外来において内服を中心とした定期的な保存的治療を行っている。リウマチによる関節破壊の進行を制御するために、個々の症例の状態を詳細に検討し、抗リウマチ薬を中心とする最も適切な薬剤を選択して治療を行うようにしている。一方、関節破壊が進行するような患者に対しては、手術時期を逸しないように手術的治療も積極的に行っており、寝たきりなどの重度の機能障害を生じないよう身体機能の保持に努めている

スポーツ整形外科=特にスポーツ障害によって生じることの多い関節靱帯損傷に対して、各種の靱帯再建術や関節形成術を行っており、膝前十字靱帯断裂や、肩関節の習慣性脱臼の症例を数多く治療している。手術では関節鏡を用いることが多く、低侵襲・小皮切で行うようにしている。また理学療法士と密接な連携をとって、個々の症例に応じたりリハビリプログラムを組んでいる。例えば膝前十字靱帯断裂であれば、ハンドボールやバスケットボールなどの競技でも、通常術後約4カ月で復帰が可能となっている。肩関節の習慣性脱臼に対しても、従来は大きな皮切による手術が中心であったが、近年では関節鏡を用いる小侵襲手術を積極的に導入している。専門外来では、手術症例はもとより、保存的治療症例に対しても、綿密なトレーニング指導を行っている

脚延長・変形矯正=リングとワイヤーを用いる特殊な創外固定器(イリザロフ式やテーラーフレーム)を主に使用し、これまでは極めて治療困難であった四肢の短縮や変形に対して、脚延長や変形矯正を積極的に行っている。この方法は近年の整形外科領域において目覚ましく進歩している分野ではあるが、当科では以前からこの方法に着目・採用しており、これまでの治療症例数は全国有数である。治療対象として、幼少時期の骨折の変形治癒や先天性疾患などによる変形があげられる。更に、骨欠損に対する骨再建術、関節拘縮に対する受動術、慢性骨髄炎の治療、骨腫瘍の治療などにも幅広く応用されている

手の外科・末梢神経・マイクロサージャリー=手は、その構造の微細性、機能の繊細さの点から、他の部位に比べて手術の巧拙が術後成績を大きく左右するため、特に専門的な治療が要求される部位である。当科では、外傷、関節リウマチ、先天異常などによって生じた手の障害をはじめ、手指のしびれ/麻痺を生じる末梢神経障害などの治療を行っている。血管や神経の縫合を要する指や上肢の切断例に対しては、顕微鏡を用いた手術も行っている。さらに、外傷や感染症によって生じた軟部組織欠損に対する組織再建術にも積極的に取り組んでいる

骨粗鬆症=高齢化社会の到来により、骨粗鬆症に対する関心は高まっている。本症に対して適切な治療を行うことは、転倒などによる骨折予防や、ひいては寝たきりの防止につながるため、極めて重要である。当科では、レントゲン写真や骨密度測定の結果などに基づいて、個々の症例に適切な薬剤を使用した積極的な内服治療を行うようにしている。

医療設備

MRI、CT、PET、無菌手術室、骨塩量測定装置、筋電図、骨シンチグラフィ、超音波測定、脊髄神経モニター装置など。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

リハビリテーション科

分野

リハビリテーション科

特色

急性期リハビリテーション(以下リハ)、入院中の患者のリハ機能訓練に力を入れている。体力低下・筋力低下・ADL(日常生活活動度)低下があれば積極的に治療を行っており、原則として原疾患は問わない。発症後あるいは術後早期からの機能訓練アプローチを積極的に行っており、離床・離室困難な方には、病室内あるいは病棟内にて機能訓練を行う。集中治療管理室内や人工呼吸器管理下での機能訓練も多くこなしている。リハ専門医が常勤するため、初めての受診にあたっては外来専任医による初回評価が行われ、これに基づき治療計画立案と治療説明がなされる。外来診療は常勤医のほか、保健学類リハ科学領域教官の染矢医師(教授)、中川医師(教授)も担当する。なお、中央診療部門であるため、初めての受診にあたっては原則、各診療科主治医からの紹介が必要となる。また、心疾患リハは循環器内科医が、精神科作業療法は神経精神科医が専任医のため、各科の外来が直接窓口となる。

症例数

年間患者数は2,500人(精神科作業療法を除く)

★4大診療区分(脳血管疾患リハ、運動器リハ、呼吸器リハ、心大血管疾患リハ)すべて認可あり

★肺葉切除後・消化管手術後の早期リハ施行(年間約200人)

