福島県立医科大学附属病院

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

福島県立医科大学附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

内視鏡診療部

分野

消化器・一般内科

特色

05年10月に小原が初代部長に就任し、附属病院の中央部門の1つとして新設された。新しい体制の下に、安全かつ効率的で高度な内視鏡診断・治療を行える診療体制、そして吐下血などの緊急内視鏡に常時迅速な対応ができる緊急体制を整えている。

症例数

年間の内視鏡診療は6,000件を超えている。そのうち約1,000件は各種治療内視鏡が占めている

★消化管疾患:上部・下部消化管内視鏡のみならず、超音波内視鏡(EUS)や狭帯域光観察(NBI)を併用した拡大内視鏡検査を行っている。また、EUSガイド下穿刺(EUS-FNA)による生検も積極的に施行している。食道・胃静脈瘤に対する内視鏡治療は、日本でも有数の症例数と実績を残している。食道がんや胃がん・大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は03年から積極的に行っている。また、内視鏡的止血術や内視鏡的胃瘻造設術(PEG)、食道ステント挿入術も施行している

★胆、膵疾患:内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)は、造影検査のみならず、胆管膵管腔内超音波検査(IDUS)、細胞診、生検なども診断に応用している。治療は、内視鏡的切石術、内視鏡的乳頭切開術(EST)、内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)、内視鏡的経鼻的胆管ドレナージ(ENBD)、胆管や膵管の狭窄部位へのステント留置などの各種治療を積極的に施行している。EUS-FNAは、膵腫瘍や自己免疫性膵炎の診断目的に施行している。

医療設備

電子スコープ(上部・下部消化管、小腸内視鏡)、EUS(通常型、コンベックス型、電子ラジアル型、細経超音波プローブ)、カプセル内視鏡ほか。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

消化器・一般外科

分野

消化器・一般外科

特色

我々の診療の基本は、理論に基づく適切な治療を安全かつ確実に患者様に提供することである。食道、胃、小腸、大腸、肝胆膵などの良悪性疾患のすべてに対して、診断から治療まで一貫して行っている。早期のがんに対しては内視鏡下治療、胸腔・腹腔鏡下手術などを含めた低侵襲手術を積極的に導入し、高度に進行したがんに対しては、移植手術や血管外科手術手技を応用した拡大手術を行っている。また、化学療法(抗がん剤治療)に関しても積極的に取り組んでおり、抗がん剤感受性試験などに基づく個別化治療や、樹状細胞やペプチドワクチンを用いた細胞免疫療法も実施している。また、種々の疾患でクリニカルパスを作成し、標準的治療経過を予めお示しするようにしている。患者様はいろいろな悩みや不安を抱えて受診されるので、丁寧かつ親切に応対し、きめ細やかな医療を提供できるように努めている。

症例数

09年の年間手術例数は768例であり、このうち上部消化管疾患が64例、下部消化管疾患が91例、肝胆膵疾患が120例であった

食道がん=年間手術例数15~20例。胸腔鏡下手術を98年から導入し、現在、食道表在がんを対象として行っている。09年の胸腔鏡下手術は1例(08年は7例)であった。胃がんなどで胃管再建ができない症例に対しては、形成外科の協力のもとマイクロサージャリーによる血行再建を用いた空腸再建術を行っている。Stage別5年生存率はStage 0:79%、I:49%、II:47%、III:25%、IV:2%であった

胃がん=年間手術例数40~60例。早期胃がんでリンパ節転移を伴わないものについては、積極的に腹腔鏡下胃切除術を施行している。これまでに約60例の腹腔鏡下幽門側胃切除術、腹腔鏡下胃全摘術を施行した。進行胃がんに関しては開腹手術を施行している。Stage別5年生存率は、StageIA:92.8%、IB:87.0%、II:71.4%、IIIA:83.3%、IIIB:50.0%、IV:23.3%であった

大腸がん=年間手術例数40~50例。早期がんや症例によっては、進行がんに対しても腹腔鏡下手術を行っている。Stage別5年生存率はStage 0:100%、I:96%、II:88.1%、IIIa:71.2%、IIIb:58.4%、IV:24.8%と良好である。炎症性腸疾患関連の大腸がんについて治療を行っている県内で数少ない科の一つである

肝胆膵がん=年間手術例数70~90例。肝細胞がん、転移性肝がん、胆道がん、胆嚢がん、膵がんの手術を行っている。また、生体肝移植も積極的に行い、これまで37例に施行しているが、そのうち肝細胞がんに対するものは7例であった。肝胆膵がんに対する手術方針は、各ガイドラインを参考に決定している。術式は、血管合併切除を伴う肝・膵切除などの拡大手術から、低侵襲である単孔式腹腔鏡手術まで、各々症例に応じて決定している。肝細胞がんに対する術前免疫動注療法や、膵がんに対する樹状細胞による術前免疫療法を臨床研究として行い、一定の効果を示すことが確認された。肝細胞がん切除例の5年生存率は44.2%、膵がん切除例の3年生存率は20%であった。その他、日本膵・膵島移植研究会事務局でもあり、脳死ドナーからの膵腎同時移植を2例経験し、膵島移植も行っている

化学療法=抗がん剤治療に関しても積極的に取り組んでいる。術前、術後の患者様ばかりでなく、切除できない患者様や、再発された患者様にも科学的根拠に基づく化学療法を行っている。最近では外来化学療法室による通院抗がん剤治療も取り入れている。各種新規抗がん剤治療や、症例によっては抗がん剤感受性試験などに基づくオーダーメイド治療も実施している。

医療設備

MRI、CT、ヘリカルCT、DSA、電子内視鏡、超音波、鏡視下手術装置、放射線治療装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

低侵襲・先端治療科

分野

消化器・一般外科

特色

消化管疾患全般、肝・胆・膵臓の良・悪性疾患など幅広い疾患を対象とし、手術、がん化学療法、放射線治療、免疫療法(DC療法等)などを組み合わせ、患者個々への最適な治療を行っている。消化器内科と緊密な連携を保つことで、診断から治療までのスムーズな流れを目指し、初診から治療まで患者にとってストレスの少ない医療の提供を実践している。手術においては鏡視下手術を広く適応とし、いち早く導入された進行直腸がんに対する術前放射線化学療法併用による肛門温存手術など、低侵襲化と機能温存の両立を目指している。また遺伝性疾患については、綿密な遺伝カウンセリングのもと遺伝子診断を行い、診断・治療の一助としている。特にFAP(家族性大腸腺腫症)、HNPCC(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)、膵内分泌腫瘍などの家族性腫瘍に対しては、遺伝子診断に基づく術式の選択や、長期間にわたる計画されたフォローアップなど、臨床と基礎を関連させた治療を行っている。

症例数

〈症例数〉09年の年間手術症例数は215例で、上部消化管疾患が51例、下部消化管疾患が81例、肝胆膵疾患が66例であった。〈治療〉

食道がん=基本的に内視鏡補助下の小開胸・開腹で行っている。また、進行がんでは術前化学療法あるいは化学放射線療法を併用した集学的治療を施行している

胃がん=EMR、ESDの適応外と診断された、術前臨床病期がIA、IBの胃がんのうち、縮小手術Bまでを腹腔鏡手術の適応としている。高度進行例に対しては、術前・術後の化学療法を併用し治療成績の向上を目指している。またGIST(消化管間葉系腫瘍)症例も多く、EUS下FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引術)による術前診断を行い、進行例にはグリベックを用いた術前化学療法後の切除など集学的治療を行っている

