専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

富山大学附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器・一般内科

分野

消化器・一般内科

特色

肝不全、GERD、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染症、機能性ジスペプシア、小腸潰瘍などの消化管疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病などの難治性疾患、食道癌、胃癌、大腸癌、消化管GIST、消化管悪性リンパ腫などの消化管悪性腫瘍、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、肝不全、肝細胞癌などの肝疾患、その他、膵炎、膵癌、胆道疾患などについて専門的な高度医療を行っている。特に消化器癌や消化管GISTでは最新の分子標的治療に熟知した専門医、腫瘍内科医が先進医療を行っているため、富山県内のみならず周辺県からも患者さんが多数紹介され、治療を受けている。胃潰瘍・十二指腸潰瘍に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療は既に標準治療であるが、当科は除菌治療に習熟しているため、ほとんどが通常の除菌治療失敗後の紹介除菌症例である。

症例数

53床(稼働率は常に100%を超えている)のうち、消化器癌、消化器難治性疾患患者が4分の3を占める。内訳は年間、食道癌25例、胃癌は80例、大腸癌29例、膵癌12例、消化管GIST24例、肝細胞癌96例などである。食道癌は放射線併用化学療法、大腸癌は分子標的治療を含む多剤化学療法、消化管GISTは分子標的治療などである。胃癌は多剤併用化学療法の他に、早期胃癌に対して、ESDなどの内視鏡治療45例、その他、早期食道癌の内視鏡治療も行っている。肝細胞癌ではラジオ波焼灼治療が130件、血管塞栓術が120件などである。これらのがん治療には我が国あるいはグローバル臨床治験に参加している例もある。また最近の新規がん治療を上手に行うには治療薬マネージメントが最も重要であり、有害事象のため他施設で治療困難な例も多数紹介されており、その後もがん治療を継続できている例も少なくない。がん治療成績は進行度によって異なるが、進行食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、消化管GIST治療成績はグローバル臨床成績とほぼ同等かそれ以上の治療成績である。その他、潰瘍性大腸炎が65例、クローン病が35例など消化管難治性疾患に対しATM除菌治療、分子標的治療等を行っており、これら難治性疾患に対しても新規治療薬(ほとんどが既に欧米で承認されている薬剤)による臨床治験が実施されている。

医療設備

MRI、CT、ラジオ波焼灼、ダブルバルーン内視鏡、超音波内視鏡など。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

男性不妊、尿路性器悪性腫瘍、前立腺肥大症、性機能障害を中心とする泌尿器科領域の疾患を対象に、常に最先端の医療を心掛けている。尿路結石、腎移植、神経因性膀胱炎などにも幅広く取り組んでいる。

症例数

年間の手術件数は約350件

★男性不妊の診断面においては、精液自動分析装置、アクロビーズテスト、ハムスターテストなどの精子機能解析、精液の生化学分析、遺伝子解析など多角的にアプローチしている。精索静脈瘤にはカラードプラなどの最新の画像法ににより血流動態などを解析。治療は、特発性造精機能障害に対しては証を考慮して補中益気湯などの漢方製剤を試み、精液所見の改善率は50%。精索静脈瘤による造精機能障害に対しては腹腔鏡下高位桔紮術を約120例行い、約70%に造精機能の改善、約30~40%で自然妊娠を認めている。近年は顕微鏡下低位桔紮術を行っている。閉塞性無精子症に対して顕微鏡下精路再建術、内視鏡下射精管口切開術などを行い、自然妊娠が困難な例は婦人科とも連携して生殖補助技術を施行

★前立腺癌の診断はCT、MRI、経直腸的超音波検査などの各種画像検査、系統的前立腺生検法、骨転移の診断精度改善のために骨スペクトや骨代謝マーカーなども利用。治療は局所限局癌に対しては一部内分泌療法を併用して前立腺全摘除術。勃起神経温存術も施行。高線量率組織内照射も行っており良好な成績を治めている。stageDの転移病期は原則として完全アンドロゲン遮断療法としての内分泌治療。再燃例に対しては疼痛除去などQOLを考慮してsecond line内分泌療法や、タキサン系抗癌剤による化学療法、ストロンチウム治療も行っている。約400例を対象とした疾患特異的5年生存率はstageA1:100%、A2:85%、B:95%、C:90%、D:35%