★2007年から心疾患手術後・大動脈疾患手術後の早期離床や心筋梗塞後の運動療法を行う専門治療室を開設(心大血管疾患リハ、年間約200人)

★整形外科疾患術後後療法(年間約400人)

★内科的急性疾患後の体力低下(廃用症候群)に対する体力改善アプローチ(年間約100人)

★スポーツ傷害やその術後(特に膝靭帯損傷)に対するスポーツ種目別リハプログラムの実践(年間約100人)

★乳癌術後の術側肩挙上障害に対する術後早期からの予防的アプローチ

★強皮症の手指機能障害に対する拘縮改善治療・生活指導

★慢性呼吸器疾患の運動療法・生活指導

★糖尿病・肥満に対する運動療法指導

★高齢者嚥下障害・誤嚥に対する評価・指導・嚥下機能訓練、その他。

医療設備

理学療法室、作業療法室、言語聴覚療法室、心疾患リハビリ室、小児機能訓練室、筋力測定機器、表面筋電図治療機器等。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科・頭頸部外科全般を対象とし、器官別に専門チームをつくり特定機能病院としての高度先進医療を担っている。特に頭頸部癌の診断と形態と機能の温存をめざした動注および全身化学放射線療法や手術療法に力を注いでいる。さらに人工内耳をはじめ機能を重視した耳科、鼻科領域の手術療法、音声や嚥下機能改善手術も積極的に行っている。

症例数

2008年の外来総患者数は15,200人、そのうち新患は1,776人、再来患者数は13,424人である。入院患者483人の内訳は、悪性腫瘍147 (30.4%)、良性腫瘍34 (7.0%)、耳122 (25.3%)、鼻85 (17.6%)、咽頭36 (7.5%)、喉頭21 (4.3%)、その他であり、さらに悪性腫瘍の内訳は、喉頭43 (29.3%)、舌・口腔13 (8.8%)、上咽頭11 (7.5%)、鼻・副鼻腔13 (8.8%)、中咽頭16 (10.9%)、下咽頭16 (10.9%)、唾液腺9 (6.1%)、甲状腺16 (10.9%)、その他である。 手術件数は352件。内訳はこれまで同様、頭頸部腫瘍と耳疾患で6割を占める。内訳は、悪性腫瘍82 (23.3%)、良性腫瘍32 (9.1%)、耳103 (29.3%)、鼻78 (22.2%)、咽頭16 (4.4%)、喉頭22 (6.3%)、その他である

★当教室では10年程前から頭頸部悪性腫瘍に対しては、形態と機能を温存し、患者さんのQOLを重視した治療法に力点を置いている。外科的な技術や知識はもとより、抗がん剤や放射線治療まで含めた包括的な知識と経験を持ったスタッフが揃っており、常に最善の治療を提供できる環境が整っている。放射線と抗がん剤を組み合わせて臓器を温存する治療法は、従来の手術による治療と対等な治療成績を出せるようになってきており、そのため、従来なら手術療法の適応となった進行癌(特に中咽頭、下咽頭、喉頭癌)に対しても化学療法+放射線療法を施行する機会が増えてきている。また、必要に応じて全国規模の多施設共同研究にも参加しており、治療法の選択肢が多彩であることも当教室の特徴である。また日本で唯一喉頭乳頭腫に対する抗ウイルス剤治療を行っている。それでも手術件数が減少していないのは、化学療法+放射線療法後の再発例に対する救済手術はもとより、甲状腺癌や唾液腺腫瘍といった従来から手術療法が主体である癌に対しても、一般病院では対応しにくい声帯や気管の再建など耳鼻咽喉科の特徴を生かした治療を積極的に行っているためである

★上咽頭癌はもともと放射線療法と化学療法が主流であるが、これに対しても化学療法と放射線療法を交互に施行する交替療法を積極的に取り入れている。これにより進行上咽頭癌の5年生存率が著しく改善した。局所再発例に対しても、内視鏡的に上咽頭再発腫瘍を切除する術式や、試験段階ではあるが、抗ウイルス剤による局所治療などを開発し積極的に取り組んでいる

★慢性中耳炎に対する鼓室形成術には多くの術式が考案されているが、当科では単一の普遍的な術式としてRetrograde mastoidectomy on demandを採用している。この方法によって、真珠腫性中耳炎ばかりではなく単純穿孔性中耳炎や耳硬化症などに対しても、同じアプローチで手術を遂行できるようになった