大腸がん=大腸がんのうちEMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)等の内視鏡治療は消化器内科で行っている。進行大腸がんの治療は手術が中心であるが、化学療法、放射線療法、免疫療法など多岐にわたるため、個々の症例に合わせた最適な治療法を選択している。術前深達度SS(がんが固有筋層を越えて浸潤しているが、漿膜表面に露出していない)以浅の結腸がんは鏡視下手術の適応としている。MP(がんが固有筋層にとどまる)以浅の直腸がんに対しても、積極的に鏡視下手術を採用している。また、A(がんが固有筋層を越えて浸潤している)以深の下部直腸がんに対しては局所再発の抑制と術前放射線・化学療法を施行し、照射後の側方郭清は効果の確認目的に現時点では行っている。再発・切除不能な症例も、照射後の評価にて切除可能と判断されれば積極的に手術を行っている

肝がん=原発性肝がんでは、肝細胞がんはラジオ波焼灼などの内科的治療の適応外の症例が中心であり、肝切除、肝動脈塞栓化学療法などを施行している。肝内胆管がんに関しては積極的に手術を施行する。転移性肝がんでは、主として大腸がんの肝転移症例が治療の対象になる。術前化学療法を行い、手術のタイミングを図り、手術は造影超音波検査を併用して病巣を切除している

胆道がん=胆管がんに対しては拡大肝葉切除や肝膵同時切除の場合もあるので、術前診断ならびに残肝の予備能を考慮し、門脈塞栓術を併置して手術に臨んでいる。胆嚢がんは術前の深達度診断を重要視しており、それに応じた手術を行っている

★膵がんは集学的治療が必要であり、手術後も補助化学療法を行い、生存率向上を目指している

肝胆膵良性疾患に対しては積極的に鏡視下手術を行い、入院期間の短縮に寄与している。膵内分泌腫瘍に関しては内分泌内科・外科とタイアップし、診断治療を行っている〈成績〉(5年生存率)胃がん=StageI:88.9%、II:69.2%、III:43.9%。大腸がん=StageI:95.2%、II:84.8%、III:75.8%、IV:22.2%。胆管がん=StageI:100%、II:27%、III:18%、IVa:0%、IVb:0%。胆嚢がん=StageI:100%、II:64%、III:17%、IVa:0%、IVb:0%。膵がん=StageI:63%、II:60%、III:10%、IVa:0%、IVb:5%。

医療設備

特定機能病院としてフル装備。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

「患者さんから学ぶ」をモットーに、つねに世界標準の診断・治療を実践している。さらに、患者負担の少ない診断法や治療法の開発を積極的に行っており、世界へ発信している。全スタッフが週1回、専門医の不足地域へ出向いて呼吸器疾患の初期診療に携わり、当大学病院と密に連携しながら地域診療レベルの維持に貢献している。県内には当病院に匹敵する専門医療機関がなく、専門的知識や技術を要するすべての呼吸器疾患に対応しており、結核病床も有する。

症例数

呼吸器内科単独での年間外来患者延べ人数約14,000人、年間入院患者数約500人(延べ人数約10,000人)である。疾患内訳は、気道疾患(喘息、好酸球性気道炎症、慢性咳嗽、気道異物、気道狭窄など)、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)、胸部腫瘍(肺がん、縦隔腫瘍、悪性中皮腫など)、びまん性肺疾患(間質性肺炎、膠原病肺、過敏性肺臓炎、副鼻腔気管支症候群、サルコイドーシス、好酸球肺炎など)、呼吸器感染症(肺結核、非結核性抗酸菌症、アスペルギローシス、免疫不全による日和見感染症など)といった比較的common(一般的)な疾患から、LAMや肺胞蛋白症、ウェゲナー肉芽腫症、チャーグストラウス症候群といった稀なものまで、あらゆる呼吸器系疾患を取り扱っている

気管支喘息・気道疾患の診断=従来の気管支喘息や慢性咳嗽の診断法は難しく、他の疾患が喘息と診断されているケースも少なくない。当施設で開発にかかわった呼気NO測定法は、より簡便に喘息を診断でき、既に欧州の一部でも簡易型測定器が導入されている。現在、国内普及に向けて厚生労働省へ働きかけている

肺がんの診断・治療=肺がんは治療成績の良くないがんの一つであり、早期発見、早期治療が特に重要である。当院では年間約500件の気管支鏡検査を実施しているが、最近では画像診断技術の進歩により小さな初期病変も多く見つかり、従来の検査法では診断困難なケースも多い。このような初期病変の診断率を向上させるため、多施設共同で気管支鏡バーチャルナビゲーションシステム(Bf-NAVI)を開発した。他にも気管支専用超音波(EBUS)の導入など、診断精度の向上に努めている。入院患者の5割以上を占める肺がん患者に対して、世界標準の治療はもとより、より良い治療方法の開発を目指した地域および全国レベルの臨床試験にも積極的に取り組んでいる

びまん性肺疾患(間質性肺炎など)=専門医療機関が少ないため、県内から広く紹介患者を受けている。治療の難しい病気が多く、原因究明と治療方法の確立に向け、日々研究を重ねている。厚生労働省特定疾患「特発性間質性肺炎」調査研究班のメンバーとして、新しい診断・治療法の開発も進めている

呼吸器緩和医療=呼吸器疾患の分野でも新しい診断・治療技術の開発が進んでいるが、一方で慢性呼吸不全の末期やがんの末期など、技術だけでは十分に解決できない問題も多い。福島県は、がんの病理研究で世界的に有名な吉田富三を輩出した土地であり、10年4月から「吉田富三記念福島がん哲学外来」をスタートさせた。がんの発病をきっかけとした死に対する恐怖、家庭の悩み、職場の悩みなど、多忙な日常診療の中では対応しきれない相談に応じるための無料相談室で、順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授の樋野興夫先生(NPO法人がん哲学外来理事長)をお迎えし、月1回のペースで開催している。

医療設備

専門診療に必要な医療機器のほぼすべてが大学病院内に備わっている他、呼吸器内科独自に気管支鏡検査室、呼気検査室を整備し、診断・治療に役立てている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

原発性肺がんを中心に、転移性肺腫瘍、良性腫瘍、気胸、縦隔腫瘍、胸膜・胸壁疾患、各種炎症性疾患(膿胸、肺膿瘍)、胸部外傷等呼吸器領域全般の外科治療を担当、内視鏡手術を積極的に導入し治療にあたっている。また、定期的に呼吸器内科医、放射線科医、病理医と合同カンファレンスを行い、治療戦略を検討している。一方、臨床試験としてのがんワクチン、先進医療としての樹状細胞療法といった先進的医療も行っている。

症例数

年間の呼吸器外科手術症例数は約150例、うち原発性肺がんは80例前後、転移性肺腫瘍15~20例、縦隔腫瘍15~20例、気胸その他20~30例

★現診療体制となって5年経過、その間388例の肺がん症例の手術を施行。現時点での5年生存率はIA期87.6%、IB期74%、IIA期66.4%、IIB期60.0%、IIIA期49.0%、IIIB期11.8%である

