統合失調症の治療と、よくある悩みの解決法

 精神疾患の中で一般に良く知られているのがうつ病で、調査によると約7%の方が生涯において一度はうつ症状を示すといわれています。それくらい良くある病気なので、QLifeの記事にも大きな反響があります。(例:『うつ病患者は 「医療機関での治療」 をどう捉えているか』)
うつ病以外ではパニック障害などの不安障害、アルコール依存症、認知症などが患者数の多い精神疾患ですが、統合失調症も100人に1人が発症する一般的な病気の一つです。しかしそんな一般的なものでありながら、知られていないことが多い病気でもあります。
統合失調症は20代に発症するケースが多く、男女による性差はありません。原因はまだ良くわかっていませんが、親の育て方が悪かったからなるわけでありません。脳の中のドパミンという物質のバランスが崩れた場合に起きると考えられており、誰かが命令する声が聞こえるといった幻覚(幻聴)や、誰かに狙われているのではないかというありえないことを信じる妄想といった症状が現れます。その結果、患者さんは周りが自分に対して敵であるように思え、不安になり孤独にさいなまれながら、社会で孤立しがちになります。
一方で、このような状態を治療で克服し、社会復帰している方も大勢います。基本的には精神療法や心理教育に加え、抗精神病薬という薬剤を服用し続けることにより、神経のバランスを治して症状をコントロールしつつ、再び症状が出現することを抑えます。
ところが患者さんによっては、治療の効果と同時に、副作用が現れる場合があります。最近登場した新しい薬剤は以前のような重篤な副作用は少ないものの、患者さんが服薬をためらうような、たとえば食欲が増えて体重が増える、性機能が落ちる(勃起障害、射精困難、月経不順、性欲低下、乳汁分泌)、日中でも眠い(過鎮静)といった副作用が起こる場合があります。
そこで今回は、これら治療中の患者さんによくある悩みについて、専門の先生方にその実態や対処方法についてお話を伺いました。