★乳幼児の急性中耳炎の難治症例に対して、漢方補剤を併用する治療法を開発し実践している。この治療法について、2009年度の厚生労働科学研究費によって、全国規模のランダム化比較試験を開始することになっている。

医療設備

特定機能病院のニーズに応えるべく、常に最新の医療設備の完備を心掛けている。CT、MRI、PET-CTなど各種核医学検査システム、術後放射線ヨード治療と連携した進行甲状腺がん治療、診断・治療用内視鏡セット、ファイバースコープシステムおよび同ビデオシステム、超音波検査、精密聴力検査システム、ABR、補聴器適合検査システム、耳管機能検査、平衡機能検査システム、自・他覚的嗅覚機能検査システム、鼻腔通気度検査計、顔面神経機能検査システム、手術用レーザーシステム(炭酸ガスレーザー、ヤグレーザー、KTPレザー、ホロミウムレーザー)、その他。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

虫歯から口腔癌まで、歯科口腔外科全般の疾患に対応できるスタッフを擁している。そのうち、歯科インプラントは高度先進医療の承認を受けている。なお診療スタッフはほとんどが北陸地方の出身者であり、患者さんとの対話が円滑なことも診療を進める上で有用となっている。

症例数

顎変形症=年間約30例の顎矯正手術を行っており、医学部歯科口腔外科としては多いと言える。そのうち、上下顎同時骨切り術は7~8例である。各種骨切り法中、下顎枝矢状分割法では三叉神経誘発電位記録法(TSEP)を用いて、下唇知覚異常の発現の様相を客観的に検索し、知覚異常が数カ月残存する症例は神経血管束が分割術中に露出した場合のみであることを明らかにした。そこでそれ以後の全症例に対して、術前に三次元CTを撮影し、神経血管束が頬側皮質骨直下を縦走し、分割時にその露出の危険性が高い所見がある場合には下顎枝垂直骨切りを選択することとし、良好な結果を得ている。また術前後に必ずアンケートを施行し、術者の自己満足に陥らないよう患者さんの満足度をチェックし、以後の患者さんへのフィードバックに努めている。このようにして、ここ10年で300例ほどの手術を行ってきたが、出血量はいずれも数100ml以下で輸血は1例も行っていない。また近年、顎骨や歯槽骨を延長する仮骨延長法にも取り組んでいる

口腔癌=年間15例程度でそれほど多くはない。その大部分を占める扁平上皮癌に対しては、腫瘍の進展度と癌浸潤様式を初めとする組織学的悪性度に基づいて機能温存的手術を行っており、全体の5年生存率は77%とほぼ良好な成績を得ている。特に浸潤様式が1~3型までの非高度浸潤例では、拡大切除即時再建を行うことなく機能的にも満足すべき結果を得ている。一方、高度浸潤性の4D型症例に対しては、根治を第一に考えて切除してきたが、なお好成績を得るには至っていない。そこで早期T2までの非進展例には、癌細胞の播種のない摘除生検に治療方針を転換しつつある。一方、我々の提唱した癌浸潤様式細分類については、臨床のみならず、基礎的に細胞株や動物実験的に系統的かつ精力的に解明を進めた結果、本分類が実験的にもその妥当性が確認された。これを臨床にフィードバックして、患者さんへのインフォームド・コンセントを十分に行いながら、より精度が高く合理的な「機能保存と根治性を考慮した口腔癌手術」を目指している

顎関節症=年間150例の患者さんが来院し、その大部分はスプリントの装着による保存的療法で軽快している。一方、ごく一部の重症例に対しては6カ月間の保存療法に無効であることを確認の上、顎関節腔内潅流療法(arthrocentesis)や鏡視下剥離授動術、さらに開放下での関節円板整位術や最も重症の円板穿孔例には円板切除耳介軟骨移植術等で対応し、開咬量、疼痛軽減度ともほぼ満足すべき結果を得ている

顎顔面外傷=入院を要する症例は年間約20例である。第三次救急医療機関であり、24時間対応可能で、救急部や時に隣接他科の協力を得て、要手術と診断した症例にはできる限り早期に観血的整復固定術を施行している