★治療内容は肺がん診療ガイドラインに準じているが、早期肺がん(IA期を対象)に対しては内視鏡手術を行い、IB以上に対しては開胸手術を採用している

★局所進行症例(IIIB期局所進行肺がんや縦隔腫瘍等)に対しては術前化学療法を併用した集学的治療を行い、大血管の再建を併用した拡大手術も行っている

★肺がん術後補助化学療法においては、呼吸器内科と連携し、治療内容と患者さんの希望に基づき、外来(外来化学療法センター)および入院の双方で行っている

★術後再発に対する治療についても呼吸器内科、放射線科と連携し責任を持って対応している

医療設備

CT、MRI、肺血流シンチグラフィー、放射線治療、細胞療法用細胞調整ユニット、電子内視鏡など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

循環器内科

分野

循環器科

特色

福島県の中核病院である当院は定床数778床、1日平均外来受診者数1,500人前後を誇り、ドクターヘリを有する。中でも、循環器内科は、一般病床以外にCCU 4床、HCU 12床(共用)を有し、年間約800人の入院患者があり、病床稼働率、稼働額とも院内トップクラスの実績を誇る。当科の診療は、それぞれの専門医がお互いの情報を交換し合うことにより、最先端の医療を目指すとともに、全人的診療を行うことをモットーとしている。また、頻拍性不整脈に対するカテーテル心筋焼灼術(アブレーション)、致死性不整脈(心室頻拍・心室細動)に対する植え込み型除細動器(ICD)手術、心不全に対する両心室ペーシングによる心臓再同期療法(CRT)を行っている福島県県北地区唯一の施設である。心臓血管外科との合同症例検討会は毎週行われており、緊急手術も含め外科的・内科的最適の治療を選択するように努めている。急性冠症候群に対するカテーテル治療(PCI)、急性心不全などの救急医療は、24時間体制で対応している。さらに、救急科とも連携し県内全域からドクターヘリを利用した患者の搬送が可能であり、09年度は116件の緊急心臓カテーテル検査を施行している。

症例数

心電図検査は15,000件(年間の概算数、以下同)、運動負荷心電図500件、心臓超音波検査2,500件(経食道エコー法200件)、ホルター心電図1,500件など。また、心筋シンチグラフィー、冠動脈CTなど外来で行われる検査も充実している。大部分の検査は予約制だが、その緊急性、患者さんの通院の都合なども踏まえて行われており、最小の負担で最大の効果をモットーに検査予定が組まれている。また、睡眠時無呼吸検査、心肺運動負荷試験を導入した心臓リハビリテーションも盛んに行われている

★虚血性心疾患に関しては、当科の特色でもある核医学や冠動脈CT、心臓MRI等、様々な診断方法による虚血診断の裏付けをもとに、心臓カテーテル検査を施行している。さらに、カテーテル検査の際には血管内エコー、光干渉断層撮影、Flow wire、Pressure wire等の先進機器を用いた診断、治療を行っており、虚血性心疾患の病態解明に努力している。09年の心カテ症例数は716件、冠血管形成術は253件であり、ロータブレーターも導入されている。09年に当院で行ったPCIの85%にステントを使用し、薬物溶出性ステントは143症例に使用した。PCI初期成功率は全体で95.6%であり、非CTO病変においては97.8%、CTO病変(慢性完全閉塞病変:血管が100%完全に動脈硬化により閉塞した状態の病変)においては87.5%であった

★不整脈治療は、その原因を考慮した薬物療法、さらにはカテーテルアブレーション(09年度66件、以下同様)、ICD(25件)などの非薬物療法が普及してきている。当科におけるアブレーションの特徴としては、陳旧性心筋梗塞、拡張型心筋症、心臓外科手術後など、いわゆる基礎心疾患に伴う低心機能の心室頻拍に対する症例数が多いことである。またICD治療を併用し、心臓突然死の予防に良好な成績を収めている。さらに最新の3次元マッピングシステム(CARTO merge)を導入して本格的に心房細動のカテーテルアブレーションも行っている。重症心不全治療のためのCRT(35件)も増加の一途をたどっている。ICDやCRTなどのデバイス管理においては、植え込み後の致死性不整脈や心不全の発症を予防することが重要だが、当科においてはデバイスに搭載された遠隔モニタリングシステムを積極的に活用し、自宅においても患者様の生活の質(QOL)が改善されるべく日々研鑽し、診療にあたっている

★心不全に関しては、従来からの急性期加療のみならず、当院のリハビリテーションセンターと合同で心臓リハビリテーションをすすめている。

医療設備

CCU・HCU 16床(共用)、心臓超音波装置5台、トレッドミル、エルゴメーター、ホルター心電計10台、MDCT、MRI、心筋シンチグラフィー、心血管造影装置3台などを備えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

基本理念は、内科および小児科、麻酔科、救急科との連携を密にとりながら良質の外科治療を提供すること、さらに低侵襲手術により術後の生活の質を保つことを心がけている。新生児心臓手術から成人弁膜症、冠動脈、胸部大動脈疾患、腹部大動脈および下肢静脈瘤を含む末梢血管疾患に至るまで、それぞれの専門家が対応し、緊急手術にも随時対応できる体制が整っている。最近は、80歳以上の高齢者や呼吸器合併症を有したハイリスク症例、また再手術症例や術前状態の不良な症例などが紹介され、このような重症例にも積極的に対応している。低侵襲手術として人工心肺を用いない冠動脈バイパス術(OPCAB)や大動脈疾患に対するステントグラフト治療、末梢血管に対する血管内治療や下肢静脈瘤に対するレーザー治療などを随時活用している。また、08年から病院にドクターヘリが大学に常駐しており、救急科と連携して広範囲地域からの緊急手術に対応している。

症例数

週4日の定時手術に加えて緊急手術に対応しており、年間総手術数と開心術(人工心肺使用+冠動脈バイパス術)数は、08年には313例、170例に増加している。08年の心臓胸部大血管手術は227例(手術死亡率3.9%)、腹部大動脈以下の末梢血管手術は86例(手術死亡率1.2%)であった。前者の内訳は、先天性心疾患が65例(死亡2)、弁膜症44例(死亡0)、冠動脈27例(死亡1)、胸部大動脈65例(死亡5/ステントグラフト治療5)、ペースメーカーおよび植え込み型除細動器手術19例(死亡0)、その他7例(死亡1)で、腹部大動脈瘤が33例(死亡0)、末梢血管53例(死亡1)であった。全手術における緊急手術の割合は25%と高く、高齢および術前状態不良の症例が多かったが、全体の手術死亡率は3.2%と良好であった

先天性心疾患=未熟児に対する手術や新生児の緊急手術にも、小児科と連携し対応している。複雑心奇形に対する手術も安全に行われている。以前から当院では無輸血手術により、良好な成績をあげている

冠動脈手術=01年から人工心肺を用いない低侵襲冠動脈バイパス術(OPCAB)を本格的に導入し、良好な成績をあげている。01年から08年まで、待機手術はほぼ全例でOPCABを施行できており、緊急手術を含めた全体的な手術死亡率は1%以下である。また、冠動脈バイパス再手術も人工心肺を用いない方法で安全に施行できており、全14例中手術死亡は1例(7.1%)のみであった

弁膜症手術=僧帽弁閉鎖不全に対しては、ほとんどの症例で人工弁置換でなく弁形成術を用いている。僧帽弁形成術の成績は、全63例中手術死亡は1例(1.6%)と良好であった。不整脈(心房細動)に対する手術や、拡大した心室を縮小する心室形成術も積極的に施行している

大動脈手術=急性大動脈解離に対する手術は、01年からの130例中手術死亡は10例(7.7%)と良好であった。胸部大動脈瘤の待機手術成績は、01年からの170例中手術死亡は5例(2.9%)であり、高度の技術が必要とされる弓部大動脈置換術(1.8%)を含め、成績は良好であった。当教室では、以前からステントグラフト治療も積極的に行っている。胸部大動脈瘤は、外科手術が難しい症例を中心に施行しており、腹部大動脈瘤に関しては約60%の症例にステントグラフト治療を行い術後数日で退院としている