★腎癌の治療は原発巣の摘除を基本とし、下大静脈血栓を伴う場合でも人工心肺を用いた根治手術を行い、遠隔転移例も適応があれば積極的に摘除し、予後の改善を図っている。High stageに対しては、術後の補助療法としてインターフェロンα、インターロイキン2を使用。インターフェロンレセプターによる効果予測など先端的研究にも取り組んでいる。進行癌に対しては分子標的薬による治療も行っている。約300例の疾患特異的5年生存率はI期95%、II期90%、III期50%、IV期10%。最近では検診、人間ドックなどで発見される偶発癌が増加し、全体の生存率があがっている

★腎盂尿管腫瘍の治療成績は、low stage群とpT3以上のhigh stage群の5年生存率はそれぞれ80%、25%。膀胱腫瘍は表在性では経尿道的切除術および術後の抗癌剤膀胱内注入療法。症例によりsecond-lookの経尿道的膀胱腫瘍切除術も施行。膀胱全摘除術後の尿路変更術として主に回腸導管を造設しているが、適応があれば自然排尿型尿路変更術。副腎腫瘍、精巣腫瘍、陰茎腫瘍などにも積極的に取り組んでいる

★性機能障害はレジスキャンプラス(陰茎硬度周径連続測定装置)を用いて、機能的あるいは器質的勃起障害の鑑別を的確に行っている。器質的勃起障害が疑われる場合は、陰茎海綿体内注射、カラードプラ、振動覚閾値測定など施行し、血管性、神経性などその原因を明らかにしている。治療成績はシルデナフィル(バイアグラ)で約70%、本剤が使用できない場合、漢方製剤にて50%、体外陰圧式勃起補助具や血管作動薬の陰茎海面体注射では約80%、陰茎プロステーシス挿入術約100%

★尿路結石に関しては、ESWL装置(シーメンス製)を用いて上部尿路結石に対して治療を行い、ESWL単独の有効性は約85%。サンゴ状結石はESWLに経皮的腎砕石術を併用。膀胱結石に対してリソクラストによる経尿道的砕石術を行い、全例低侵襲下に治癒

★腎移植は1983年より生体腎移植、86年より献腎移植を施行。移植件数は40件を超え、北陸地区でも有数の腎移植施設。本院は脳死体からの臓器提供施設に指定されており、臓器提供に関する院内の体制づくりなどにも当科は積極的に対応している。

医療設備

MRI、CT、ESWL、精液自動分析装置、カラードプラ、レジスキャン。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

整形外科

分野

整形外科

特色

特定機能病院である大学病院診療科として、各種整形外科疾患を扱っている。ことに関節外科・リウマチ、脊椎外科、腫瘍外科、手の外科、外傷に重点を置き、各専門医を擁している。各疾患ともにQOLと予後を考慮した上で、保存的療法と手術療法を併せて行っている。地域に対する開かれた医療を行うとともに、高度先進医療も承認を受け実施している。

症例数

年間外来患者数約17,000人。外来は7診察室を開いて対応している。手術件数に関しては年間約550-600件。その内訳は脊椎・脊髄外科180件、関節外科・リウマチ外科(人工関節、靭帯再建ほか)100件、手の外科・上肢の外科60件、骨・軟部腫瘍25件、外傷90件、その他となっている

★脊椎脊髄外科領域では、腰部脊柱管狭窄症、頸椎・腰椎椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症・頸椎症性脊髄症、さらに脊椎・脊髄損傷、脊椎・脊髄腫瘍など、すべての脊椎疾患を取り扱っている。診断技術を駆使して責任病巣を特定し、必要に応じた保存的治療を行っている。また多岐にわたる脊椎外科的治療を行っている。特に独自に開発された椎弓形成術法と腰椎前方固定術では、優れた長期成績をあげている。同時に適応を選んで各種インスツルメンテーションを併用した脊椎手術を施行し、早期離床と早期リハビリテーションを行っている。さらに磁気刺激による神経機能診断に加えて、手術時のナビゲーションシステムをわが国でいち早く導入して多くの脊椎手術に便用することにより、安全な手術治療を行ってきている