歯科インプラント=高度先進医療の承認を受けており、口腔癌切除術や顎骨骨折で骨が相当程度喪失した特殊症例に、時にはサイナスリフト等の骨移植や、歯槽骨高の仮骨延長術等と併せてインプラント治療を行っている。症例数は年間10数例であるが病診連携の実績を挙げており、これまでの施行本数は95本で成功率は94.7%である

口腔粘膜疾患=口腔扁平苔癬を中心に年間50例ほどである。本症で入院を要する症例はないが、舌痛症など診断が困難で各医療機関を転々とする場合も少なくない。こういった患者さんには心理面を含め十分な時間を取って、診断と治療法に関するインフォームド・コンセントに努めている

三叉神経痛=顎顔面領域に間欠的激痛を発する本症は、患者さんに大きな苦痛を与えている。原因は脳内三叉神経根幹の上小脳動脈等による圧迫とされている。そこでまずは薬物療法を施行し、その効果がない場合には脳外科での神経減荷術を勧めている。

医療設備

MRI、CT、3D-CT、TSEP、咬合記録装置。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

膠原病、アトピー性皮膚炎、皮膚悪性腫瘍(悪性黒色腫、乳房外パジェット病など)、乾癬、血管手・母斑(レーザー治療)、白斑、自己免疫性水疱症などを対象として専門的治療を行っている。その他、湿疹、じんま疹、細菌・真菌・ウイルス感染症、良性腫瘍などの皮膚科一般も幅広く扱っている。

症例数

1日あたりの外来患者数は約130人、病床数は29床で稼働率約90%である

膠原病(全身性強皮症約200人、全身性エリテマトーデス60人、皮膚筋炎50人、混合性結合組織病約20人が通院中)=初診・未治療の患者については入院の上、皮膚病変と全身病変の評価を行い初期治療の方針を立て、適切な治療と経過観察を行っている、再来患者に対しては専門外来(火曜、木曜)を設け、個々の患者に十分な時間をかけて診察し、皮膚・全身症状および各種検査の正確な評価のもと、全身の病態および個々の症状、QOLの改善を目指した治療を行っている

アトピー性皮膚炎(年間初診外来数100人以上)=副腎皮質ステロイドを主体とした皮膚科の標準的治療を行い、ほぼ全例で症状改善を認める。種々の不適切治療を受け症状の増悪した患者に対して、皮膚科の標準的治療の必要性を説明して同意を得た上で治療を行い、症状およびQOLの改善を見ている

皮膚悪性腫瘍(2008年の入院例数:悪性黒色腫44例、有棘細胞癌13例、血管肉腫10例、乳房外パジェット病10例)=各種皮膚悪性腫瘍に対しQOLを考慮した手術療法、化学療法を組み合わせた治療を行っている。各種画像検査に加えてセンチネルリンパ節生検を施行し、リンパ節郭清の適応を決定しており、2008年にはSPECTを組み合わせたリンパ流シンチグラフィが導入され、3DCTを利用することにより安全で確実なリンパ節生検が可能になった

★乾癬(尋常性乾癬、膿疱性乾癬、関節症性乾癬、年間新患数約30人)に対しては副腎皮質ステロイド外用剤、活性型ビタミンD3外用剤、長波長紫外線照射(PUVA)療法、ナローバンドUVB照射療法、レチノイド内服、シクロスポリン内服などを組み合わせてQOLを考慮した治療を行っている

血管腫・母斑のレーザー治療(年間新患数80人)=各種血管腫、太田母斑などについては下記の3種のレーザー照射および手術療法の中から適切なものを選択して治療を行っている

自己免疫性水疱症(年間新患数10人)=天疱瘡、類天疱瘡などについて生検、免疫蛍光法、ELISAなどを組み合わせて正確な診断を下し、治療を行っている。難治性の天疱瘡については免疫グロブリン大量療法も行っている

皮膚良性腫瘍(年間150例)=1回診察を行い、手術予約をした後行っている。術後の皮膚の状態に留意して手術を行っている。

医療設備

Qスイッチルビーレザー、QスイッチALEXレーザー、ダイレーザー、炭酸ガスレーザー、全身型紫外線照射装置、ナローバンドUVB照射装置。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

糖尿病内分泌内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

当科は日本糖尿病学会・日本内分泌学会認定教育施設でありながら、消化器・肝臓グループ、腎・高血圧グループ、循環器グループを有し、各グループとの連携による全人的医療を提供することが可能である。栄養士、薬剤師、看護師、医師からなる糖尿病患者教育チームを組んで患者に多角的にアプローチすることにより、患者一人一人の病態・ライフスタイルに応じたきめ細かな指導・医療を目指している。糖尿病・脂質代謝異常だけではなく、甲状腺、下垂体、副腎、副甲状腺疾患など内分泌疾患全般の診療・研究にも力を入れている。