下肢静脈瘤手術=創(きず)が少なく、痛みの少ない低侵襲であるレーザー治療を積極的に用いている

手術適応=循環器内科および小児科と週1回の合同症例検討会を行っており、この場で手術適応は決定される。個々の症例について、全身状態と詳細な画像診断をもとに、良好な結果を目指して適応・方針を決定している。

医療設備

ICU、CCU、NICU、シネアンギオ室、MRI、CT(MD-CT)、心臓核医学検査、心エコー、血管内エコー、人工心肺、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)、自己血回収装置、ダイオードレーザー。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

整形外科

分野

整形外科

特色

51(昭和26)年開設。88年現在地に移転開業。10階建て、入院病床数778床。08年東北初のドクターヘリの運航を開始。福島県唯一の大学附属病院として、高度医療と高次救急医療の提供を行っている。整形外科で扱っている疾患は、脊椎・脊髄外科、関節外科(肩・股・膝・肘)、骨・軟部腫瘍、手の外科、足の外科、スポーツ外科、リウマチ、小児整形外科、外傷外科であり、すべての整形外科領域を網羅している。特に、先進的な取り組みを行っている脊椎・脊髄外科外来には、県外や海外からも多数の患者が訪れる。

症例数

09年の年間新患者数2,610人、1日平均外来患者数131人、年間入院患者数1,133人。年間手術件数は934件で、その内訳は、股関節194件、脊椎・脊髄191件、手の外科126、膝関節122件、腫瘍105件、足の外科76件、肩関節39件、外傷その他81件である

★脊椎・脊髄の外科は、国内トップレベルの診療を誇っており、あらゆる脊椎・脊髄疾患に対応している。各種神経ブロック療法を用いた高位診断に基づく、小侵襲手術を心がけ、頸椎・腰椎の内視鏡手術にも早期から取り組んできた。腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡下ヘルニア摘出術、頸椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡下選択的後方除圧術や椎弓骨切術、靱帯骨化症に対する椎弓形成手術、側彎症に対する矯正固定術、脊髄腫瘍に対する腫瘍切除術などを行っている。また、当院の心身医療科と共同で難治例や慢性疼痛例に対するリエゾン診療にも取り組み、成果をあげている

★肩関節外科では、腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術、反復性肩関節脱臼に対する鏡視下バンカート修復術などの小侵襲手術を行っている

★股関節外科では、変形性股関節症に対する(小侵襲)人工股関節置換術(MIS-THA)、骨盤骨切り術(キアリ、RAO、CPO)、骨頭壊死に対する骨頭回転骨切り術、人工股関節のゆるみに対する人工股関節再置換術(凍結保存同種骨移植併用)などを行っている

★膝関節外科では、変形性膝関節症に対する(小侵襲)人工膝関節置換術(MIS-THA)、膝関節スポーツ障害に対する鏡視下十字靭帯再建術、鏡視下半月板縫合・切除術、骨壊死に対する軟骨移植(モザイク形成)術などを行っている

★腫瘍外科では、カフェイン併用(動注)がん化学療法、患肢温存手術(腫瘍用人工関節置換術、自家処理骨移植術、骨移動術、マイクロサージャリーを用いた再建術)、放射線治療などの集学的治療を行っている

★手の外科では、切断肢指再接着術、神経・血管移植術、腱移植・腱移行術、血管柄付複合組織移植術、手根管症候群に対する鏡視下手根管開放術などを行っている

★足の外科では、変形性足関節症に対する関節固定術・人工関節置換術、外反母趾に対する矯正骨切り術などを行っている

★リウマチ外科では、生物学的製剤を用いた内科的治療の他に、関節変形に対する関節形成術や人工関節置換術などを行っている

★小児整形外科では、先天性股関節脱臼や内反足に対する装具療法や手術療法などを行っている。

医療設備

マルチスライスCT、MRI(オープン)、骨密度測定装置(DXA)、核医学検査機器、リニアック、筋電計、バイオクリーン手術室、関節鏡、脊椎・股関節手術ナビゲーションシステム。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

産科・周産母子センター

分野

産婦人科

特色

09年8月に藤森教授就任後、教授の提唱する「産科または婦人科に偏らない医師を育てる」教育を軸に、新たな体制でスタートしている。地域拠点病院はすべて関連病院として機能しているため、広い福島県全域をカバーしつつ、周辺地域との病診連携を大切にしている。院内には産科病棟、婦人科病棟、MFICU病棟と3カ所の独立した病床部門を所有。周産期関連では県内唯一の総合周産母子センター(3次施設)であるため、ハイリスク妊娠を中心に管理を行い、国際的にも最新の治療を取り入れている。婦人科悪性腫瘍では専門医が診断から治療までを行い、個々の患者さんのニーズに合った治療を心がけている。子宮動脈塞栓(UAE)は放射線科医師に依存せず、産婦人科医師自らが行うため緊急対処が可能である。不妊症については国内の草分け的存在であり、高度な技術で難治症例の対応も行っている。乳腺外科や心身医療科との連携を強化した女性専門外来とも連携している。また、産科、婦人科を問わずセカンドオピニオンを予約制で受け付けている。どの分野も診断から治療までを一貫して行う。

症例数

09年の総手術件数は567件。帝王切開を除く悪性腫瘍開腹手術は222件

周産期=09年の総分娩数は479件。そのうち双胎は31例、品胎分娩は1例。帝王切開は201件。母体搬送受け入れは85件であり、主な受け入れは切迫早産、前期破水、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、分娩後出血などである。合併症妊婦や妊娠合併症症例が多く、筋腫合併など自科管理だけでなく、SLEや甲状腺などの内分泌内科や、統合失調症などの心身医療科など、他科との連携も多い。重篤な周産期出血に対応すべく、癒着胎盤を疑う症例などでは積極的に自己血貯血を行っている。産後腟壁血腫などにおいては自科で子宮動脈塞栓も行っている

婦人科悪性腫瘍=09年の新規婦人科がん患者症例(0期を除く)92例。子宮頸がんは32例(I期20、II期4、III期4、IV期4)。Ib~IIb期は原則的に広汎子宮全的術を行うが、必要に応じ術前に化学療法を行う。III期は手術療法を行わずに、化学放射線療法で良好な成績を収めている。0期は子宮を温存した円錐切除術を行い、挙児希望のあるIb期は妊孕性温存した広汎子宮頸部切除術を施行する。子宮体がんは27例(I期16、II期1、III期9、IV期1)。初回治療は手術療法であり、原則として骨盤および傍大動脈リンパ節郭清をするが、後者を省略することもある。子宮体がんは比較的早期の症例が多く予後良好であるが、ハイリスクの症例の場合では術後の補助療法として化学療法を行う。若年者で子宮温存を希望する症例では、筋層浸潤のない(Ia期)高分化(G1)の症例に限り黄体ホルモンによる温存療法を行う。卵巣がんは26例(I期11、II期0、III期6、IV期9)。原則的にI・II期では傍大動脈リンパ節郭清を含めた根治術、III・IV期でも可能な限り腫瘍減量手術を行う。初回手術が困難な症例では、最初に化学療法後に手術を行う。当教室におけるこの10年間の5年生存率は、I期90%、II期73%、III期28%、IV期27%。特に進行期がん(II~IV期)でも初回手術で残存腫瘍を1cm以下にした症例では5年生存率が70%弱と高い生存率であったことから、当科では積極的に初回手術で腫瘍摘出を試みている