★関節疾患領域では、変形性関節症やリウマチに伴う膝関節障害、股関節障害などの治療を行っている。進行期の症例には人工関節置換術を中心として治療を行っている。いずれも術後の長期にわたる観察例が多く手術成績は安定している。特に人工膝関節置換術では術後平均16年以上の時点で95%の症例ではゆるみが生じておらず、良好な長期成績を維持している。関節置換術後の感染も長期経過で0.3%と低い。可能な症例の全てに対して術前の貯血式または回収式自己血輸血を行っている。またリウマチなどの関節疾患に対しては発症後早期から診断を下して治療を開始し、薬物治療を重点的に行って疾患を阻止して寛解導入することを目指している。厚生労働省研究班に所属しながら、手術治療のみならず疾患撲滅を目指した治療法開発にも取り組んでいる

★手の外科では、各種の機能再建手術、神経手術、手術用顕微鏡を用いた微小外科を施行している。また外傷、関節炎に対する各種外科的治療を行っている

★骨や筋肉などの軟部の良性・悪性腫瘍症例の診断・治療を行っている。ことに診断と治療に難渋する症例を積極的に受け入れている。近年の画像診断、組織・細胞診断技術を用いた上で、可能な限り低侵襲手術を行っている。悪性腫瘍の治療に際しては、患肢温存手術に力を注いでいおり、症例に応じてエビデンスに基づいた化学療法を併用している

★肩関節傷害やスポーツ傷害の治療を積極的に行っており、傷害の予防や指導とともに、関節鏡による低侵襲手術を推進している

★救急部と連携して救命救急医療に対応し、骨関節の重度救急外傷を受け入れている。骨折その他の外傷に対して、早期の機能回復と早期退院を目指した手術治療を積極的に行っている

★リハビリテーション部門では整形外科疾患のみならず、脳血管障害、心疾患、呼吸器疾患、代謝疾患など幅広い疾患に対するリハビリを行っている。

医療設備

無菌手術室、手術用ナビゲーションシステム、MRI 3台、PETその他核医学診断装置、CT、DEXA、高圧酸素治療装置、放射線治療設備など。リハビリテーション設備では、サイベックス四肢・体幹筋力測定装置、KT-2000他。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

産婦人科

分野

産婦人科

特色

周産期、不妊・内分泌、腫瘍の3分野についてそれぞれの専門スタッフがチームを組み、診療にあたっている。各分野ともに最先端の証拠に基づく確実な治療効果の提供を診療方針とし、かつQOLを重視した低侵襲・短期入院に努めている。特殊外来として、富山大学の特色でもある和漢診療を生かした婦人科漢方外来を開設しているほか、更年期・骨粗鬆症外来、思春期外来、産科超音波外来、遺伝相談なども行っている。

症例数

年間の全手術件数は約350例、分娩件数は約250例、入院患者数は約800人である。対象はすべての産科・婦人科疾患であるが、産科では切迫早産や多胎、合併症を有する妊婦などのハイリスク妊娠が中心であり、婦人科では悪性腫瘍などの重篤な疾患が多い

子宮頸癌=子宮頸部初期病変(子宮頸癌0期)については円錐切除術による子宮温存手術を行っている。進行子宮頸癌(III~IV期)に対しては、組織内照射、腔内照射ならびに抗癌剤併用放射線治療を行っている

★子宮体癌:ローリスク例には骨盤内リンパ節郭清を省略し術後のQOLを改善している。治療成績は以前と全く変わらない

子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍(良性)=内視鏡下手術による低侵襲手術を基本としている。子宮全摘術は腹腔鏡を併用した腟式子宮全摘術(Laparoscopic-Assisted Vaginal Hysterectomy,LAVH)を基本術式とし、子宮内膜症に対する手術も、レーザーメスを用いて内視鏡下で行う方針としている。県外からも直腸子宮内膜症例が手術を受けに来られている。明らかに良性と診断された卵巣腫瘍に対しても、腹腔鏡下手術が基本であり、術後の早期回復・早期社会復帰が可能である