症例数

代謝・内分泌外来には関連施設や他科からの紹介を含めた新規の患者を常に受け入れ、現在月平均約600人の患者が通院している

★糖尿病患者に関しては、血糖のコントロール状態、合併症の進行度を評価し、その患者にとって最適の治療、ライフスタイルに関するアドバイスを行い、栄養士による外来での栄養指導も行っている。さらに毎週水曜日15時より糖尿病教育チームによる糖尿病教室と栄養指導を一般に開放している。コントロール不良な症例、初めて糖尿病と診断された患者に対しては、1週間から2週間の教育入院コースを用意している。教育入院期間中、医師7人・看護師8人・栄養士7人・薬剤師4人で構成する糖尿病教育・治療チームは個々の患者に多角的にアプローチするとともに、頻回に症例検討会を開き、問題点とその対策を協議することで、患者のライフスタイルに最も適した治療および指導を行う、いわゆる「テーラーメイド医療」を実践している。また必要に応じ、人工膵臓を用いてインスリンに対する感受性を評価し、薬物療法の選択の一助としている。当科は糖尿病グループ以外に、消化器・肝臓、循環器、腎臓・高血圧グループが揃っており、虚血性心疾患に対する検査・治療、腎機能の低下を遅らせる治療や腎不全の管理、人工透析の導入、悪性腫瘍のスクリーニングも含めた全身の様々な疾患に対応することが可能である。糖尿病のような慢性疾患を管理していく上で、総合病院と実地医家が連携していく「病診連携」を強めることで管理の質を高めていくことが望まれている。当教室では定期的に開業医の先生や糖尿病を専門としない医師を交えた症例検討会を開き、外来で治療に苦慮されている糖尿病症例の治療方針を検討している。その成果として、総合病院でしかできない検査や教育入院を開業医の先生から多数受け入れ、精査・加療・教育後は再び紹介いただいた開業医の先生のもとで外来治療を継続することを可能にしている

★糖尿病や生活習慣病の患者数が増え続ける現状を踏まえ、これまで培ってきたノウハウを生かし、病院に来る前の、発症前の市民に対する啓発活動の展開を決意し、展開の場として糖尿病医療チーム(Team DiET)をNPO法人化した。各種業界専門誌でTeam DiETの活動が取り上げられている。北陸のスーパー、銀行などでフリーペーパー「Team DiET Express ~バランス生活実践新聞~」を配布し、Nature Japan社と共同でオンラインジャーナル「Team Approach(http://www.team-approach.net/)」の運営を開始した。Team DiETメンバーが直接、健康な生活のためのヒントをお届けするネットラジオ「ネットラジオ 聞くバランス生活β」は@nifty Podcasting健康カテゴリ1位を獲得している。また、Teamのメソッドをまとめた「金沢大学附属病院Team DiET 式ランチョンマット法満腹ダイエットレシピ(北国新聞社)」は好評発売中である

★内分泌疾患では、甲状腺機能亢進症・低下症の管理、甲状腺眼筋症に対するステロイド・パルス療法、甲状腺腫瘤性病変の質的精査を始めとして、下垂体、副腎、副甲状腺疾患に対しても各種画像検査、負荷検査、静脈血サンプリングなどにより多角的にアプローチし、必要な場合は、外科、脳神経外科、泌尿器科と連携し、治療している。当グループではそれぞれの患者さんに応じて、その生活の質が最大限向上するべく治療内容を検討し実践している。

医療設備

人工膵臓、甲状腺エコー、CT、MRI、シンチグラフィ、血管造影、当科循環器グループによる心臓カテーテル検査、心臓電気生理学的検査及び治療、腎臓・高血圧グループにおいて人工透析、消化器・肝臓グループにおいて肝生検など最先端の検査・治療を行っている。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

糖尿病内分泌内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

内分泌代謝内科(旧第2内科)ではより専門性の高い診療を求め、2つの内分泌、糖尿病グループに分け、それぞれの専門家が高度専門化に対応した診療をおこなっている。内分泌代謝疾患は循環器、腎臓、膠原病、さらには消化器疾患とも関連があるため、他の循環器内科、腎臓内科、リウマチ膠原病内科、消化器内科と密接に連携し全人的な診療を行っている。