婦人科良性疾患=良性卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症などが多く、内科的保存治療から手術に至るまで、患者さんの希望に沿った治療を行う。外科的侵襲は可能な限り少なくするため、腹腔鏡下手術を積極的に行っている。09年の内視鏡下手術は71例であり、良性卵巣腫瘍、直径15cm程度までの子宮筋腫などに行っている。卵巣腫瘍に対しては、必要に応じ術中迅速病理検査も積極的に行っており、境界悪性以上の腫瘍への対処も可能である。子宮筋腫や内膜症症例に対しては、適応と希望に応じ、上記UAEを行っている。09年のUAE施行症例は37例。

医療設備

パワードプラ超音波、CT、MRI、放射線治療。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

小児科・NICU

分野

小児医療

特色

県立の医科大学附属病院という立場上、本県地域医療の中核的役割を担っており、外来では、プライマリケアから各専門分野(新生児、循環器、血液・悪性腫瘍、腎・内分泌・アレルギー、感染症・神経など)における高度医療に至るまで幅広い医療を、入院では大学病院でしかできない高度医療を中心に新生児・未熟児医療も含め、全県的に医療を提供している。

症例数

公称病床数は、小児病棟47床、NICU 9床、専用後方病床(GCU)8床である

新生児グループ=未熟児・病的新生児の集中治療を担当している。付属病院総合周産期母子医療センター新生児部門として運営されており、「新生児特定集中治療室管理加算病床」(NICU)と専用後方病床(GCU)を有している。福島県総合周産期医療システムの中核として、地域周産期母子医療センター(5施設)や周産期医療協力施設(5施設)と連携しながら、高度な周産期医療の提供、周産期医療情報の解析・提示、周産期医療従事者の教育・研修などを行っている。異常妊娠・分娩の占める割合が多いため、患者の疾病の種類も多岐にわたっており、収容児の大半が超低出生体重児、先天性心疾患、母体が重篤な合併症を持つ児である。センター開設以来の新生児死亡率は、出生体重1,000g未満の児で10.0%、1,000g以上1,500g未満の児で2.1%である

循環器グループ=先天性心疾患を中心に、小児の循環器疾患の診断治療を担当。外来は、週3回の心臓外来を開いている。超音波診断は年に800件、心臓カテーテル検査は年に150件の実績をあげている。治療としては、手術前後の内科的治療に加えて、カテーテルを用いた治療を行っており、バルーンカテーテルによる血管拡大術や弁形成術、金属製のコイルによる血管や動脈管の閉塞術を施行している

血液・悪性腫瘍グループ=各種貧血、血小板減少症、免疫不全症等の血液疾患とすべての小児悪性腫瘍(白血病、各種固形腫瘍)を中心に、外来診療および入院加療を行っている。難治例に対しては、各種幹細胞移植術を積極的に施行しており、年間10~15例の移植を行っている。小児がん・白血病研究グループによるグループ研究に参加し、各種の小児がんと白血病の病態解明と治療法の確立を目指した臨床研究を行っている

腎・内分泌・アレルギーグループ=腎疾患を中心に、外来診療および入院加療を行っている。特に入院加療に関しては、本院にベッドスクール(須賀川養護学校福島医大分校)が併設されているため、学童期の入院に際しては、勉学面の心配をせずに治療を行えるメリットがある。治療に関しては、LDLアフェレーシスをはじめとした各種血漿交換や、腹膜透析や血液透析などを適宜施行している。また、内分泌代謝疾患、膠原病や各種アレルギー疾患に関しても専門外来で、診察、治療に当たっている

感染症・神経グループ=重症感染症や中枢神経系感染症、てんかん、発達障害、神経筋疾患などの神経疾患を中心に、外来や入院治療を行っている。特に、細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、急性脳炎、急性脳症、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)といった中枢神経感染症の病態解明と治療法開発に力を入れ、また、熱性けいれん、けいれん重積、意識障害といった中枢神経症状の本態や誘発因子について、分子生物学的手法を用いた病態解明に努力している。

医療設備

CT、MRI、US、SPECTなど、多くの先進設備が備わっている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

小児外科

分野

小児外科

特色

県内全域から患児が紹介されている。腹痛や便秘、体表の異常など日常的な診療から、体外膜型人工肺や新生児呼吸循環管理などの高度な技術を必要とする呼吸器疾患や新生児疾患まで、幅広い小児外科疾患に対し迅速な対応が可能である。通常の外来以外に、成長や発育に合わせた成育外来として、便や尿のストーマおよび排便障害、気管切開を持っている患児、在宅で経腸栄養や経静脈栄養療法を受けている患児、複数科に通院している患児らに対しては、他科の外来日に合わせて十分な診療時間がとれるように「予約外来」がある。からだに優しく、合併症を残さない手術の実践と開発に心がけ、低侵襲を目的としたアプローチや鏡視下手術を取り入れている。悪性腫瘍に関しては、小児科、放射線科、病理部などと、Tumor Boardによる集学的治療により成績の向上を図っている。周産期医療に関しては、母体搬送や予定分娩など、周産期センターと連携をとりながら安全かつ迅速な対応を心がけている。

症例数

過去3年間の年間平均入院数154例、手術件数234例、新生児入院数23例、新生児手術件数26例、鼠径ヘルニア手術件数51例。過去3年間の死亡数は4例で、重症合併奇形、低出生体重児であった

★新生児疾患総数:横隔膜ヘルニア10例、食道閉鎖症9例、腸閉鎖症14例、ヒルシュスプルング病6例、鎖肛15例、臍帯ヘルニア1例、腹壁破裂1例、腸回転異常症8例など。地域周産期センターとの搬送システムが確立されており、新生児医療の成績向上に寄与している

★非新生児疾患総数:胃食道逆流症6例、胆道閉鎖症5例、先天性胆道拡張症6例、神経芽腫2例、肝腫瘍3例、奇形腫3例、その他の腫瘍9例、生体肝移植2例など。生体肝移植は成人外科と連携して実施している。鼠径ヘルニアは1泊2日入院。

医療設備

NICU、ICU、超音波、CT、MRI、RI、胸・腹腔鏡、NO吸入装置、HFOなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

眼科

分野

眼科

特色

地方大学の附属病院に求められる「すべての眼疾患に対して高度な医療」が提供できるよう、専門スタッフを擁している。診断と治療を一貫して行うのはもちろん、その後の病診連携も積極的に行っている。大学病院である特徴を生かして、最新の検査機器および薬物治験も鋭意導入し、福島県内だけでなく他県からの紹介患者も多い。「優れた治療成績には先ず、正確な観察と診断」をモットーに、患者のQuality of Vision(見え方の質)追求と地域医療維持に貢献している。

症例数

08年度の外来延べ患者数は31,310人(1日平均128.8人)、外来新患者数2,749(1日平均11.3人)、手術件数は1,089件(うち厚生労働省が指定する「黄斑下手術等」の難易度の高い手術は508件、糖尿病網膜症に対する硝子体手術は214件)であった。白内障・眼内レンズ手術は、併用手術を含めると1年間に約600件で、99%が超音波手術であった