周産期=早産予知の新しい診断方法を取り入れ、早期診断・早期治療を積極的に行い、早産による新生児死亡や後遺障害発生の減少に力を注いでいる。一般の妊婦健診でも早産予知のためのサイトカイン測定など独自の方法を取り入れ、早産、特に28週未満の未熟児出生を減少させることに成功している。妊婦健診では毎回超音波断層法による胎児発育・胎児血流計測等の精密検査を行い、胎児異常の早期発見・早期対応を可能にしている

周産母子センター=2001年度より設置された。富山県母子救急の第三次医療機関として、早産や母体合併症(妊娠高血圧症候群症、多胎妊娠、その他の合併症によるハイリスク妊娠など)に対し最新の高度医療を取り入れた集学的治療を行っている。年間80~90症例の母体搬送を受け入れ、搬送依頼は年々増加している。NICU、小児外科、小児心臓外科と連携をとり、重篤な疾患を持つ児の胎児期から出生後までの一貫した管理が可能である

★不育症治療:齋藤教授は厚生労働省不育症研究の班長であり、不育症例を多数治療している。種々の原因を精査した上で最適の治療法を行うことで80%を超える生児獲得率が得られている

更年期・骨粗鬆症=専門外来を開設し、更年期障害の診断・治療のみならず、更年期以降の代表的合併症である骨粗鬆症や高脂血症の発見・治療も併せて行っている

産婦人科漢方外来=和漢診療専門医による産婦人科和漢診察を行い、更年期、不妊・不育症、婦人科におけるその他の各種ホルモン異常等に対し、漢方薬を用いた治療を行っている。更年期障害に対しては、ホルモン補充療法と漢方の併用、あるいは漢方薬単独での治療法を、症例に応じて選択している

★思春期婦人科外来を開設。未婚・若年女性を対象に、月経異常やその他の婦人科相談を受けている。女性医師による診療。

医療設備

MRI、CT、LEEP、リニアック、RALS、KTPレーザーメスなど。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

眼科

分野

眼科

特色

各専門外来を設け、あらゆる眼科疾患に対応している。最新の治療法をより早期に導入し、高度専門施設として最善の治療を提供できるようにしている。網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑上膜などの網膜硝子体疾患を始め、白内障、角膜疾患、緑内障、ぶどう膜疾患、斜視、小児眼科、涙道疾患など、ほぼすべての領域にわたって薬物治療および手術治療を行っている。特に手術治療は成績が良好である。さらに網膜硝子体領域では、加齢黄斑変性に対する抗VEGF薬を併用した光線力学療法、網膜静脈閉塞症に対する抗VEGF抗体治療などの先進的治療を積極的に行っている。また、周産母子センターと連携し、未熟児網膜症の治療を行っている。角膜、緑内障領域では、従来の角膜移植術に加え、視力回復が良好な角膜内皮移植術(DSAEK)も行っている。最近では、合併症の少ない新しい緑内障手術を全国に先駆けて実施している。また、特殊な羊膜を用いた難治性角膜・緑内障疾患の治療も当科独自の治療である。高度専門施設であるため、他科と連携した眼窩疾患治療、全身疾患に伴う眼疾患治療も行っている。

症例数

年間の手術件数は約1,000件(レーザー手術を除く)

★硝子体手術が約350件、緑内障手術が約150件、白内障手術が約300件、斜視手術および涙道手術が約100件などである

★網膜剥離は9割以上で硝子体手術を施行しており、ほぼ全例で小切開硝子体手術を行うことで早期からの視力回復が得られている。症例に応じて強膜内陥術も行っている。初回網膜復位率は約95%であり、全国平均より良好な手術成績である

★加齢黄斑変性に対する光線力学療法は、年間120例以上に実施しており、薬物治療を併用することでさらに良好な視力改善が得られている

★眼外傷などの緊急手術を要する疾患にも当直体制により対応可能である

★角膜移植術では角膜内皮移植術を導入している

★角膜穿孔や緑内障の難治症例に対して特殊羊膜移植を行い、失明の危険を予防している

★あたらしい緑内障手術であるカナロプラスティーを導入し、多くの症例で約40%の眼圧下降率を実現している

★白内障手術は、小児白内障手術から難治症例まですべてに対応している。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