症例数

年間の外来患者数は延べ約34,000人、入院患者約600人

★内分泌グループでは副腎、下垂体、甲状腺、副甲状腺を中心とした内分泌疾患全般の診療をおこなっている。原発性アルドステロン症は現在、我が国に200万人以上いると推定されているが、そのほとんどが通常の高血圧症として治療されている。適切な診断、治療がなされねば、脳卒中、心不全、心筋梗塞、腎障害などを引き起こしてくることより、特に最近、注目されている疾患である。この原発性アルドステロン症に関する診断、治療に関して当科は全国的にも先駆的な位置を占めている。診断、治療法の決定にもっとも重要な検査である副腎カテーテル検査に関しても特殊デバイスを開発し臨床応用し、その内容は現在、特許出願中である。その他のCushing症候群、褐色細胞腫や下垂体性の内分泌性高血圧の診療に関しても、30年以上におよぶ症例経験と治療実績を有する。甲状腺疾患ではバセドウ病や慢性甲状腺疾患の診療のみならず、合併する眼症の治療のも力を注いでおり、難治性甲状腺眼症に対する新しい治療法の確立を目指している。下垂体腫瘍の診断治療は当院脳外科との連携のもと、難治例に対して手術療法、放射線療法、薬物療法などを組み合わせ集学的におこなっている。多発性内分泌腫瘍(MEN)で代表されるような遺伝性内分泌疾患の診断には早期から遺伝子診断を導入、診断の確定および治療への応用をおこなっている

★糖尿病グループでは糖尿病診療および肥満治療を行っているが、特に高度の心血管合併症を有する糖尿病症例の治療を内科他部門との緊密な連携の下に行っている。具体的には心筋梗塞をおこし心機能低下した糖尿病症例の治療、また高度の蛋白尿を呈するか腎機機能の低下した糖尿病症例やリウマチ性疾患でステロイドを含めた免疫抑制剤を複数用いている糖尿病症例の管理、また悪性疾患の術前術後で血糖コントロール不良の症例の管理を専門としている。内科的な処方の調節管理のみならず、心理面からの行動変容を目指した教育入院による介入を10年にわたり本学保健学科基礎看護研究室と連携して行っており日本糖尿病学会総会や糖尿病学の進歩において発表し高い評価を得ている。診断技術では元々ミトコンドリア異常、若年発症2型糖尿病(MODY)、ウェルナー症候群等の遺伝子診断を得意としていたが、さらに拡げて心血管合併症のハイリスクグループの抽出手法およびそれを用いた早期介入方法の確立をテーマに臨床研究を続けている。肥満治療においては間欠的超低カロリー食事療法の導入、また肥満の外科的治療の導入を行っている。

医療設備

頸動脈エコー、IVUS、CT、MRIなど。

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リウマチ・膠原病内科

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

リウマチ専門医が診断治療にあたる他、総合内科医療を重視し各分野(循環器、消化器、代謝内分泌、膠原病)のスタッフが毎週クリニカルカンファレンスを行っている。また、各科合同の膠原病カンファレンスを月一回行い、全科の協力の下に密度の高い総合的な医療に努めている。さらに、カウンセリングから治療法の選択まで、それぞれの患者さんの立場を尊重した医療を行っている。関節リウマチに関しては、整形外科医と協力して週一回のリウマチ外来を開設し集学的医療に取り組んでいる。

症例数

関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、血管炎症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、サルコイドーシス、ベーチェット病、成人スティル病、強直性脊椎炎等のリウマチ・膠原病外来の年間延べ患者数約7,000人。年間延べ入院患者数約250人。関節リウマチに対する治療は、発症早期からの骨破壊予防と寛解を目指し、抗リウマチ薬と生物学的製剤の安全かつ有効な使用を心がけている。特に安全性を重視しQuantiferon検査の導入による結核の詳細な評価や間質性肺炎合併関節リウマチに対する治療法の安全な選択、潜在的な感染症の評価による治療抵抗性の関節リウマチに対する有効治療の確立に力を入れている。全身性エリテマトーデスに関しては、画一的な治療を避け、必要最小限のステロイドと免疫抑制剤の投与を行い、長期ステロイド薬の治療に際しては、糖尿病、骨粗鬆症、血管合併症などの早期発見と予防に力を入れている。シェーグレン症候群では、乾燥症状に対する治療に加えて腎尿細管性アシドーシスや間質性肺炎等の腺外症状の早期発見と治療に重点をおいている。また、血漿交換などの最新の医療に取り組んでいる。