★黄斑・網膜・硝子体外来では、近年増加する加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜剥離、血管閉塞性疾患、黄斑疾患、未熟児網膜症などを扱っている。なかでも、加齢黄斑変性は欧米では失明原因の第一位で、わが国でも急増している。本症では黄斑部に脈絡膜由来の血管新生が起こり、部位的にも治療が困難で、進行すると高度の視力障害を来す難治性疾患であり、治療には正確な診断と適切な治療法選択が大きなポイントとなる。飯田教授の専門でもある、最新の光干渉断層計(OCT)をはじめとした非侵襲的眼底診断装置と蛍光眼底造影検査を駆使した診断技術は、全国的にも評価が高い。対応可能な治療法はレーザー治療・硝子体手術だけでなく、光線力学的療法や抗血管新生療法(血管内皮増殖因子をブロックする分子標的薬剤を使用)などの新しい治療方法をいち早く導入して地域医療に貢献している。09年度の加齢黄斑変性治療の実績は、光線力学的療法153件、抗血管新生療法1,333件であった。豊富な治療経験を生かした治療成績のフィードバックも怠りなく、治療成績を着実に向上させている

★弱視斜視外来では、小児における視機能障害全般を診療している。遠視・近視・乱視などの屈折異常や眼位異常だけでなく、先天白内障、先天緑内障、先天奇形などを含めて、幅広く外来治療および手術治療をしている。7人の視能訓練士と連携して福島市の3歳児検診に積極的に協力し、視力発育障害の早期発見と視能訓練に力を入れた取り組みは、全国的にも評価が高い

★眼形成・眼窩疾患・眼腫瘍外来では、眼瞼下垂や内反症などの眼瞼形態の異常、眼窩壁骨折、眼瞼・眼窩・涙器など眼付属器および眼内の良性・悪性腫瘍を扱っている。眼窩壁骨折は、治療前後の視機能や眼球運動を評価することが大切であるが、当科は眼科で手術を行うことのできる、全国でも数少ない施設のひとつである。また、小児における網膜芽細胞腫に対する治療は、小児腫瘍科での化学療法とレーザーや冷凍凝固などの眼局所療法とを組み合わせることにより、疾患の治癒と眼球温存を目指して治療を行っている。眼内の良性腫瘍の診断には、網膜硝子体外来の高度な診断技術を背景に、高いレベルでの診療を心がけている

★角膜ぶどう膜炎外来、緑内障外来、神経外来、コンタクトレンズ外来についても専門医を配し、重症度の高い症例の外来および入院治療が可能である。

医療設備

光干渉断層計各種、共焦点走査型レーザー検眼鏡各種、微小視野計測装置、局所および多局所網膜電図、レーザー治療器各種、前眼部および後眼部超音波解析装置、視野計各種、超音波白内障手術装置、硝子体手術装置(小切開手術対応)など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域全般の診療を行っており、音声障害や聴覚障害の機能改善に力を入れている。喉頭・気管の再建手術、とくに頸部気管の再生医療に関しては、国際的にも貴重な臨床実績を持つ。中耳手術は県内最多の件数があり、小児への人工内耳手術も行っている。日帰り手術にも取り組んでおり、喉頭疾患や鼻副鼻腔疾患の局所麻酔下手術では声帯ポリープ切除術からレーザー手術まで幅広く対応可能である。頭頸部がんについては、脳神経外科・形成外科・放射線科と連携し、動注化学療法や進行がんに対する拡大手術にも対応している。日本耳鼻咽喉科学会、日本気管食道科学会、日本頭頸部外科学会の専門医研修施設。

症例数

09年度の外来患者総数は13,909人であった。同年の年間手術件数は445例(全身麻酔374例・局所麻酔71例)であり、中耳手術(人工内耳含む)67例、鼻副鼻腔手術55例、喉頭・気管・音声外科手術133例(うち日帰り手術35例)、口蓋扁桃摘出術44例、頭頸部腫瘍98例(良性腫瘍45例・悪性腫瘍53例)、その他58例(外傷・嚥下機能改善手術等)であった

喉頭疾患=音声外来にて電子内視鏡やストロボスコープ、NBI内視鏡や音響分析を含めた詳細な診察を行い、声帯ポリープなど良性疾患の日帰り局所麻酔手術、音声機能外科や発声障害に対するリハビリテーションなど、包括的な診療を行っている。T2までの喉頭がんは、高出力の炭酸ガスレーザーにより口内からのレーザー切除術が可能である

耳疾患=中耳外来では真珠腫性中耳炎などに対応し、鼓室形成術を積極的に行い、コーンビームCTを用いた中耳病変の評価にも取り組んでいる。難聴外来では福島県総合療育センターと連携し、新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査や、補聴器・人工内耳のハビリテーションを行っている

鼻副鼻腔疾患=アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎に対する内視鏡手術を主体とし、日帰り手術にも対応している。鼻閉改善手術では音響鼻腔計測を用いた評価を全例に行っており、患者さんにとってより満足できる治療を目指している

頭頸部腫瘍=がん診療に力を入れており、自科で動注化学療法(セルジンガー法)を行う数少ない施設の一つである。また、口腔・中咽頭がんにおいては、リンパ節転移の早期発見が可能なセンチネルリンパ節生検を施行しており、不必要な頸部郭清術を回避し、さらに、PET検査で判定困難な微小転移の確認も可能である。主な疾患の5年生存率は、口腔がん:I期91%、II期85%、III期53%、IV期43%。下咽頭がん:I期100%、II期86%、III期90%、IV期56%。喉頭がん:I期90%、II期79%、III期78%、IV期48%

誤嚥性肺炎などで問題になる嚥下障害=嚥下外来では、嚥下内視鏡検査とビデオ透視下嚥下機能検査にて嚥下機能を評価し、リハビリテーションのプログラムを組んで指導し、病態に応じて嚥下機能改善手術や誤嚥防止術を行っている

★気管再生治療はコラーゲンスポンジとポリプロピレンメッシュからなる人工材料を用いて行っており、喉頭・気管狭窄症や甲状腺手術などで気道欠損のある患者に対して、自家組織を採取・移植することなく、気道再建が可能である

★月~金の午前中は一般外来を行い、急性炎症性疾患(急性乳様突起炎・急性副鼻腔炎・扁桃周囲膿瘍・急性喉頭蓋炎・頸部膿瘍)、突発性難聴、顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群)、めまい(メニエール病・前庭神経炎・外リンパ漏・頭位眩暈症)、異物(食道異物・気道異物)、外傷など、緊急に入院加療が必要な疾患に対して適切な治療を行っている。

医療設備

MRI、CT、核医学検査、超音波検査、内視鏡(NBI含む)、炭酸ガスレーザー、ハーモニック・スカルペル、マイクロデブリッダー、サージトロン、音響分析器、ASSR、音響鼻腔計測器など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

血液内科

分野

血液内科

特色

福島県で唯一の骨髄移植推進財団認定施設であり、積極的に造血幹細胞移植を行っている。また、循環器内科と協力し、難治性の心アミロイドーシスに対する自己移植にも取り組んでいる。さらに、発作性夜間血色素尿症(PNH)に対する専門の検査を幅広く行っており、国内有数の症例数を有する。末梢血幹細胞採取は輸血・免疫部の専任医師が施行している。

症例数

白血病などの造血器腫瘍の新規患者数は年間約150人。内訳は急性白血病14%、慢性骨髄性白血病3%、骨髄異形成症候群22%、悪性リンパ腫44%、多発性骨髄腫15%。07年から09年までの造血幹細胞移植数42例