血液内科

分野

血液内科

特色

血液疾患全般の診療を行っており、特に悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫に対する化学療法、自家末梢血幹細胞移植併用超大量化学療法を中心に実施しているが、我が国有数の移植症例を誇る移植専門病院で研修を積んだ医師が増え、同種造血幹細胞移植療法も実施している。富山県内、県外から患者さんが受診される地域基幹病院、教育病院として機能している。2006年から外来化学療法を開始し、入院期間の短縮、患者さんのQOLを考慮した治療も行っている。また、最近の分子標的薬剤を用いた治療を積極的に取り入れており、治療方針は最新のエビデンスをもとに決定しており、患者さんや御家族の希望も考慮しつつ、明確なエビデンス、治療成績を示して治療前に十分説明、納得してもらったうえで治療している。

症例数

年間の病床の53床のうち、約4分の1が血液疾患である。年間入院患者内訳は、急性白血病約10例、急性リンパ性白血病2~3例、慢性骨髄性白血病3~4例、慢性リンパ性白血病1~2例、骨髄異形成症候群約10例、非ホジキンリンパ腫約30例、ホジキン病1~2例、再生不良性貧血1~2例、多発性骨髄腫約10例、その他5例などである。急性白血病は国内臨床試験に基づき標準的な多剤併用化学療法を行っている。急性骨髄性白血病の完全寛解率は約70%である。悪性リンパ腫では高齢進行期症例を含み中高悪性度リンパ腫で寛解率は約70%である。初発時のハイリスクおよび再発例に対しては、自家末梢血幹細胞移植併用超大量化学療法を併用している。再発性の低悪性度B細胞リンパ腫にイブリツモマブ(ゼヴァリン)、白血病に抗ヒトCD33モノクロナール抗体(マイロターグ)、難治性の多発性骨髄腫にボルテゾミブ(ベルケイド)、サリドマイド(サレド)などの最近の分子標的治療を取り入れ、良好な成績をあげており、血液疾患の治療は新段階を迎えている。

医療設備

簡易無菌室、簡易型無菌ユニット、血球分離装置、リニアック。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

神経内科

分野

神経内科

特色

神経内科は、中枢神経(大脳・小脳・脊髄など)、末梢神経、筋肉を障害する様々な病気を診療する内科。頭が痛い(頭痛)・手足のふるえ・手足の脱力(筋力低下)・手足の硬直感・手足のしびれ(感覚障害)・めまい・ふらつき・歩行障害・けいれん発作・意識障害・気を失った(失神)・記憶力の低下(記憶障害)・認知症・ものがだぶって見える(複視)・ものが飲み込みにくい(嚥下困難)・言葉のもつれ(構音障害)・会話ができない(言語障害)などの神経症状を訴える患者さんを診療している。当科では、患者さんの神経症状が神経系のどこが障害されて発症しているか、神経診断学に準拠して的確に病巣診断を行う。また、神経症状は全身的な様々な病気に併発することが多く、原因疾患と病態の把握を迅速かつ正確に行うことが重要である。その意味で、神経症状を訴える患者さんを全身的かつ総合的に診断治療することを診療の基本としている。当科は大学病院に所属し、関連する他の診療科(内科各科、脳神経外科、精神科、など)とも連携を密にして診療を行っている。

症例数

脳卒中=脳卒中は癌、心臓病と共に我が国の3大疾病の一つ。当科には日本脳卒中学会認定の脳卒中専門医が4人いる。また、当科のスタッフが編集した脳卒中診療の総合的教科書「必携 脳卒中ハンドブック」を、全国の脳卒中専門医の協力を得て2008年に出版している。脳卒中は当科での診療および研究の中心的な疾患の一つである。2006年に日本経済新聞社と日経メディカルが共同で全国1,300の病院を対象として、病院の実力を評価するアンケート調査を行ったが、脳卒中診療では全国で29施設が最高評価(AAA)となり、当院もその一つに選ばれた。当科では、脳梗塞を発症して2時間以内に病院に到着し、治療指針の基準に合う場合は、患者さんやご家族同意の上で、組織型プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)を用いた経静脈的血栓溶解療法を行っている。この治療法は、脳血管を閉塞している血栓を溶かすもので、脳梗塞の根本的治療法である。また、当科は日本脳卒中協会富山県支部を担当している

