マンガ② 突然起きた環境の変化。気持ちが前を向き、医師ともコミュニケーションが増え治療も積極的に
[骨髄異形成症候群] 2024/10/25[金]
●骨髄異形成症候群(MDS)とは?
MDSとは、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞をつくる造血幹細胞に異常が起きる病気です。どの血液細胞の形や機能に異常が起こるのか、またその程度によって、めまいやだるさ、運動時の動悸や息切れ、感染しやすくなる、出血しやすくなるなどのさまざまな症状があらわれます。
治療はリスクにより異なります。例えば、低リスクで症状がある場合は血液細胞の減少を改善するための治療を行いますが、症状がない場合は経過観察となります。一方、高リスクの場合は急性白血病への移行を遅らせるための治療が行われます。リスクにかかわらず、貧血症状の改善や感染症への対策として支持療法※1が行われます。また、一部の方では治癒を目指す治療として、造血幹細胞移植が実施されます。
ちなみに10月25日は、MDSの認知度向上のための活動を行う『MDS awareness Day』です。この機会にMDSについても皆さんに理解を深めていただければと思います。
※1 支持療法:病気による症状や、治療による副作用を緩和するために行われる治療のこと。



●山口育子さん(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML[コムル]理事長)からのアドバイス
今回紹介したマンガに登場する前田さんは、診断当初は趣味の旅行へ行くために症状の改善を願っていましたが、「骨髄異形成症候群(MDS)」の経過観察を続けているうちに、倦怠感や貧血症状にも慣れ、いつしか現状を受け入れる日々を過ごしていました。しかし、お孫さんの誕生という大きな転機をきっかけに、症状改善に対する意欲が生まれて、自分が考えていることをしっかりと医師に伝えるようになったことで、医師もその気持ちに応え、新たな治療提案をするという好循環が生まれていたようですね。
山口さん ー やはり、自分の考えをきちんと医師に伝えていくことはとても大切なことなのです。自分には前田さんのような大きな出来事はないと思われる方もいるかもしれません。でも人はそれぞれ違って当たり前です。自分なりに、病気になってできなくなってしまったこと、これからしてみたいことなどを見つけ、それを希望に変えていくことが大切だと思います。前田さんは、前向きな気持ちになるまでに時間がかかったようですが、気持ちを切り替えて、医師にも協力を仰いだことによって楽しい生活を取り戻しました。患者さんの立場として必要なのは、自分なりの楽しみを見つけて、ご自身の状態や希望について医師に伝えながら、前に進んでみることではないでしょうか。
患者さんが、自身の状態や希望について医師に伝え、前に進むためにはどうすればよいでしょうか。
山口さん ー 医師だけでなく、普段から友人や家族に、自分の状態、やりたいことなど、ちょっとしたことでも話す機会を作ることも大切だと思います。人に話すことで、整理できることもあると思います。そうすることで自分の思いを再認識し、前に進みやすくなるのではないでしょうか。
MDSのような治療や経過が長期におよぶ慢性疾患に向き合うためには、普段のちょっとした出来事の共有が、医師とのコミュニケーションへつながり、より良い医療へ進んでいけるのではないかと思います。大切だと思っていることは人それぞれですから、それを医師が情報のないままに推し量ることは困難なことです。ご自身が大切にしたいと思っていることは、ぜひ医師に伝える努力をしていただきたいと思います。
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