急性白血病=標準的な寛解導入療法、地固め療法を行っているが、適応があれば自己移植、同種移植を行う

慢性骨髄性白血病=グリベックをはじめとする分子標的療法で、高い治療成績が得られている

悪性リンパ腫=全国でも数少ない血液病理医が当院病理部には複数配属されており、迅速かつ正確な診断が行われている。また輸血・移植免疫部の協力のもと、再発難治例に対し積極的に自己末梢血幹細胞移植を行っている(5年生存率約70%以上)

多発性骨髄腫=分子標的療法、自己末梢血幹細胞移植を行っているが、特にアミロイドーシス合併例には積極的に移植治療を行い、生存率の向上が得られている

再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、PNH=後天性骨髄不全症候群に対する経験豊富な医師がそろっている。特にPNHに関しては国内有数の症例数を持ち、今後本邦で承認を受けるエクリズマブに関しても臨床治験から関与しており、患者さんや主治医からの相談についても的確に対応できる体制が整っている。

医療設備

無菌看護管理加算算定可能な病床10床。うち移植専用病床2床。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

①頭蓋底外科手術、②神経内視鏡手術、③術中モニタリング。これらについては国内をリードしており、病変の根治を目指した頭蓋底外科手術と低侵襲の神経内視鏡手術(齋藤、佐久間、渡邉が技術認定医)を組み合わせて、病変に最も適した手術や低侵襲の手術を、術中脳神経機能モニタリング下に安全に行っている。また脳血管障害や神経外傷にも、24時間365日対応している。

症例数

年間の手術数は約250例、過半数は脳腫瘍手術で、頭蓋底手術は約50例、神経内視鏡手術は約50例、小児手術(腫瘍を含む)は約40例。手術件数は急速に増加しており、脳腫瘍については治療困難な頭蓋底腫瘍の紹介患者が大半を占める

★手術治療を基本とし、良性腫瘍には安全で低侵襲な手術を施行し、悪性腫瘍には根治的摘出を目指す。頭蓋底外科手術についても、神経内視鏡を用いた低侵襲の内視鏡頭蓋底手術を取り入れている。画像診断としては、MDCTによる動静脈分離3D画像を駆使して、脳血管障害および脳腫瘍の術前シミュレーションを行っている。耳鼻咽喉科、形成外科(頭蓋底悪性腫瘍)、眼科(眼窩内腫瘍)、内分泌内科(間脳下垂体腫瘍)、小児腫瘍グループ(悪性腫瘍化学療法)、産科、小児科(小児先天疾患)、神経内科、心身科(機能的疾患)、放射線科(放射線治療)、救急科(脳卒中、神経外傷)などとの院内協力体制も良好

★悪性頭蓋底腫瘍のうち、頭蓋底に進展した鼻腔副鼻腔原発のがんや肉腫などには、耳鼻咽喉科、眼科および形成外科と協力して一塊切除再建術を行う。齋藤教授はこれまで175例を手術し、5年生存率は67%。また、脊索腫には初回手術での徹底切除と再発にガンマナイフ治療を選択し、25例治療して1例を除き全例が社会生活を送っている。その他の悪性脳腫瘍には、ナビゲーションと術中モニタリングを用いたできる限りの摘出と、術後の化学療法、放射線治療を行う

★小児脳腫瘍には治療困難な悪性腫瘍も多いが、手術による確実な摘出と小児科腫瘍グループの協力による積極的化学療法、放射線治療を組み合わせた最善の治療を行う。また頭蓋咽頭腫などの良性小児腫瘍は、手術により全摘出する

★髄膜腫などの良性頭蓋底腫瘍には、頭蓋底手術と術中モニタリングを併用して、神経機能を温存した確実な摘出を行う。当院および関連施設では、運動誘発電位や視覚誘発電位など術中モニタリングの信頼性が非常に高い

★脳下垂体腫瘍には内視鏡単独経鼻手術を行う。全国に先駆けて内視鏡単独経鼻手術を開発したが、現在当院ではハイビジョン内視鏡を導入しており、顕微鏡手術よりも術野は鮮明で、大半の腫瘍が確実に全摘出できる。鼻孔からの手術であり、非常に低侵襲

★神経内視鏡手術として、脳内血腫は全例で穿頭し、内視鏡を用いて除去する。脳内および脳室内腫瘍についても、積極的に内視鏡による低侵襲摘出術を行っている。また頭蓋底腫瘍も中サイズ以下であれば、内視鏡によるキーホール手術(鍵穴手術)を選択している

★脳血管障害には、未破裂脳動脈瘤を含めて当院では手術治療を選択しているが、血管内治療が適応となる時には関連施設を紹介する

★機能神経外科については、脳深部刺激療法を関連施設で行っている。当院でも、痛みや痙性に対する治療や、難治性てんかんやパーキンソン病に対する外科的治療を計画している

★先天奇形などの小児疾患については、産科、小児科と連携しながら福島県の小児脳神経外科センターとして治療にあたっている。

医療設備

診断機器(1.5テスラMRIが2台、CTは5台うち64列MDCTが2台、DSA、SPECTなど)、手術機器(ニューロナビゲーター、ハイビジョン内視鏡、神経モニタリング装置など)。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

乳腺・内分泌・甲状腺外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

乳腺および甲状腺、副甲状腺、副腎などの内分泌疾患を対象としている。乳腺ではコンピューター支援下3次元病理解析による乳管内がん進展の研究では国際的に評価が高く、術前診断ではマンモトーム生検も導入している。手術治療では整容・根治性に優れた乳房温存療法とナビゲーション手術による腋窩郭清の省略を積極的に行っている。内分泌外科では甲状腺、副甲状腺、副腎に対し、それぞれ内視鏡手術を本邦でもいち早く導入し、整容性および低侵襲性を重視した手術を行うとともに、ラジオガイドによるナビゲーション手術も併せて施行している。進行再発甲状腺がんには積極的に拡大根治手術を施行するとともに、反回神経縫合などの機能温存にも努めている。また、多発性内分泌腫瘍症や家族性乳がん、甲状腺がんなどの家族性腫瘍には遺伝カウンセリングや遺伝子診断を行い、臨床と基礎を関連させた治療を行っている。さらに甲状腺・副甲状腺のエラストグラフィー(超音波組織弾性映像法:組織の硬さをリアルタイムで画像化する技術。がん組織が良性病変より硬いことを利用してがんを検出する)による術前診断を本邦初で施行し、現在は乳腺にも導入している。

症例数

症例数:09年の乳がんの手術症例数は116例で、乳房温存手術76例、胸筋温存乳房切除術40例であった。内分泌外科の手術症例数127例で、甲状腺がん35例、甲状腺良性腫瘍32例、AFTN(自律性機能性甲状腺結節)5例、バセドウ病9例、副甲状腺機能亢進症23例、副腎腫瘍19例、その他4例であった

乳腺外科=乳がん検診:マンモグラフィ検診精度管理中央委員会認定の読影認定医(評価A)を教室内に8人擁し、県内のマンモグラフィ検診で指導者的役割を果たしている

★乳房温存療法:乳腺病理・乳腺外科・放射線治療の進歩により、2cm以下のしこりでは乳房を残して病巣を部分的にとる乳房温存療法が95%を占めている。乳房をすべて切除した場合でも、必要であれば後で乳房を作る乳房再建手術も行っている。しこりが大きい場合は、術前化学療法により乳房温存療法の適応を拡大している