パーキンソン病=パーキンソン病関連疾患には、多様な疾患がある。パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別診断を的確に行い、薬物治療を中心に適切な治療を行う。また、適応を慎重に判断し、脳神経外科と協力して脳深部刺激療法(DBS)も行っている

頭痛、めまい、しびれ=一般的な症状だが、様々な原因がある。神経内科では神経診断学を基に原因疾患を的確に診断して適切な治療を行う。日本頭痛学会認定の頭痛専門医も4人いる

多発性硬化症=比較的若い人に多く、再発緩解を繰り返す中枢神経のアレルギー性疾患。早期に診断して適切な治療を行うと同時に、再発予防の治療を勧めている

末梢神経障害、重症筋無力症、筋疾患=手足のしびれや脱力は様々な疾患に起因するので、的確な診断が大切。免疫性機序による多発神経炎に対しては大量免疫グロブリン静注(IVIg)療法を含めた最新の治療法を行っている

髄膜炎、脳炎、意識障害、てんかん=頭痛や発熱を伴う急性あるいは亜急性の意識障害、又は、けいれん発作のある患者さんの原因疾患を的確に診断して治療を行う

脊髄小脳変性症・筋萎縮性側索硬化症などの神経難病=神経難病の患者さんを診断し、適切な診療を行っている。特定疾患や身体障害者の申請に必要な書類も作成している。

医療設備

CT、MRI、MRA、SPECT、PET、筋電図、脳波、超音波検査装置(頸動脈エコー、経食道心エコー)、脳血管撮影、などが完備している。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

血管障害(脳卒中)、腫瘍、外傷、脊椎・脊髄疾患、機能的疾患(三叉神経痛・顔面痙攣・パーキンソン病・難治性てんかん・慢性疼痛、遷延性意識障害)、水頭症・小児神経奇形などの脳神経領域の各種疾患に対し、手術および血管内治療を中とする総合的専門的治療を行っている。特定機能病院として最先端の脳神経外科手術を行うと共に、24時間の緊急診療体制をとり、救急疾患にも対応している。CT、MRI、脳機能検査を駆使した手術ナビゲーションシステム(EVANS)の独自開発、神経内視鏡治療の導入と関連機器の開発、様々なマイクロ手術器械・器具の開発と臨床応用を積極的に行い、より安全で高水準の外科治療を目指している。診療に対する我々チームのモットーは、患者さんや家族の方と話し合いの時間を十分に持ち、お互いの理解のもとに手術を含む治療に最善の努力を尽くすことである。

症例数

ベット数は重症室を含め27床、年間の総入院患者数は約350人、総手術数は約300件

★脳腫瘍手術は年間約60件。近年は術中ナビゲーション、脳機能モニタリング施行下の覚醒手術を導入し、腫瘍摘出率が増加し、術後合併症は激減している。最近5年間の髄膜腫や下垂体腫瘍など良性腫瘍の全・亜全摘出率は、脳深部や巨大病変などの治療困難例を含め90%以上、術後悪化は5%以下の成績である

★悪性グリオーマにおいても、術後QOLの悪化はなく、約80%の腫瘍摘出率である。外科治療に加え、術前後の放射線治療・化学療法の併用治療を行うことで、治療成績は徐々に向上している。新たな治療手段を開発検討中である。下垂体腫瘍は専門教育施設に認定

★新しい治療法として注目される脳血管内治療は、これまで1,000件以上の治療(年間約80件)を経験し、北陸信越地区における中核施設的役割を果たしている。特に硬膜動静脈瘻は約100件の治療を行い、95%以上の治癒率(合併症3%)を得ている

★脳血管障害においては、発症急性期の緊急治療に重点をおき、外科治療および血管内治療を併用した先端的治療を実践している。特に頚部頚動脈狭窄症に対する内膜剥離術は300件超の手術数を経験し、本分野で国内外の先導的な役割を果たしている。手術成績は合併症2.3%と極めて良好である

