[骨髄異形成症候群] 2024/10/25[金]

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骨髄異形成症候群(MDS)とは?

MDSとは、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞をつくる造血幹細胞に異常が起きる病気です。どの血液細胞の形や機能に異常が起こるのか、またその程度によって、めまいやだるさ、運動時の動悸や息切れ、感染しやすくなる、出血しやすくなるなどのさまざまな症状があらわれます。

治療はリスクにより異なります。例えば、低リスクで症状がある場合は血液細胞の減少を改善するための治療を行いますが、症状がない場合は経過観察となります。一方、高リスクの場合は急性白血病への移行を遅らせるための治療が行われます。リスクにかかわらず、貧血症状の改善や感染症への対策として支持療法※1が行われます。また、一部の方では治癒を目指す治療として、造血幹細胞移植が実施されます。

ちなみに10月25日は、MDSの認知度向上のための活動を行う『MDS awareness Day』です。この機会にMDSについても皆さんに理解を深めていただければと思います。

※1 支持療法:病気による症状や、治療による副作用を緩和するために行われる治療のこと。




山口育子さん(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML[コムル]理事長)からのアドバイス

今回紹介したマンガに登場する前田さんは、血液のがんである「骨髄異形成症候群(MDS)」と診断された際、大きく戸惑い動揺されていました。

山口さん ー 深刻な病気にかかってしまったら頭が真っ白になってしまうのは当然です。思考が停止してしまい、医師の言葉が頭に入って来ないこともあるかもしれません。ましてや、MDSは、病名からしてとても難しそうです。怖さを感じてしまうこともあるでしょう。でも、告知を受けた当初は動揺があったとしても、ある程度の時間が経ったら、少しずつ気持ちも落ち着いて病気と向き合えるようになると思います。そうすれば、自分の状態、病気のためにできなくなってしまっていること、治療について自分が望んでいることなどについて冷静に考えることができるようになってきます。

MDSは、診断されても低リスクで症状がない場合は経過観察となる患者さんも多くいらっしゃるようです。マンガに登場する前田さんも、診断初期に医師へ治療についていろいろと質問や相談をされていたのですが、症状の状態から経過観察となり気持ちがすっきりしない様子でした。

山口さん ー 病気によってはMDSのように、初期の段階で積極的な治療が推奨されていないために経過観察を行うものや、治療の選択肢が限定されているものもあります。そのため、患者さんが治療を希望したとしても、積極的な治療を行わないこともあります。そのことについて前田さんは、モヤモヤした気持ちを抱え込んでしまったようですね。

マンガの中の前田さんは、経過観察が2年続く中で「本当は倦怠感や貧血症状がある」「趣味の旅行に行けないからもう少し体力をつけたい」と思っているにもかかわらず、医師の「気になることはありますか」の問いかけに諦めて、「なにもないです」と答えてしまっていましたが、どうしてでしょうか。

山口さん ー 治療が長期化するにつれてご自身の症状を伝えること自体を諦めてしまったようですね。つらい症状が続いていたこと、治療に満足していないことなどをもっと早く医師に伝えていたら、違う治療を受けることができたかもしれません。患者さんが何も言わなかったら、医師は「問題ない」と思ってしまうものなのです。だからこそ、自分が思っていることや希望はしっかりと医師に伝えることが大切です。MDSにみられる倦怠感や貧血症状は、日常において患者さんの負担になる症状ではないでしょうか。それにもかかわらずその症状を医師へ伝えることを諦めてしまうということは、患者さんの生活へ少なからず影響を与えることになると思います。諦めず、患者さんが思っていることをしっかりと医師へ伝えることが大切なのではないでしょうか。

提供:ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

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