★センチネルリンパ節生検:センチネルリンパ節の転移状況で腋窩リンパ節郭清を省略するナビゲーション手術を導入し、術後の腋窩感覚麻痺や上肢リンパ浮腫を回避して患者さんのQOL(生活の質)が格段に向上している

★乳がんの薬物療法:乳がんの再発を予防するための全身化学・内分泌療法では最新のエビデンス(科学的根拠)に基づいた治療薬を選択し、生活スタイルや価値観に合わせたベストな医療を心がけている。さらに、乳がん患者さんの精神的サポートとして、臨床心理士やカウンセリング医師とともに医療スタッフ全体による緩和ケア体制を構築して対応している

★治療成績:5年生存率は、0期100%、I期97.6%、II期92.0%、III期78.1%、IV期50.0%

内分泌外科=甲状腺疾患:良性腫瘍、バセドウ病では極めて整容性の高い腋窩・乳輪アプローチによる内視鏡下甲状腺切除術(AAA-ETS)を施行している。甲状腺がんでは当科成績に基づいたガイドライン(予後因子である年齢も加味)によって適切な切除範囲を決定し、再発例にはラジオガイドによるナビゲーション手術を導入し、より低侵襲の手術に心がけている

★副甲状腺腫瘍:腫瘍は小さく位置と数の先天的異常を伴う疾患であり、術中ナビゲーションを併用した内視鏡補助下手術(RGVAP)を施行している

★副腎腫瘍:内分泌内科と綿密な連携を行い、アルドステロン症については副腎静脈サンプリングを当科で施行し、より低侵襲および短時間の内視鏡手術を行っている

★エラストグラフィー:甲状腺・副甲状腺さらには乳腺に関して、術前超音波診断時にエラストグラフィーを全例に施行し、非観血的診断として診断能の向上を図っている

★家族性腫瘍:多発性内分泌腺腫瘍症研究の日本の拠点として、さらには乳がん、甲状腺がんの家族集積性につき遺伝カウンセリングや遺伝子検査を施行し、国際的な水準で診療にあたっている

治療成績:10年生存率=甲状腺乳頭がん95%、濾胞がん90%、髄様がん100%、未分化がん0%。

医療設備

特定機能病院としてフル装備。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

放射線科

分野

放射線科

特色

常勤医師15人は日本医学放射線学会放射線科専門医(11人)、日本核医学会核医学専門医(3人)、日本放射線腫瘍学会認定医(1人)などの専門医の資格をもち、各診療科と協力して放射線画像診断、核医学診断、IVR、放射線治療を担当している。当院は特定機能病院、都道府県がん診療連携拠点病院などに指定され、画像診断に関連した診療報酬に関する施設基準に関するものとして、画像診断管理加算2、CT撮影およびMRI撮影、冠動脈CT撮影加算、心臓MRI撮影加算などが認められている。画像診断であるCT、MRI、核医学の検査は放射線科が担当して、すべてに対して読影レポートを作成している。放射線科内では、すでにフイルムを使わないモニター診断(PACS)を行っているが、10年7月から画像診断の読影結果と画像を電子カルテを介して各診療科に配信する病院全体のPACSのシステムが稼働し、院内全体がフイルムレス化となった。また、各診療科と協力して、CT下針生検、子宮筋腫に対する動脈塞栓術(UAE)、外傷性出血に対する血管塞栓術などのIVRも積極的に行っている。放射線治療に関連した診療報酬に関する施設基準では、放射線治療専任加算、外来放射線治療加算、高エネルギー放射線治療、直線加速器による定位放射線治療が認められている。放射線治療は2台のリニアックによる外照射が中心で、東北では2番目に多いがん患者の治療に当たっている。また、メタストロンによる転移性骨腫瘍の疼痛緩和等の治療にも積極的に取り組んでいる。

症例数

画像診断・IVR=08年の画像診断件数は、単純撮影77,682件、造影撮影3,136件、血管撮影1,009件、CT 17,952件、MRI 6,191件である。IVRは、呼吸器内科、呼吸器外科からの依頼が多い肺腫瘍を主な対象とするCT下針生検、婦人科との協力で子宮筋腫に対するカテーテルによる子宮動脈塞栓術、救急科との協力で外傷性骨盤骨折に対するカテーテルによる止血などが行われている。CT、MRIの画像診断は、放射線科内PACSにて運用され、フイルムレスの環境で、3次元画像の作成を積極的に行い、診断能を向上させるとともに、迅速な読影レポートの作成を心がけている。10年7月からは当院全体のPACSが稼働予定である

核医学=核医学検査は、骨シンチグラフィー(以下シンチ)1,507件、心筋シンチ597件、脳血流シンチ243件、腫瘍・炎症シンチ259件、肺血流シンチ144件、腎シンチ171件、甲状腺シンチ103件、センチネルシンチ93件、副腎シンチ64件など3,286件である。骨シンチはもちろんであるが、脳血流SPECT、心筋SPECT、センチネルリンパ節診断などに力を入れている。また、核医学による治療であるメタストロンによる骨転移疼痛緩和の治療を積極的にすすめている。現在は、悪性リンパ腫に対するゼバリン治療の準備を進めている

放射線治療=08年の放射線治療新患者数は694人で、内訳は乳腺190、肺110、頭頸部65、前立腺46、大腸41、食道39、悪性リンパ腫32、子宮頸がん27等である。2台のリニアックで治療を行っているが、当院では、センチネルリンパ節生検の結果により腋窩郭清省略を早くから始めており、このためか、乳がんに対する乳房温存術後の放射線照射の症例が最も多い。また、転移性脳腫瘍や肺がんの定位放射線照射、膵がんに対する術中照射、骨髄移植の前処置である全身照射等にも対応している。

医療設備

MDCT 4台、MRI 2台、血管撮影装置3台、骨塩定量装置、SPECT 4台、リニアック2台、治療計画用CT、3次元治療計画装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

救命救急センター

分野

救急医療

特色

08年1月に救命救急センターとして認可され、同時にドクターヘリも導入された。医療圏は県北地域の50万人のみならず、県内の重症患者に対する最後の医療の砦として機能している。センターICU・CCUは従来の集中治療部とは独立して設置され、ICU 4床、CCU 4床からなっている。またHCU 12床も併設され、原則としてセンター外来経由で入院となる。救急科の後方病院・協力病院も多く、緊急・重症期を離脱できれば後方病院へ転院をお願いし、緊急時の救急受け入れのために常に数床確保できている。したがってセンター開設以来、重症患者の搬入が困難な事態は一度も起こっていない。また、災害時の対応として、厚労省認可のDMAT(災害派遣医療チーム)2チームを擁し、災害にいつでも対応できる体制を整えている。

症例数

09年度の救命救急センター外来受診者数は12,604人、救急車搬送は1,494台。このうち入院となったのは2,762人で、救命救急センター入院は794人であった。内訳は外傷24.7%、急性冠症候群15.1%、心不全12.3%、中毒11.1%、脳卒中4.8%、熱傷3.6%である。必要に応じ各科専門医も常時協力できる体制になっており、集学的な治療の場として機能している。一方、09年度のドクターヘリ要請件数は460件、出動件数は359件、現場出動は280件である。現場出動では外傷が2/3を占め、他施設の受け入れ率は61.7%で、県内医療機関の協力が得られている。

医療設備

マルチスライスCT、PCPS、超音波診断装置、各種血液浄化装置、高気圧酸素タンク、熱傷用エアフローティングベッドなど。
  • セカンドオピニオン受入 /
  • 初診予約 /
  • 主治医指名 /
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東北版」(ライフ企画 2010年12月)

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