★脳動脈瘤手術および血管内コイル塞栓術は年間約40件。くも膜下出血例が約半数で、社会復帰できた予後良好例は80%の成績である。未破裂動脈瘤の術後合併症は約3%で、全例社会復帰している

★神経内視鏡の導入により、水頭症に対する第3脳室穿孔術や中脳水道拡張術、脳室・深部腫瘍に対する外科治療など、従来は行いえなかった新しい低侵襲の手術が可能となり、手術件数も年々増加している

★難治性てんかん、顔面痙攣、痛みに対する機能的手術、パーキンソン病などに対する定位脳手術なども年間約30例行い、良好の機能予後を得ている。脊椎・脊髄手術は年間約20例で、全例合併症なく症状の改善を得ている

★リハビリテーションなど長期治療についても、関連病院との連携により充実を図っている。

医療設備

MRI、CT、DSA、SPECT、PET、てんかん発作解析装置、超音波診断機器、手術ナビゲーションシステム、神経内視鏡、定位脳手術機器、超音波レザー治療機器など。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

放射線科

分野

放射線科

特色

画像診断はもとより、治療部門においても放射線診療の特色を生かし、癌の正確な病期診断を行った上で、各患者さんの特殊事情を加味して関連各科と連携を密にし、最善の治療法選択に努めている

★放射線治療(外部照射)においては、確実な局所制御を可能にすることで臓器機能を温存し、治療後の患者さんの生活の質の向上に努めている。さらにインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)も併用し、「癌を切らずに観て、切らずに治す」ことを目指している

★主な対象疾患は乳癌、肺癌、食道癌、頭頸部癌、肝癌、甲状腺癌ならびにバセドウ病で、これらに対して外部照射、内部照射療法およびIVRによる治療を行っている。なお、IVRに関しては腫瘍以外に血管疾患も取り扱っており、出血等緊急症例に対しては休日・夜間等も対応している

★MRI画像診断の分野では、MRアンギオグラフィと最近の新しい撮像法である拡散強調画像および潅流画像を組み合わせることで、脳梗塞の早期診断および治療方針の決定を行っている。致死的な疾患である脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の診断には、CTによる診断が困難な例ではMRアンギオグラフィとMRIの比較的新しい撮像法であるFLAIR法を積極的に活用し、CTのみでは診断が困難なクモ膜下出血の診断に役立っている

★また、全身の血管性病変の診断では、従来の血管造影検査よりも非侵襲的な検査法である造影剤を用いたMRアンギオグラフィを積極的に活用している。また、放射線治療患者の増加に対応して、2007年度に新型リニアック装置を導入した。2009年度からは早期癌の治療の期間短縮を図るために定位放射線治療を開始する。

症例数

画像診断件数は年間でCT16,100件、MRI5,100件、核医学検査3,400件で、ほぼ全例を放射線科医師が担当し、放射線科専門医あるいは核医学認定医の診断報告書を付けている

★放射線治療件数は外部照射と内部照射を合わせて年間約300件で、外部照射では乳癌、肺癌、食道癌および頭頸部癌が大多数を占めている。特に乳房温存療法では5年無病生存率98%、5年局所再発率1.7%と非常に良好な成績を誇っている。肺癌では、呼吸器内科、外科との毎週のカンファレンスに基づき、化学療法同時併用による1日2回照射放射線治療を施行し、良好な成績を挙げつつある。食道癌では、外照射と腔内照射を組み合わせ、特に高齢者には抗癌剤を使用しない放射線単独治療を施行し、抗癌剤併用療法に劣らない成績を挙げている

★内部照射療法の治療は、放射性ヨウ素(I-131)を使用するバセドウ病、分化型甲状腺癌と放射性ストロンチウム(Sr-89)を使用する有痛性骨転移症(乳癌、前立腺癌)がある。バセドウ病症例は一般に、長期間内科にて抗甲状腺薬の投与を受けており、種々の合併症を有することが多いが、内部照射療法により90%以上の寛解率が得られている。分化型甲状腺癌症例においても内部照射療法により、局所再発率は極めて低く抑えられている