医療設備

ICU、血漿交換装置、RI施設、エコー、骨塩量定量装置、CT、MRI。

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神経内科

分野

神経内科

特色

北陸3県をはじめとする近隣各県から診断・治療に難渋している患者の紹介が多い。脳血管障害やパーキンソン病、脳老化・痴呆性疾患など、中枢神経疾患から末梢神経・筋疾患まで広範に診療している。種々の遺伝性神経疾患の診断や神経筋病理検査、電気生理検査、脳血管・頸動脈超音波検査、失調症に対する音声言語解析などの特殊検査を行っている。

症例数

入院患者数は年間約200人で、免疫性神経疾患、脳炎・髄膜炎、末梢神経・筋疾患、パーキンソン病、脊髄小脳変性症や筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、脳血管障害が多い。毎月の外来患者数は約800人で、上記の疾患の他、めまい、頭痛、しびれなどの症状で受診する患者が多い

★特殊検査は関連施設や院内他科からの依頼も多く、年間に神経筋病理検査約100例、遺伝子診断約50例、超音波検査約150例、筋無力症候群の抗体検査約20例を施行している

★重症筋無力症やギラン・バレー症候群などの免疫性神経疾患においては、従来のステロイド療法の他に、各種の二次膜や吸着カラムを利用した血液浄化療法を行い、良好な成績をあげている

★脳血管障害では、神経超音波検査によって従来不明であった塞栓源を検出し、それに基づく抗血栓療法によって高い再発防止率を維持できている

★パーキンソン症候群においては核医学的な診断法を確立し、その結果に基づいた治療で症状のコントロールを行っている

★認知症疾患についても各種の高次脳機能検査や画像検査を施行し、病態の解明、診断・治療を行っている。もの忘れ外来を2001年4月から開設(要予約)

★眼瞼けいれん・顔面けいれんについてはボツリヌス毒素による治療を行い、全例で良好な成績を得ている。

医療設備

CT、MRI、SPECT、筋電計、脳波計、重心動揺計、音声解析装置、ドプラ超音波装置、頸動脈・経食道超音波装置、遺伝子解析装置ほか。

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放射線科

分野

放射線科

特色

本邦で最初に誕生(1973年)した核医学講座(http://web.kanazawa-u.ac.jp/~med23/)であると同時に、核医学常勤医の最も多い施設の一つである。PET-CT(陽電子断層装置)とSPECT-CT(シングルフォトン断層装置)を駆使して、全身各臓器の生理的機能情報を提供することが可能であり、その診断レポートの質に対し依頼医から高い評価を得ている。また、甲状腺診療を運営し、国内最大規模のアイソトープ病棟で放射性医薬品による内照射療法を行っている。本施設は、悪性褐色細胞腫に対してMIBG内照射療法を施行可能な全国4施設のうちのひとつである。小児神経芽細胞腫におけるMIBG治療を施行可能な施設は、全国で本院のみである。また、メタストロン(ストロンチウム89)による骨転移性疼痛除去療法、ゼヴァリン(イットリウム90標識モノクローナル抗体)による悪性リンパ腫に対する内照射療法が可能な全国で数少ない施設のひとつでもある。

症例数

一般核医学検査を年間約5,000件、PET検査を年間約1,500~2,000件施行。腫瘍、心臓、脳を対象とした検査が主であるが、一般的な骨・呼吸器・消化器・泌尿器など、すべての臓器にすみやかな対応が可能であることに加え、センチネルリンパ節検査、動注化学療法時の薬物分布評価などの各診療科の特殊検査にフレキシブルに対応可能である

★甲状腺細胞診が年間約50~100件行われている。甲状腺機能亢進症に対する放射性ヨード内照射治療(一度の内照射による奏効を目的としている)は年間約20件、甲状腺分化癌に対する内照射療法件数は年間約50件。最近、外来投与による甲状腺分化癌内照射療法を開始した

★悪性褐色細胞腫・小児神経芽細胞腫のMIBG治療は年間約20件

★メタストロンは年間約10~20件、ゼヴァリンは年間約10~20件。

医療設備

PET-CT装置1台、SPECT-CT装置2台、SPECT装置2台、超音波診断装置、アイソトープ病室6床。

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