★IVRによる治療の対象は、種々の血管疾患ならびに腫瘍性疾患と多岐にわたる。血管疾患では、出血等緊急症例の塞栓術をはじめ、動脈瘤や閉塞性動脈疾患に対して、血管内からの低侵襲的な治療を行っている。腫瘍性疾患に関しては、限局性悪性腫瘍に対する抗癌剤の動注化学療法ならびに塞栓術の他、術中出血軽減を目的とした術前塞栓術を関連各科と連携し行っている。特に最近では、転移性肝癌に対する間欠的持続動注化学療法を目的としたリザーバーポートシステムの経皮的設置依頼が増加している。間欠的持続動注化学療法により、優れた局所制御が得られると共に癌化学療法の副作用を軽減し、患者さんの生活の質の向上に寄与している

★癌の病期診断はCT、MRIでは限界があり、F-18デオキシグルコースを使用する全身ポジトロン断層撮影(PET)検査を2001年度から実施している。この検査の導入により「癌のより正確な病期診断から、より適切な治療選択」が可能になったばかりでなく、治療効果判定にも有効である。

医療設備

CT、MRI、PET、SPECT、SPECT/CT、リニアック、ラルストロン、定位置放射線治療装置。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

ペインクリニック

分野

ペインクリニック

特色

慢性の難治性疼痛や癌性疼痛に対する治療に積極的に取り組んでいる。また、A型ボツリヌス毒素による顔面・眼瞼けいれんの治療、エピドラスコープ(硬膜外内視鏡)にも取り組んでいる。

症例数

2008年度の新患者数は70人、再来患者数は延べ2,500人である。難治性の慢性疼痛の患者さん(帯状疱疹後神経痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、三叉神経痛、頭痛、外傷性頚部症候群、Failed back surgery syndromeなど)に対しては、星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、三叉神経ブロック、トリガーポイントブロック、エピドラスコープや超音波装置を用いた神経ブロックなどを行うとともに、鎮痛薬、抗うつ薬、抗けいれん薬などの薬物療法を主体とした治療を行っている。顔面・眼瞼けいれん、痙性斜頸に対するA型ボツリヌス毒素治療の患者数は35人である。難治性癌性疼痛に対するコンサルテーションを行い、薬物や硬膜外ブロックなどによる治療も併せて行っている。なお、難治性癌性疼痛に対して2008年度に行った持続クモ膜下ブロックは2例、腹腔神経叢ブロックは1例であり、疼痛に対して有効であった。また、高周波熱凝固による三叉神経第3枝(下顎神経)ブロックは15例であった。

医療設備

低出力レーザー、末梢神経高周波熱凝固装置、エピドラスコープ、神経ブロック用超音波(エコー)装置、PCAポンプなど。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

東洋医学

分野

東洋医学

特色

和漢診療科は漢方医学と西洋医学の両方の長所を生かした診療を行っている。西洋医学では良い治療法がない、西洋医学の治療では副作用が心配、心や体の不調を改善したい、病気が進行するのを防げたい、たくさん病気があり薬が多くなるのを減らしたい、などが受信の理由となる。

症例数

外来は予約制で月曜日から金曜日までの週5日間で、外来患者数は1日60人である。漢方治療を中心に必要に応じて西洋医学的な診断と治療も行い、院内各科と密接な連携を取り診療にあたっている。入院での検査や治療も行っている

★主に漢方煎剤を用いるが、漢方エキスも用いている

★特に受診数の多い疾患と診療上の特色は、①メタボリックシンドローム、生活習慣病:心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化の進展予防のため、血管機能を評価して漢方処方の効果を確認しながら診療を行っている。②慢性関節リウマチ:関節痛の軽減や活動性の抑制を目的に種々の漢方処方を使用し、必要に応じて現代医学的治療も併用している。③アトピー性皮膚炎:種々の漢方処方を症状に応じて投与している。難治例では当院皮膚科との併診で診療にあたっている。④その他:冷え性、胃腸虚弱、疲労倦怠、頭痛、肩こり、腰痛などのよくみられる症状、慢性の肝疾患/腎疾患などの信仰予防、難治性疾患のQOLの改善、副作用のため西洋薬の使用が困難な例など、様々な症例に対応している。

「医者がすすめる専門病院 北信越版」(ライフ企画 2009年5月)

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